第8話 彼女の本音

「ちがうの!!!!」

後ろから今までにないくらい大きい声で彼女が叫んだ。


その瞬間彼女は震えた声で話し始めるのを感じた。

「わ、私はほんとに山神くんと仲良くなりたかっただけなの。証拠を出すことはできないけど、あの人たちと私は友達でもないし、彼らが勝手に話してただけで、そ、その、すぐ振り切って山神くんを追いかけてきたんだよ。」


僕は足を止めて彼女の方を振り返った。


彼女は目に涙を浮かべながら続けて話し始めた。

「別に信じてくれなくてもいい。あなたの過去に何があってそうなってしまったのかは私には見当もつかないけど、あなたを見てるとどこか生きづらそうで…助けたいなって。

いや、助けるは生意気か…うんっと、その、とにかく仲良くなれればなって思っただけ。あなたが本当に信じられる人はちゃんといるんだよってわかってほしかっただけなの!

最悪、それが私じゃなくてもいい。ほかのだれでもいいから、私はあなたにそんな苦しそうな顔をしてほしくないの!」


「だからお願い、もう一度だけ私にチャンスをくれないかな?」

なぜ赤の他人にこんなに心配されないといけないのか理解ができない。この人の言っていることも所詮は建前で、もう少し僕で遊ぼうとしているのかもしれない。


(何がチャンスだよ。そんなもんやるか)

心ではそう思っているのに、彼女のまっすぐな瞳と、根拠のない人生を変えてくれそうな何かを感じてしまう。


人間(特に陽キャ)なんて大っ嫌いだけど、僕の数年間あいた心が悲鳴を上げているのがわかり、なぜかこのあいた心を埋めたいと思ってしまった。


少しためらって、僕は彼女に言った。

「なんで君にそこまで心配されなきゃいけないのかわからないし、僕は高校生活を1人で生きていくって決めてるんだ。友達なんて作る気ない…」


僕が話している間、彼女の顔がどんよりと曇っていった。


「…けど」

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