第21話 綺麗なボスを見てみたい
翌日の朝、イベント会場に着くと、すでに昨日の成績が貼りだされていた。
1位の成績は、魔石が29個。そんなもんか。私たちは11個で41位。うん。ちゃんと蜘蛛のモンスターもカウントされている。当たり前だけどね。それから悠太のパーティは…9個で59位。
「”だいたい10個”って強がっといて、9個なんかい。間違ってへんけどっ!」
葵がツッコミを入れている。9個でも真ん中より上の順位だけど、それでも悠太パーティには勝てそうだね。今日の朝食は、ホテルのビュッフェだった。美味しいご飯をお腹いっぱい食べて、負ける気がしない。
赤「今からダンジョンに入るね!」
カメラにそう言うと、私たちは昨日と同じ鳥居をくぐった。
<おは>
<おは>
<気を付けてね>
黄「みなさんおはようございます。
気をつけますね~。」
緑「なんか最近、和泉ってカメラ慣れしてきてない?」
黄「え?え?気のせいですよぉ。」
黒「いや、視聴者に堂々と語らいかける姿は立派でござる。」
緑「なんやそれ!リリス、それはキャラ作りすぎや!」
私たちは森の奥に向かってずんずん進んでいく。何かおかしい。昨日沢山いたレベル2のモンスターが見当たらない。代わりに、いたるところにシルクウィーバーの気配を感じる。ちなみにシルクウィーバーのレベルは3なんだって。
赤「今日はそんなに奥まで来てないけど、モンスターの気配はいっぱいだし、この辺で狩りを始めようか。」
黒「2匹だな。」
リリスは心眼で糸の攻撃を躱し、切り伏せる。
<早えぇ。>
<もうシルクスパイダーじゃ話にならない>
私たちは移動する。
黄「今度は私に任せてください。」
緑「3匹いるけどいけるか?」
和泉は蜘蛛との距離をつめる。踊るように、寸分の見切りで糸を躱している。心眼だ。
緑「刃影とちゃうんかい!」
確かにこれはいい練習になる。昨日のそれぞれの技をメンバー全員が使えるようになろうと、何度も戦って試した。練習相手には事欠かない。
モンスターの数は異常に多かったけど、私たちは夢中になっていたので気にならなかった。
黄「魔核の数、いくつ集まりました?」
黒「91個だ。」
緑「まじで?ちょっとやりすぎたんちゃうか?
休憩して、弁当食べようや。」
赤「賛せ~い!」
とりあえずランチタイムにする。
<もぐもぐタイム>
<癒される…>
<俺も腹が減ってきたw>
<そだねー>
<そだねー>
私たちは弁当を食べながら、改めて【エリア】を広げて周りを探ってみた。【エリア】っていうのは魔力を球体に広げて、その中を自在に感知するっていうあれね。これにも名前があったほうが便利だから、昨日みんなで考えたんだ。
私たちのレベルがずいぶん上がったのだと思う。エリアは今までよりもずっと遠くまで広がった。
赤「あ、階段!」
森の奥深くに地下への階段を見つけちゃった。
赤「どうする?」
黒「ここのボスは【マリオネッタ】という蝶のモンスターだ。
ちなみにレベル5だから、アースホーンより1つ上だな。」
黄「その姿はすごく美しいと聞きますね。」
赤「え?見てみたーい!
せっかくだから戦っちゃう?」
緑「それがええかもしれへんな。
ちょっと魔核を集めすぎて、目立ちすぎへんか気になってたとこや。」
<それはそれで目立つのでは>
<ボスを倒すんだからな>
<そもそも目立ちたくないはおかしいだろ>
<そだねー>
<そだねー>
<そだねー>
☆☆☆
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