第五章 ラッキーバトル

第19話 四天王サイアック(前編)

====前回のぼうけん(?)===

 ニコルの野郎、いつもいつもいいとこどりしやがって!僕のメンツは丸つぶれだ!

=================


ヌイーダ「ヨーボ、エピソードタイトルみた?」


ヨーボ「あぁ。わしも気になっとった。とんでもない急展開じゃの。」


僕「何の話だ」


ヌイーダ「どうやら今回四天王の1人が現れるらしいわよ。」


僕「わかった。あれだろ。どうせ冒険の序盤で絶対に勝てない強敵と戦わせて全滅させることで強さを見せつけ、憎き魔王一味を打ちのめしてやると冒険者を奮起させるためだけに発生するイベントだろ」


ヌイーダ「まさにアルフのために存在しているイベントじゃない」


僕「そんな単純な手には乗らない」


ジュード「乗れよ…勇者なんだから…」


ニコル「じゃあさっさと負けてきて話を進めようよぉ~」


僕「情けない奴め。冒険者としてのプライドはないのか」


ジュード「おまえが言うな…」


◆◆


―そうくつのどうくつ―


 シバールからダーマシ神殿に向かう途中。なぜか入口に洞窟名の看板が立っている。誰がなんのために立てたのだろう。とにもかくにもこの洞窟を抜けないと先へは進めないようだ。


ニコル「ねぇ、そうくつのどうくつだってー。魔物がうじゃうじゃ出そうだね。」


僕「出ればいい。ニコルが先に行け」


ヌイーダ「なんだかアルフ、ニコルんに当たりが強いわね。アンタ、あののこと…本気だったの?」


僕「まさか。あんな明るくて元気で強くてパワフルで…強引で…!自分勝手で…!我儘でっ…!!!」


ヌイーダ「本気だったのね。ご愁傷様しゅうしょうさま…」


ジュード「ここに四天王とやらもいそうだな。くそっ。負けがわかっていて戦いにのぞむなんて、戦士のプライドが許さねぇ…」


ヨーボ「わしも賢者だったらのぅ。残念じゃが、遊び人では役に立てぬの。足手まといになるだけじゃ。ヌイーダ、あとは頼んだぞよ。」


ヌイーダ「私は最初から戦いには参加しないって言ってるわよ。」


ニコル「えーっ!みんな、無責任だなぁ。ただ単に行きたくないだけじゃ…じゃあ、仕方ないからボク1人で行ってくるね。あとでちゃんと教会で生き返らせてね。」


ジュード「待て。俺のセリフは拒絶じゃねぇ。本当は勝ちに行きたいって強い意志の表れだ。戦士たるもの…こんなところでくたばってたまるか。」


ヌイーダ「ジュード!!いいわね。アンタ、今すごい勇者っぽいわよ!!」


ジュード「そ…そうか…!!??」(照)


ニコル「じゃあ、ボクとジュードで行ってくるね。」


ヨーボ・ヌイーダ「頼んだ。」




僕「待てっ…!!」



ニコル・ジュード「…?」


僕「僕はまだ何も言ってないぞ」


ニコル「え、行かないよね?」


僕「人の行動を勝手に決めつけるとは、なんと浅はかな奴だ。僕は最初から行くって言うつもりだった!!」


ジュード「ど…どうした!?マジか!?」


ヌイーダ「アルフ…対抗心むきだしね…可哀想に」


ニコル「えっ!?アルフも来てくれるの~!?わぁ~!嬉しい~!!ボク、とっても心強いよ!!」


僕「……えっ…!?!?ほ…ほんとに!??」


ニコル「もちろんだよぉ!」


僕「え…!?!?あ…ありがとう…」




ヨーボ「相変わらず単純じゃのぅ。」


ヌイーダ「アルフがニコルに勝つのは100年かかっても無理そうね。」



◆◆◆


―そうくつのどうくつ B3F―


 2人が僕を棺桶かんおけに隠して交代で引っ張っていってくれたおかげで、僕は死なずに最下層に辿り着いた。それにより経験値は増えずLVレベルがあがることもなかったが、勇者たるこの僕を死なせまいとしっかりと守ってくれる【勇者様ご一行】としてのニコルとジュードの心構えに、僕はちょっとだけ感動した。


ジュード「ニコル、とんだ災難だったな。お疲れ…」


ニコル「はー、重かった…。疲れたぁ。さぁ、向こうに赤い大きな扉があるね。あの中に四天王がいると思うから、HPエッチ・パワーMPマッスル・パワーを回復してから扉を開けるよぉ。いい?はい、エッチなほん。」


ジュード「えっ…ここで…!?」


ニコル「HPのほうは見えないところで回復してきてねっ(⋈◍>◡<◍)。✧♡」


ジュード「2冊しかないぞ。」


ニコル「ボクはもうこの指輪はめていじってるだけで歩くごとに自動的にHP回復できちゃうから…むふふ♥」


ジュード「くそっ…変態め…」


◆◆◆


―そうくつのどうくつ ボス部屋―


 ジュードが先陣を切ってボス部屋の扉を開ける。


ジュード「四天王!!出て来い!!オレ様が相手してやる!!!」


ニコル「たぶん、負けても記憶は残るはずだから…四天王の戦いのクセをしっかり観察しておこうね。」


僕「全滅に備えてお金を隠しておこう。半分減らされては困るからな。」



★後編へつづく…★





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