第13話 突然、声をかけられた
私たちは今、【鹿の森ダンジョン】に併設されている、ギルドの出張所にきている。
まずはダンジョン踏破後の話をしないといけないな。私たちは地下10階で、ダンジョンボスのアースホーンを倒した。ほんの30分くらい前の話だ。
アースホーンを倒した後、壁際に穴を見つけた。戦ってるときにはそんな穴はなかった。たぶん、アースホーンを倒すと、中に入れる仕掛けだったんだと思う。
穴の中を進むと、木の宝箱があった。木箱と言ってもゴブリンアーチャーが用意した偽物よりは、ずっと立派だったけどね。その中に入ってたものは2つ。
1つは金貨が10枚だ。金貨というのは、ダンジョンで見つかる財宝の代表的なもの。もちろん貨幣としては使えないから、ギルドで買い取ってもらう。1枚10万円。ただし互助費として3万円ひかれちゃうから、実質は1枚7万円ってことだね。
もう1つは【魔法の鍵】。これがないとEランク以上のダンジョンには入れない。魔法の鍵を持ってることが、1人前の冒険者の証ってことになってる。
「リリィズさぁん!」
「はぁい!」
受付で名前が呼ばれているみたい。私たちは倒したモンスターの魔核と金貨の買取をお願いして、査定を待っていたってわけ。
「登録2日目でダンジョンクリアはすごいですね!それに魔核の数も!」
「ありがとうございます。いろいろ運が良かったんです!」
「まずは金貨が10枚で100万円。それに魔核が全部で35万円になりました。
合計135万円なので、互助費をひいて94万5000円の受け取りですね。」
そんなに貰えるんだ!レベル1のモンスターの魔石なんて、二束三文だって聞いてたんだけど。やっぱり数が多かったからなぁ。
「こんなにもらえるんですね。あ、そうだ!
互助組合からお金を借りているんですけど、この窓口で返済できますか?」
「はい。もちろんできますよ。」
受付のお姉さんが笑顔で答えてくれる。みんなの装備を揃えるのに借りたお金は19万円だった。私は一括で19万円を支払う。
それからもう1つ用事がある。
セレーネの従魔登録をしなくちゃね。
「え?ルナピュールですか??そんなの使役できます?
…って、確かに懐いてますね。」
「珍しいんですか?」
「妖精系はテイマーでも難しいですからね。
聖職者とか剣聖など、聖属性の魔力持ちの人でわずかに例があるくらいかと…。」
なるほど。…うちには剣聖が4人いる。
「でも、こうして使役されているようですし手続きさせていただきますね。」
そういってお姉さんは、従魔用の首輪をくれた。
さあ、いつものスタックスに戻ってきたよ。
最初の議題は…やっぱりセレーネかな。
受付で聞いたんだけど、セレーネの餌やお世話って特に必要ないんだって。異空間にセレーネの部屋を作っているわけだけど、4人それぞれがこの部屋の入り口を開けられるように工夫した。つまり、セレーネをお部屋ごと、4人でシェアする形にしたってこと。これでいつでもセレーネを撫でられるよ。
それから、お金。活動費として、最初にみんなから集めていたお金が合計3万1000円あった。これはほとんど使って3000円しか残ってない。
だけど、大金が手に入ったから、出してもらったお金はみんなに返すことになった。出した金額がバラバラだったしね。
それで、残っている活動費3000円と、今日の収益をあわせて75万8000円!
「え?ほんまに?そんな大金どないしよ!」
「1日でお金持ちになってしまいましたねぇ。」
「JKには扱いに困る大金だな。」
そんなわけで、みんなで話し合った結果。個人には1万円ずつお小遣いを配り、残りはパーティの活動資金として置いておくことになった。
夏休み2日目、パーティの貯金は、71万8000円だ!!
「あれ?さくらたちじゃね?」
そんな話をしていたら、突然、誰かに声をかけられた。
☆☆☆
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