第6話 無謀なギャンブル

赤「ここが2階層ね。この階は岩壁の迷路みたいになっているのね。」



<もうB1クリア!>

<早ええ>

<10分かかったか?>

<これ、3時間48分いけるんじゃね?>



緑「なんや?3時間48分って??」



<知らないのかw>

<鹿の森ダンジョンのタイムレコード>



黄「でも、このダンジョンて地下10階までですよね?」


黒「うむ。意外といけるんじゃないか??」



<さすがにそれはww>

<ダンジョンはここからが…>

<昨日デビューのひよっこなのにww>

<調子のるな>



赤「みんなうるさーい!

  じゃあ賭けよう!

  私たちがレコード出したら…そうね、

  みんなチャンネル登録して私たちのファンになること!どう?」



<そっちは何を賭けるんだ?>

<ノーリスクはないよな?>

<失敗したらどうする?>

<失敗したらサービスショット>



赤「サービスショットぉ…。

  何よそれ?」



<お察し>

<察しろ>

<ヒント→昨日>

<肌→露わww>



赤「な、なによ、それー!

  絶対、嫌!!」



<逃げた>

<逃げた>

<逃げた>


<ここでも逃げた>

<今日も逃げるの?>

<これでファンになれって言われても…>



赤「はぁ?(怒)誰が逃げたって?

  わかったわよ!

  もしもダンジョン記録を更新できなかったら…好きにしなさいよ!」


緑「は?なんちゅう約束しとんねん?」


黄「そうですよぉ。

  そういうのは止めときましょうよ。」


黒「私は知らないぞ。」



<言ったぞ?>

<言った>

<言った>



赤「さあ、私たちの伝説の幕開けよー!」



 私たちは次の階段を目指して走り始めた。いや、私たちが向かう先はダンジョンレコードだ!


 1階層と比べてモンスターの数が増えている。しかも2階層は迷路になっているから、通り道にモンスターがいたら回避することはできない。


 だけど戦闘は悪いことだけじゃない。自分たちのレベルアップになるし、動画が映えるから視聴者に喜んでもらえる。



 さあ、2㎞先ね!



黒「今度はバンビだな。」


黄「5匹…ですか?」


 どんなに複雑な迷路でも、道を間違えたりはしない。私たちは、あっという間にバンビを目前に捉え、スピードを緩めることなく5匹のモンスターを討ち取った。



<速えぇ>

<これは…>

<マジ?>



 どんどん進む。私たちはその後、ゴブリンの群れとバンビの群れに1回ずつ出くわして退けた後、スライムの気配を感じ取った。


赤「昨日のリベンジチャンスね!」


緑「せやけどこれ、様子がおかしいで!」


黄「ちょっと数が多いですね。」


黒「輪郭がわかりにくいが、大きさ的に100匹単位だぞ?」



 私たちは気配を感じるままに、迷路の角を右に曲がった。学校の体育館くらいかな。開けた空間が広がり、奥には沼がある。


赤「スライムはどこ??」


姿が見えない。


黄「気配は感じますのに…」


黒「違う!あれは沼じゃない!スライムの集合体だ!」


緑「あれ全部??マジかい!」



<マジ?>

<あれ全部スライム??>

<もしかしてキングスライムに…>

<なるかー!>



 昨日のこともあるから、スライムにはあまり近づきたくない。私たちは沼の手前10mくらいのところで立ち止まった。


赤「体操体系にぃ、開けっ!!」


緑「ぶっ!なんじゃそれ?

  ラジオ体操ちゃうねんぞ!もっとや、もうちょい開いとこ!」


私たちはお互いに間隔をとった。


 剣聖は魔法がつかえる。魔力を属性に変換するような無駄をしないだけで、例えば魔力をエネルギーの塊として、剣先から放出できる。私たちは、お互いの目を見て頷きあった。



行くよーーーーーーー!!!





☆☆☆


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