みんな、剣聖。~女の子4人組で配信冒険者を始めるつもりが、4人とも回復職だった件~

杉田モン太

第1話 私たちのデビュー配信

赤「【リリィズ】のさくらです!

  今日は奈良県の【鹿の森ダンジョン】に来てまちゅ。」


緑「ははっ。葵です!うちら今日がダンジョンデビューやでー。」


黄「和泉です。それに配信も初めてなので皆ドキドキしております。」


黒「リリスだ。チャンネル…登録?よろしく頼む。」




<来てまちゅ、って!ww>

<いきなり自動チャットに噛みを拾われてるww>

<初見だけど推せる!>

<全員、私服?>



赤「私服でーす。まだ装備を買い揃えるお金もないのでw」



 鹿の森ダンジョンなんてFランクの初心者ダンジョンだからなんとかなるよね。森に入って少し進むと、地下鉄に降りるような階段を見つけた。この先がダンジョンだ。怖がっていてもしかたがない。私たちはどんどん進む。



赤「あっ!あれ、ラットじゃない?」


緑「ホンマや。写真で見たんと同じやな。」


黄「あ、近づいてきましたよ。

  え?なんでみなさん私の後ろに隠れるんですか?」


黒「だって、武器を持っているのは和泉だけじゃないか。」




<確かにwww>

<あの武器なに??木刀??>

<奈良のお土産屋で買ってきたのか?www>

<よく見たら使い込まれてるぞ!…まさか達人?>



<え?>

<え?>

<え?>




<逃げたw>

<逃げたw>

<逃げんのかい!w>



<違う戦略的撤退>

<安全第一>

<何しにダンジョンまで??ww>



はぁはぁはぁ…



赤「ちょっとぉ。近くで見たら結構大きくなかった?」


緑「うちん家の犬よりデカかった!」


黄「みなさぁん、ダメージがあったら回復しましょうか?」


黒「大丈夫だ!ダメージはない。」




<武器を持ってるお前が回復役なんかーい!>

<大丈夫だ!キリッwww腹痛えwww>

<見てられん…。視聴者数、激減中ww>



赤「さあ、みんな次こそがんばるよ!」


緑「うちら、もしかして全国に恥晒してない?」


黄「大丈夫ですよ。視聴者数…たった8人ですから。」


黒「あ!出たぞ!このダンジョンの固有種、バンビだ!!」




・・・。




<www>

<www>



<やっぱり逃げたww>

<バンビから逃げる奴おる?>

<もはやお約束ww>

<芸術点高いwww>



はぁはぁはぁ…



…ふう。可愛い名前なのに、瞳が赤く光ってて怖かったな。やっぱり私たちにダンジョンは早すぎたかなぁ。あれ、背中に違和感が…




赤「きゃあぁぁぁぁあ!私の背中、何かついてる??」


緑「スライムや!」


黄「大変です!みんなでひきはがしましょう!」


黒「これ、ネバネバだし千切れるし、取れないぞ!」




<俺たちは何を見せられているんだ…>

<木刀の意味ww>

<なつかれてない??ww>


<さすがにスライム相手に…死亡事故とかないよな?>

<さくらちゃん!気を付けて!>




赤「はあ、はあ、はあ。危なかった…。

  みんな、ありがと。とりあえず休憩しよ。」


 スライムをなんとかひきはがすことに成功した私たちは、その場に座り込んでしまった。全然上手くいかない。泣きたい気分だ。



赤「みんな、ごめんね。大丈夫??」


緑「謝らんでええ。ダンジョンを甘く見てたんはみんなやから。」


赤「ありがとう。少し休んだら、今度こそがんばろ!」




<まだ、がんばるんだ…>

<スライム相手に苦戦して、何をがんばるんだ?>


<てか、あれ?>

<え?>

<え?>

<え?>



黄「きゃあぁぁぁ!大変です、さくらさん!

  あの…洋服が…。」


赤「え?なに?

  

  …きゃあぁぁぁぁ!!!」


 

 私の服が溶けてる??


 肩から腰にかけて、服がボロボロになった私は、背中と一緒に下着が露わになっていた。




<眼福>

<眼福>

<丸見え!ww>

<眼福>

<見続けててよかった!>




赤「み、見ないで!眼福ってなによー!」



 身をかがめて頬を赤らめながら、ドローンカメラをキッと睨んだ私の顔のアップを最後に、画面は暗くなった。



黄「大丈夫です。配信画面をオフにしました。

  …今日はもう帰りましょ。」


黒「ん。これを羽織ると良い。

  こんな日もあるさ。」



 音声だけが流れている真っ暗な画面に、チャットの文字が流れ続けている。



<あざとい…>

<演出??>

<素晴らしい>

<…惚れた>

<これはバズる>

<リリィズ、これから応援するぞー>




☆☆☆


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