第4話 剣聖の奥義をコピーする
やばい。これは剣聖が極めた剣の奥義の記憶。誰かに伝えたい思いを拗らせて、ほとんど呪いレベルで木刀にこびりついていた。でも、内容は抽象的で感覚的でほとんど読み取れない。
「え?この光っている部分が木刀の記憶なん??
うちの【付与】が反応してるんやけど…。」
「反応しているとはどういうことだ?」
「【付与】する対象として認識してるってこと。
記憶って言うより、ほとんど怨念とか呪いみたいなエネルギーになっとるから。
うち、この記憶を誰かの頭に【付与】できそうやわ!知らんけど。」
「確かにこのままじゃ読み取れそうにないけど。
でも、頭に呪いを【付与】されるのは怖いわよ。」
「いや、この光からは一切の害意が感じられない。
もしよかったら、私の頭に【付与】してくれないか?」
「ホンマにええんか?いくで!」
まるでこの光にコントロールされるみたいに、私たちは無我夢中で剣聖の記憶を貪ろうとしていた。
「ん。あかん!やっぱり強すぎて、この木刀から離れへんな。」
「私の魔力を【バフ】の形で、全部お貸ししますわ。」
バフにはそんな使い方もあるのか。
和泉は葵の【付与】に【バフ】をかけ続ける。木刀にこびりついた光は徐々に浮き始め、リリスの頭部に向かった。リリスの頭が仄かに光り、彼女は白目をむく…
「あっ・・・、あっ・・・。あぁぁぁぁぁああ・・・。」
私たちは心配しながらもリリスを見守るしかできなかったけれど、しばらくしたら彼女は意識を取り戻した。
「大丈夫ですか?リリスさん。
私たち、無謀なことをしてしまいましたわね。」
「いや!これは…すごい。なんという情報量。
なんという理路整然とした風景なんだ。
え?私の【リフレクト】が反応している。
呪いの形を帯びているので攻撃と判断したのか。
ちょうどいい。
みんなも私と同じものを見てくれ!」
そういうと【古霊視】で浮かび上がったその光を、リリスは私たち3人に【リフレクト】した。
さっきのリリスみたいに私たちの頭も仄かに光って、3人は白目をむいた。
「あ。あ。あ。あああ。」
私たちはしばらく苦しみ、そして覚醒した。
ここに剣聖が4人いる。その奥義は私たちの身体にしっかりと染み渡った。1人でも世の中を騒がせる力を持っているであろう剣聖が、ここに4人いる。しかもその4人は回復能力も持ち合わせているのだ。
この手に宿った力を試したくてしかたがなかった。
私たちは興奮を隠しきれず、今日も昼からダンジョンに潜ることにした。
「まずは昨日の反省もいかして、防具を揃えないか?」
「でもお金はどうするの?」
「ギルドに相談すれば冒険互助費から貸してもらえると思いますわ。」
「そうなん?じゃあ早速ギルドに行こうや!」
まずは昨日と同じように、ダンジョンへの入場手続するね。ダンジョンに潜るのにお金はいらない。冒険者の安全を守るために、ドローンも無償で貸してもらえる。その代わりに、討伐したモンスターの魔核を売る時には30%を互助費としてもっていかれちゃう。
それから、ドローンで撮った動画を外部サイトに接続して配信するとなると、そこにはお金が発生する。私は今日もなけなしの1万4000円を支払った。
次に武器や防具の件を職員に相談した。現金を借りるのではなく、ギルドのショップで中古品を中心に買い物させてもらうことになった。その代金が借金扱いになる。そんな説明を受けて、私たちは装備を充実させた。
さあ!ダンジョンにリベンジよ!
私たちは、きっと強くなってる!…た、多分ね。
私たちは自分の力を試してみたくてウズウズしていた。
☆☆☆
ご愛読ありがとうございます。
どうか、フォローや★評価など、よろしくお願いします。
★評価のつけ方
①評価したい作品の目次ページに戻る。
②レビューのところに「⊕☆☆☆」←こんなのがあるので⊕を押して評価する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます