第8話 洋服ダンスも冷蔵庫もいらない

 冠を頭にのせると、私の【古霊視】が発動した。情報がスンと降りてくる。【空の冠】って名前、本当みたい。この冠には8つの魔法が宿っていて、7色のオーブを1つはめ込むたびに魔法が解放される。どんな魔法かはまだわからない。


 そして、最初の1個は真ん中の水晶に宿っているので、実はもう使える。その魔法はなんと【収納魔法】なんだって!聞いたことがある、超便利なやつ。


 ただ、私が最初にかぶったことで、私の魔力の波長が登録されてしまった。だから私以外の人がかぶっても魔法は引き出せない。独り占めしちゃったみたいで、ごめんねみんな。


緑「うん。まあ別にええよw」


黄「はい。誰か1人ならリーダーに使ってもらうのがいいと思います。」


黒「うん。それはいいのだけど…ちょっと貸してみてくれないか?」


 私は【空の冠】をリリスに手渡す。


 リリスはそれを自分の頭に乗せた。


黒「こ、これは…!」




黒「私も収納魔法が覚えられたぞ。」



赤「へ?」


緑「なんでやねん!」


黄「…あ!魔力の波長ですか?」


黒「そのとおり!正解だ。私たちの魔力は、剣聖の呼吸によって生み出されている。

  つまり、4人とも波長は同じじゃないかと思ったんだ。」



 私たちは順番に【空の冠】を被った。すると無事、全員が【収納魔法】を覚えることができた。私は木刀で目の前の空気を斬る。そこに空間の裂け目ができて、なんでも収納できる。


 私はとりあえず、この【空の冠】を収納した。



<何言ってんの>

<よくわからん>

<説明お願い>



 私たちは、穴の外に出て、錯乱しているスライムの魔核を魔法収納していった。ここまでに倒したモンスターの魔核で、私たちのカバンはすでにいっぱいだったからちょうどよかった。



<魔核を収納…してるんだよな>

<全員がこの瞬間に収納魔法覚えたってこと?>

<こいつら何者?>



赤「すごーい!これ本当に便利!!」


緑「確かに!これ1つで部屋の収納問題は解決やん。」


黄「これからは洋服ダンス、いらないですね!」


黒「しかもこれ、中の時間が止まっているぞ。」


黄「ということは…冷蔵庫もいりませんね。」


緑「コーラを冷やして飲みたいときには、必要やけどな…。」



<こいつら宝具を何だと…>

<ちょっと便利な家電扱いww>

<いや、気持ちわかるww>



赤「残りのオーブってどこにあるんだろうね?」


緑「全部、このダンジョンにあったら手っ取り早いのになぁ。」


黄「さすがに、そういうわけにはいかないでしょう。」


黒「うん。きっと全国のダンジョンに散らばっているんだよ。」




赤「よーし!じゃあ私たちの夏休みの自由研究…

  もとい、冒険の目標は決まったね!


  7色のオーブを集めて、龍を呼び出すよー!」




<話が違う…>

<何言ってんだww>

<ギャルのパンティ、お~くれっ!!>






☆☆☆


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