第18話 さくらの片思い?

 制限時間終了を知らせる鐘が、森に鳴り響いた。


 17時だ。

 30分以内に戻らないといけない。


 私たちは、スタート地点を目指して走り出した。



 今日は他の参加者を全然見なかったな。

 みんな、森の浅部から動かなかったのだろうか。


 10分くらい走ったところで、スタート地点が見えてきた。ここまで来ると、やっと他の参加者の姿もちらほら目に入る。



「おーい!さくらぁ!」



 悠太が私たちを見つけて、大きな声で呼び止めた。



<誰?>

<彼氏?>

<イケメン現る>


<くそキモイ>

<呼び捨てだったな>

<むかつく!>



 せっかくここまで顔を合わせずに来れたのに、とうとう鉢合わせしちゃったな。私は少し苦い顔をしてたと思う。



赤「悠太、お疲れさま。初日の成果はどうだった?」



<名前で呼び合ってる>

<JKは性が乱れている>

<これは彼氏確定>


<何でだよw>

<お前DT?>

<お前こそ希望的観測おつ>



「魔核、10個くらいかな。お前らは?」


赤「えーっと…。

  オーク1体とマンイーターが5体、アーチャーが2体。

  それと蜘蛛のモンスターが3体だから…11個!

  初日は私たちが1つリードだね!」


「は?ちょうど10個とは言ってねえし。

 てか、なんだよ?蜘蛛ってww

 そんなのいねーよ!」


赤「それがいたんだって!」


「はいはい。どっちにしろ無効だろ?

 最初の説明に入ってなかったし。」


赤「むー…そうなのかなぁ。」


「だけどお前らがここまでやるとは思ってなかったぜ。

 俺たちについてきただけの金魚のフンかと思ってたww」



 は?


 自分たちが誘っておいて、その表現おかしくない?

 絶対にこいつらには負けたくないな。



<聞いたか?>

<聞いた。>

<リリィズはこの悠太君を追いかけてきたってこと?>


<なんか俺、今嫌な気持ちになった。>

<俺も>

<俺も>



赤「じゃあ遅れたら失格になるから、私たち行くね。」



悠太と別れた後、私たちは初日を無事にゴールして、受付に魔石を提出した。


「え?これってシルクウィーバーの魔石??

 すみません。これってどんなモンスターから獲れました??」


赤「んーっと、このくらいの大きさの蜘蛛でしたよ。」


「で、ですよねー。ありがとうございました。」




「おい。なんで外来種がうちの森にいるんだ?」

「知らねーよ。紛れ込んだんだろ?」

「どうするこれ?報告する?」

「もう討伐されてるんだから、よくね?」




赤「じゃあ今日の配信はここまでね!

  明日もがんばるから応援よろしくー!」



<悠太との関係は>

<説明お願いします>

<やったの?>



赤「悠太??アハハ。

  ただの同級生だよー。

  じゃあばいばい!」



<ほっ>

<ただの同級生かー>

<ちょろいな。信じすぎだろ>


<あいつについてきたんだろ?>

<さくらの片思い?>

<俺はさくらの言葉を信じる>




 今日は疲れたなぁ。さあ、ホテルにチェックインだ!



「わあ。素敵なホテルですね。」

「急な予約やったのに、部屋もええ感じやん。」

「うん。私たちには贅沢な気もするな。」

「何言ってんの。稼いだときは遣っていいのよー。」


「ご飯までには時間があるね。

 みんなで温泉いかない?」


 賛成っ~!!!



 こうして初日を終えた私たちは、疲れをとるためホテルの温泉に向かった。







☆☆☆


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