第2話 現実逃避でダンジョン潜る
§
今日から夏休み。私たち4人は前からの約束を実行した。4人で冒険者になって、配信者デビューするんだ!まずはみんながギルドって呼んでる市の施設で、冒険者登録をする。
「さくらさん、あなたの適正職業は…【巫女】です!」
やったぁ。巫女って回復職の中でもなんか神秘的だし、ちょっと狙ってたんだよね。あの赤い袴も着てみたかったし。他の3人はどうだったのかな。ギルドに併設されている待ち合わせ場所のスタックスに向かう。どうしても早足が抑えられない。
「あ、さくら。こっちやでー!」
「遅かったんだな。」
「うん。適性検査が終わった後の説明が長くて…。」
「わかります。私も長かったです。」
「携帯の契約とちゃうっていうねんなぁ!w」
「それで適性はどうだった?」
「じゃーん!なんと【巫女】だったよ。しかも素質はAクラス!」
「へ、へー。そうなんや…。」
「巫女なんて、可愛くて…いいですね。」
あれ?なんか微妙?みんなどうしたの?
「どうもしないのだけどな…。
うん。みんなの検査結果を見せ合うのが早いか… 。」
リリスまでなんか変。もしかして、みんな【勇者】とか【賢者】とか、ガチすぎな職業もらったとか?それで巫女がお荷物??でも、パーティはバランスが大切!回復職だってきっと役に立つよ。
「ほな、いっせいにカードを出して見せ合おか。」
せーのっ!!!
「あら、葵は薬師?いいじゃない!いろんなアイテムが作れるし、冒険以外でも仕事に困らないよ!」
「和泉は白魔導士?イメージぴったり!フードのついた白魔服を着てるとこ今すぐ見てみたい!」
「リリアはプリースト?やば!青い瞳に修道服って…そそられすぎる!」
私たち、絶対人気者になれるよ!色合いのバランスも完璧!
「…ん??バランス??
ちょ、ちょっと待って…。」
…ええぇぇぇ!!!
「これって、みんな回復職じゃない!」
え?え?え?じゃあ、誰がモンスターと戦うの?
「それが問題なんだ…。」
「せめてさくらさんが攻撃職だったらと思って期待していたのですが…。」
「まさかの巫女…もう、笑うしかあらへんwww」
「うん。わかった。
困ったことは一旦忘れて、パーティ名でも考えましょうか!」
「現実逃避すなっ!」
「みんな可憐な回復職だから、【リリィズ】とかどうかな?」
「リリィ…百合の花か。
なかなかええんと…って、だから問題はそことちゃうねんて!」
「【リリィズ】、可愛くていい響きですね。」
「だけど、それだと私が中心のパーティみたいにならないか?」
「そう言えば、リリスと名前がかぶるね。じゃあいっそ、リリスをリーダーにする?」
「ちょっと、待てぇーーーーー!!
100歩譲ってパーティ名は【リリィズ】でええわ。
それからリーダーはさくらや。これは動かん。
この窮地に陥ってもその落ち着きやからな。
それでリーダーよ!
目の前のこの窮地はどうするんや?」
どうするって言われても。どうしようもないわよね。
「じゃっ、とにかく今からダンジョン行ってみる?」
「…は?」
私たちの家の近くには「鹿の森ダンジョン」っていう、初級ダンジョンがある。このダンジョンが身近にあるからこそ、私たちは冒険者を目指したんだ。ここで悲惨な事故が起きたなんて話は聞いたことがないし、きっと大丈夫よね。
§
そう思って挑んだんだけど、結果はご存じの通り。ある意味悲惨な事故が起こってしまった。でも私たちの夏休みは始まったばかり。
明日、もう1度集まって作戦会議だー!
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