第7話 のろいの装備

―チョットまち(僕の住んでいる町の名前)―


 僕が5ゼニーで入手した『しのぼうし』は呪いの装備だとニコルより聞かされた。焦った僕はうっかり、手にしていた帽子を着用してしまった。どこか懐かしく恐ろしい呪いの音楽が聞こえてきて、僕の身体に異変が起きた。


ニコル「ア…アルフ!!!大丈夫~!!??」


アルフ「………え………ちょ………っと…………一体………な………に………が…………」


ヨーボ「のろいの装備…見たところ、被ったものがのろわれ、”のろい”動きになるようじゃの。アルフ、動いてみぃ。」


 僕は身体を動かそうとするが、思うように体が動かず、片足を前に出すのもスローモーション状態だ。


ジュード「遅っ!!!!まだ出発すらしてねぇのに、これ以上スローペースにしてどうするんだよ。アホが。」


僕「……ごっ………………ごめ………ん…………」


ニコル「呪いは教会でしか解けないんだ。ダーマシ神殿に行く途中の村に確か教会があったはずだから、まずはアルフをそこへ連れて行こう。」


僕「………み……んな……………ご…………めん……よ」


ヌイーダ「先が思いやられるわね。まぁ、アルフはどうせ後ろにいるだけのメンバーだったから、村まで私が抱っこしていくわ。」


ジュード「な……なにっ!!??アルフ、その帽子を俺によこせ!!!!」


 ジュードが無理やり僕から帽子を脱がせようとするが、帽子は一向に頭から離れてくれない。


ジュード「くそっ!!!お前だけズルしやがって!!」


ヨーボ「ジュード、わしがお姫様抱っこしてやろうかの。」


ジュード「死んでもお断りだ。」


ヨーボ「では、わしは出発の前に町の人のお風呂を覗いて引き出しから下着を物色してくるとするかの。」


 皆が出発準備をしている中、ヨーボは1人階段を下りて行った。

 ヨーボが町中を必死に調べて得た収穫は『ステトコパンツ』1枚だけだった。


ヌイーダ「汚いパンツね。早く捨てなさい。さ、アルフも動けないし、早いとこ出発するわよ。」


 そう言ってヌイーダは、たくましい肉体でひ弱な僕をあっという間に抱えた。

 

 あ…

 待ってくれ…ヌイーダ

 僕は勘違いしていた

 今まで君をただの脳筋女としてしか見ていなかった…

 しかし…

 この力強い腕…

 引き締まった肉体美…

 筋肉なのか脂肪なのかわからない大きな膨らみ…

 僕は…僕は…


ニコル「アルフ、大丈夫??顔、いっちゃってるよ。」


アルフ「………だ…………いじょう………………ぶっ(鼻血)…………」


ヌイーダ「あらあら。」


 ヌイーダは 僕の鼻に つっぺを 入れた。

 僕の中に ヌイーダのが グリグリと押し込まれ

 僕は ヌイーダによって 完全に塞がれた。

 あぁ ヌイーダ 息ができない


ニコル「アルフ…しっかりして。なんかもしかして別の呪いもかかってる??」


 僕の横でヨーボとジュードが必死になって鼻をほじっている。


ヨーボ・ジュード「「出た!!!!!!!!!」」


ヌイーダ「あらあら。」


 ヌイーダは2つのつっぺを追加で作成し、2人の鼻に詰め込んだ。


ニコル「もうやだ~っ。変態だらけじゃんっ。まともなのボクだけじゃないかぁ。」


◆◆◆


―フィールド―


 ジュードを先頭に、続いてニコル。遊び人のヨーボはすぐにどこかへ行ってしまうので、ヌイーダに見張ってもらえる3番目。最後にヌイーダに抱っこされた僕がダーマシの神殿へ向けて町を出た。


 このあたりはさほど強敵も出ないので、途中休憩の村までの道のりはそう険しくはなさそうだ。ジュードのHP(エッチピー)は思ったより高く、ニコルの「ひじきのぼう」も思ったより強力だ。遊び人のヨーボは時々石を投げる程度にしか戦闘に加わらずに、オヤジギャグならぬジジイギャグをひたすら連発している。


ジュード「ヨーボ、俺のHP、だいぶ減ってきたんだけど。」


ヨーボ「そうかそうか、ではこれをやろう。」


 ―HP《エッチピー》―とはエッチなピー、もといエッチ・パワーのことだ。その値の高さは本人のH度に比例する。当然、ヨーボのHPが一番高いのだが、遊び人はすぐにパーティを離脱してどこかへ消えてしまうので、戦闘の先頭に配置することはできない。そしてジュードが2番目に高く、ニコルはさほどでもない。僕はまだレベル1だが、勇者とはいえ成長してもジュードやヨーボのHPを越えることはないだろう。そしてこのパワーはもちろん、H《エッチ》を補充することで回復する。


 ジュードはヨーボから「エッチなほん(ヨレヨレの)」を受け取った。




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