第14話 裏切り
背中を向けて歩き出した僕に哲也くんが放った言葉を聞いた瞬間、足が凍り付いたかのようになり、その場に立ち止まった。
振り返ると、彼らからは今まであった笑顔がなくなり、僕に何かを訴えかけるような目で見てくる。
嫌な予感がした。
「なぁ、紹介しろよ?」
ああ、やっぱりこう言うパターンなんだと落胆した。
「俺ら唯ちゃんと仲良くしたいんだけど、なかなか連絡先教えてくれなくてさ~」
「友達になってやったじゃん。な?」
この上から目線の感じが非常に癪に障る。そして確信した。
やっぱりこいつらは僕と仲良くなりたいんじゃなくて、僕をうまく利用したかっただけ。
くそ野郎どもだ。
「あのさ、そもそも九条さんと仲良くないし、関わりなんて一切ないんだけど。
連絡先知ってるってどこ情報なんだよ」
僕はむかつく怒りを抑え込むようにして冷静さを保ち、こいつらの手に乗らないように嘘をついた。いや、仲良くないし前半は嘘ではないのだが。
「そう言う情報が出回ってんだけど、違うのかよ」
「はぁ?まじかよ!
こいつと仲良くする振りしたの無駄だったじゃん!」
「哲也たちが唯ちゃんと仲良くなれるかもって言ったからついてきたのに!
こんな奴とご飯食べた時間無駄すぎただろ」
「マジそれな。こいつおもんないし」
「お前wそんなに言ったんなよww
こいつ泣きそうじゃんwww」
さすがに僕の怒りが限界まで達しそうになってきて、彼らを思いっきりにらめつけるようにして無言で後を去ろうとした。
それが気に食わなかったのだろう。
哲也は歩く僕の肩をつかみ、振り返った僕の顔をこぶしで殴った。
気づけば地面に尻をついている状況に、一瞬理解できなかった。
彼は倒れこんだ僕の胸倉をつかみ、にらみつけた。
「おい、もうお前に用はねぇんだよ。さっさと去ね」
むかつくがこんなに大勢の人間がいる以上、歯向かっても僕に勝ち目がないことは目に見えていたので、従うことにした。
地面に手をつき地に着いた尻を押し上げ、彼らに背を向けて去ろうとする僕に、哲也はもう一言言い放った。
「あと、二度と俺たちのことをにらみつけるような態度をとるんじゃねえぞ、くそ陰キャ」
彼の仲間たちが後ろであげる大きな笑い声を聞きながら、僕は屋上を去った。
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