第22話 行はよいよい帰りは…

赤「階段が見えてきたよ。」


 私たちはあれから階段を目指しつつ、シルクウィーバーを10匹ほど討伐した。戦いを避けて移動することもできたけど、技の練習が楽しくなってたからね。そしてとうとう階段に辿り着いた。


<気を付けてね>

<みんなのノリが軽くて心配だけどダンジョンボスだよ>

<鱗粉くるぞ鱗粉>


<そだねー>

<それはもういい>

<さむっ!ひつこっ!>




私たちは気を引き締めなおして地下へ降りた。



え?



蝶のモンスターなんてどこにもいない。



その代わりに…



でっかいでっかい、蜘蛛がいる。


胴体部分が大きなトラックくらい??


それに長~い8本の足を含めると、学校のプールくらいある。正真正銘の化け物だ。



<逃げよう>

<これはあかん>

<戦ったら絶対タヒぬ>


<てかマリオネッタは?>

<蝶は蜘蛛に食べられ召されました>

<間違いない>



赤「昨日までの私たちだったら歯が立たなかったよね。」


緑「レベルが上がった今やからわかるけど、剣聖の力を全然いかせてへんかったからなぁ。」


黄「剣聖の力をお借りしてただけでしたね。」


黒「今はもう、自分が剣聖としてここに在る。これは確信だ。」



 私たちはそれぞれが動き回り、巨大な蜘蛛の周りを跳ねた。



 動くべきルートが蜘蛛へと続く光の道筋になって見える。



赤「これが勝ち筋!?」



 私は音もなく蜘蛛へと向かっていく。まるでジョギングをするような気軽さで。


 目の前に蜘蛛の巨大な足の1本が迫る。


 が、私にかかったら、それはもう蜘蛛の胴から離れて地面に落ちようとしている最中だ。


 次の足へ向かうころには、蜘蛛はすでに足を4本失っていた。


 どの切筋が誰の太刀によるものかはわからない。


 巨大なボディはいくつもの裂け目を伴って、蜘蛛は無残にも動かなくなっていた。



<え?ホントに?>

<そんなことある?>

<Aランカーでもここまで鮮やかには勝てない>


<ちなみにデスウィーバ―という>

<名前はご存命のうちに言ってあげないと>

<今調べたんや>




 【鹿の森ダンジョン】でもそうだったように、ボスを倒したら壁に穴があらわれた。この蜘蛛は本来のボスじゃなかったのにね。モンスターがボスモンスターを倒したら、そのモンスターはダンジョンに新しいボスとして認定されるんだろうか。


 ちなみに後でわかったことだけど、もともとのボスだったマリオネッタも、新しいボスになったデスウィーバ―も、どちらもレベル5のモンスターだったみたい。マリオネッタが負けたのは相性の問題かもしれないね。


 さて、私たちはその穴に入っていく。すると今回はブリキの宝箱が置いてあった。中身は金貨が30枚と、これは…大きな鳥の羽毛かな?




<【キメラの翼】だ>

<1度行った場所ならどこにでも瞬間移動できるアイテム>

<使い捨てだから気をつけて>



赤「そうなんだ。みんなありがと。」


 私は60㎝くらいあるそれを収納魔法にしまっておいた。



 ちょっとダンジョンの階段について説明するね。ダンジョンで階段を使うと、自分たちの魔力が登録される。【キメラの翼】と似てるんだけど、1度使った階層まではエレベーターみたいに一瞬で移動できる。


 だから、【鹿の森ダンジョン】を攻略したときは、地下10階から地上の階段まで一気に帰ってこれた。今度【鹿の森ダンジョン】に行くとしたら、最初の階段から好きな階層に移動できる。これがダンジョンのルール。


 ただ、【賢島ダンジョン】の場合は階段が地上からボス部屋への1つしかないので、このワープ機能が使えない。つまり、今から普通に階段を上って、それから出口の鳥居まで自分の足で移動しないといけないってこと。


 もちろん今手に入れた【キメラの翼】を使ったら、一瞬で帰れるけど、それはさすがにもったいない。



 ということで…




 今から来た道を帰りまーす!







☆☆☆


ご愛読ありがとうございます。

どうか、フォローや★評価など、よろしくお願いします。


★評価のつけ方


①評価したい作品の目次ページに戻る。

②レビューのところに「⊕☆☆☆」←こんなのがあるので⊕を押して評価する。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る