第17話 新しい必殺技3つ
【夜影茸】は200個くらい採取できた。1か所につき、10や20と群生してることが多かったからね。
途中でゴブリンアーチャーを2匹討伐した。私たちにとったら気配で居場所が丸わかりだから、取るに足らない相手だった。けど、死角だらけの森の中で戦うには、普通なら難易度の高いモンスターかもしれない。
それからさっきの蜘蛛のモンスター、なんだったのかなぁ。あんなのがいるって情報はなかったけどなぁ。あれは結構強かった。
赤「あ、また蜘蛛!」
黒「今度は3匹やな。」
<また出た>
<何こいつ?>
<シルクウィーバーって言うんやで>
<さっきは誰も知らんかったのに>
<調べたのか?>
<調べた>
黄「ありがとうございます。シルクウィーバーって言うんですね。」
緑「まあ名前がわかったところでなぁ。」
<ちな毒はない>
さて、どうしようか。
どうしたってあの糸が曲者なんだよね。
糸にはネバネバしたのと、切れ味鋭い2種類がある。
黒「私に任せてくれるか?」
リリスは私たちより1歩前に出た。そして木刀を身構え、なんと目をつぶる。さすがにそれは危険なのでは…。
だけどリリスは、そのまま一気に距離を詰めた。縮地だ。蜘蛛は待ち構えていたように糸を噴き出す。3匹から一斉に糸が飛んでくる。ネバネバか、切れ味か。どちらにせよ当たるとヤバい。
赤「危ない!」
私はとっさに叫んだ。リリスは前進の速度を落とさずに、ほんの僅かに左右に揺れて、紙一重のところですべての糸を躱し切った。そして、そのまま蜘蛛の目前に迫ると不幸な1匹を叩き割った。…【心眼】ってやつかな。
<マジか>
<笑うしかない>
<達人だ>
黄「あ、私も1つ思いつきました。」
和泉は蜘蛛の傍まで進み出て、剣を振り上げる。蜘蛛が糸を飛ばす。なんとか躱す。躱せるのは、蜘蛛までの距離がまだ遠いということだ。つまり、和泉の剣の間合いには入っていない。
当たらないはずだ。なのに和泉は、振り上げた剣を蜘蛛に振り下ろす。すると剣が伸びた。いや、伸びたように見えた。実際は剣を覆っているオーラが伸び、間合いの外にいる蜘蛛を斬った。かっこいい!【刃影】って名前はどうだろうか。
<伸びた?>
<どうなってる?>
<アニメかよ>
緑「ほな、うちも!」
そういうと葵はその場で木刀を薙ぎ払う。素振りをするように、2度、3度と木刀を泳がせた。すると、剣先から何かが飛んでいく。それは3つとも蜘蛛に直撃し、蜘蛛には大きな裂け目が3つ入った。むろん絶命している。これは…【風刃】だね!
<これもやばい>
<風圧ってやつ?>
<風に魔力をのせた?>
赤「どう?これがリリィズの力だよ!」
私はカメラにピースサインを決める。
<偉そうに>
<お前は何もしてないだろ>
<無能>
えーーー!
そ、そうなんだけど…バレてるw
赤「わ、私は…今の3つの技に…名前を付けてたんだよ!」
今日のピースサインは上手く決まらなかった。
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