第13話 かわいい子

「やまちゃんはうちのクラスで誰が一番かわいいと思う?」

残すところ卵焼き1つで昼食を間食し終えるところで、空くんが話題を振ってきた。


「特に。そもそもクラスのだれにも興味ないし関わりないから」

これまで通りにそっけなく答えたが、彼らはぐいぐいと質問してくる。


「いや~関わりなくても顔がタイプだなとかくらいはあるでしょ?

 ほら、心那ちゃんとか春ちゃんとか」


彼が例に出した子は、「天海 心那(あまみ ここな)」と「空咲 春(そらさき はる)」。

クラスでとても人気のある女の子3人のうちの2人で、非常に容姿も整っており、彼女ら2人の性格は正反対なものともいえるもので、クラス内でもかなり支持が分かれるところだ。


「うわぁ、俺めっちゃ心那ちゃん派だわ~」

「わかる!あのテンション感いいよな~」

「でも春ちゃんみたいなおしとやか系もいいな~」

「それな!」

「あとは唯ちゃんか~」

「唯ちゃんは殿堂入りだろ」

「あのキャラでスタイルもよくて顔もいい。ありゃみんなお近づきになりたいよなぁ~」

「でも唯ちゃんなかなかガード固いらしいからな」

「今度みんなで押しかけるか」

「いいね~」


勝手に誰が可愛いやらで話が盛り上がってる間に残っている卵焼きを平らげ、弁当を袋に包み静かに退散しようと準備した。

しかしそれをわかっていたかのように、哲也くんが話しかけてくる。


「じゃあ山ちゃんはこの3人ならだれがいいと思う?」


「う~ん、別に誰も?あんまり興味ないから、じゃあね」

少し考えるふりをしてから答えて、その場を後にしようと立ち上がった。

周りからは、「あいつほんとに男か?」「付いてないんじゃね?」と引かれるような反応が返ってきたが、気にせず扉の方に歩き始める。



「ふ~ん?でもやまちゃん、唯ちゃんの連絡先知ってるんだってな?」

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