第12話 初めてのボス戦 ~悔しい思い~
10階層に辿り着いた。この階層はそんなに広くないみたい。大人が思いっきり、野球をできるくらいかな?
そして、階層の真ん中にはボスが居座っている。
<ボス出た!>
<ド迫力>
<アースホーン!>
<リリィズがんばれ!>
<気を付けてね>
<焦らずじっくりいこうww>
【鹿の森ダンジョン】のボスは、もちろん鹿のモンスター。頭に大きな角が尖っている。それだけじゃなく、アースホーンが唸り声を上げれば、地面が揺れる。立ってられないくらいにね。
アースホーンはこちらに気づいてゆっくりと立ち上がった。大きい。体長10m以上あるよね…。立派なおうち1軒分くらいの大きさだ。
<でけえ>
<これどうやって倒すの?>
<JKには荷が重くね?>
<突進くるぞ!>
<腐ってもレベル4>
<別に腐ってないww>
アースホーンはこっちに向き直ると、グッと屈みこんだ。そして、揃えた後ろ脚を思いっきり瞬発させた。物理的な筋力で縮地を思わせるスピード。不可避の壁が突っ込んできたみたいだ。
私たちは目前に木刀を構え、突進を受け止めながら後ろに吹き飛んだ。
ここでアースホーンの唸り声がきた。後ろへ吹き飛ばされながら、なんとか着地しようとしているのに、その地面が躍り出したんだからたまらない。私たちはごろごろと転がるしかなかった。
赤「これは本当に舐めてられないわよ。」
私たちはアースホーンから距離をとりながら、周りを取り囲んだ。相手は巨体だ。小回りに欠ける。
アースホーンの突進は横に躱せばいい。
それだけでアースホーンは決め手に欠ける。
私たちは戦いながら、戦い方を学んでる。アースホーンは自身の攻撃がことごとく躱され、困惑しているようだ。…今だ!私は縮地で飛び込んだ。
そうして、アースホーンが気づくより先に、木刀を一閃した。
滑らかに胴と別れたそれは、地面に落ちた。時間に差を置いて、胴のほうも横に崩れ落ちる。
<まさか>
<マジで>
<瞬殺!>
<これはもうマグレじゃない…>
<88888>
<8888888888>
<88888888>
画面が数字の8で埋め尽くされそうだ。
私たちは、ダンジョンボスの討伐に成功した。
<でも…>
赤「ん?…でも、なに??」
<あぁ…>
<残念!>
<ドンマイ>
赤「な、なによ?残念って??
ダンジョンボスを討伐したのよ!」
<3時間51分>
<3分>
<3分届かず…>
あ。
赤「きゃあぁぁぁぁぁあ!!!」
わ、忘れてたぁ!
<と思った>
<罰ゲーム~>
<サービスショット!!>
<約束は守ろうね>
<dkdk>
<wkwk>
そういえば、ダンジョン攻略のタイムレコードを更新できるかどうか、視聴者と賭けていたんだった。私たちが勝ったら、みんな私たちのファンになってチャンネル登録してくれるって約束だったんだけど…。
ど、どうしよ~!(涙)
緑「ん~、しゃあないなぁ。」
葵が頭をかきながら呟いた。
そして。いきなり縮地で和泉の真後ろに飛び込むと、脇の下に手を差し込み、豊かな膨らみを両手で下から支えるように掴んだ。
黄「…え?え?え?何するんです?」
緑「まあまあまあ。うちも役得やし。」
そういうと、葵の五指はたわわな膨らみに吸収されるように食い込み、さわさわとうごめいた。
黄「ん…んん…ん…あっ」
緑「はーい、ここまで~!」
そういうと、葵の触手は和泉の果実を解放した。解放する離れ際、最後に若草山のてっぺんを指先でしゅっとかすめた。
黄「ひゃんっ!!」
和泉は膝から落ちて、その場にへたり込んでしまった。
緑「和泉ちゃん、ごめんなぁ。でもこないでもせんと収まりつかへんかったから。」
葵は和泉の頭をなでている。
黄「も~ぅ!」
和泉は頬を膨らませた。
なんか、私まで顔が赤くなっちゃった。
赤「んー!悔しい!
本当だったら、登録者を一気に増やせると思ったのにー!」
思わず叫ぶ。
<ファンになった>
<推す>
<推す>
<推す>
<やべー>
<推し見つけた!>
家に帰って驚いたんだけど。
私たちのチャンネル登録者はその日、3万人を超えた。
☆☆☆
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