第3話 女子会議で剣聖の記憶のぞく
私たちは今日もスタックスに集まった。まずは、それぞれ何ができるのか確認していこうか。アイスラテを飲みながら、優雅に女子会議だ。
私たちはみんな回復職で素質はAランク。
さくら、こと私は【巫女】。
緑色のショートヘアで関西弁の葵が【薬師】。
クリーム色の髪を三つ編みにしてる、隠れグラマラスな和泉は【白魔導士】。
銀の髪に青い瞳がかっこいいリリスは【プリースト】。
「私は【治癒】って言って、回復ができるんだけど、他に回復できる人―!」
はーい!
全員が手をあげる。そうだよねー。
「私は【ヒール】が使えます。」
「私も【ヒール】だ。」
和泉とリリスが答える。葵は
「【ポーション精製】ができる。」
らしい。
じゃあ、毒とか麻痺を治せる人はいるかな?ちなみに私は、【浄化】が使えるよ。
「うちも、状態異常を治す薬はだいたい【精製】できるで。」
「私は【リフレッシュ】が使えます。」
「私は【デトックス】だ。」
うん。名前こそ違えど、能力まるかぶり…。みんな素質はあるし魔力量はすごいらしいんだけど…。
誰か攻撃に使える魔法持ってる??
・・・。
誰も持っていない…。
じゃあ、もしも今言った以外にも能力を持っていたら、それを発表していこうか。
「まず私なんだけど、【古霊視】っていうスキルが使える。レベルが上がれば、呼び出した霊を仲間に憑依させて、能力を強化したりできるらしいけど。今は、物体に残っている記憶を読み取ることくらいしかできない。」
「あ、仲間を強化する【バフ】なら、私、今の時点で使えますよ。やっぱり能力がかぶっちゃいますね。私が使えるのはそれくらいです。」
和泉は【バフ】か。葵はどうなの?
「私は、【付与】が使えるよ。回復や状態異常だけじゃなくても、誰かが能力を貸してくれるなら、それをアイテムに付与できるんだ。例えば和泉のバフを魔石に付与して、誰でも使える状態で持ち歩いたりできる。」
なるほど。使いようによっては便利かもしれないね。最後にリリスはどう?
「私は【リフレクト】が使える。相手の攻撃を反射して、ダメージを相手に返すんだ。だけどまだレベルが低いので、自分もダメージを受けてしまう。だから今の時点では、自分が受けたダメージを相手にもお返しするスキルだな。」
なるほど。なかなか面白いけど、やっぱり偏りすぎてるな。この手持ちカードでは闘えないか。
「ねえ、さくらの【古霊視】っておもしろそうやから、見てみたいねんけど。」
「え?別にいいよ。」
物体に残った記憶の残滓か…物体って、何か手ごろなものないかな。
「これなんかどうですか?」
和泉が自分の木刀を差し出した。
「あ、これ。昨日和泉が持ってきたけど、全然活躍しなかった木刀やん。」
「もう。そんなこと言わないでください。」
和泉の家は山の中にある大きな古民家で、由緒があるんだって。それで、和泉が小さかった頃、全盛期をすぎた剣聖が訪ねてきて何か月か泊っていった。その時に、朝晩の稽古に使っていた木刀らしい。剣聖は記念にと木刀を置いて旅立ったという。
「え?やば。このシチュエーションにちょうど良すぎへん?w」
「確かに。剣聖の記憶とはワクワクするな。」
「煩悩ばっかりやったりしてw」
「立派な剣聖様だったと、聞いてはいるのですが…。」
よし!とにかくやって見よう!私は使い込まれて薄汚れた木刀に【古霊視】を使ってみた。や、やばい!これ、なんかやばい…
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