第2話 高校入学
4月、無事高校受験をクリアした僕は、新しい制服を着て、校門前の桜の下に立っていた。
高校は誰とも関わることがなくていいよう、通信制の学校に行きたかったが両親がそれを認めてくれず、家から2時間弱の学校に進学した。
離れた場所を選んだ理由は、あいつらと二度と関わりたくないからだ。なんて気疲れする理由なんだろうと自分でも実感する。
桜の下の門をくぐり、一斉に入学式は開催された。
入学式が始まる前に見たクラス表では、1年だけでも10クラスという割と大所帯な学校でもあり、僕は3組に割り当てられていた。
自分のクラスの名簿に目を通したところ、知っている人の名前はなかったのでとりあえず一安心などと、長い校長先生の祝電挨拶中に考えていた。
入学式が終わり、教室に入る。
案の定、そこには誰一人として知り合いの姿はなく安堵していたが、かといって中学の時みたいに誰とも関わらず一人でこじんまりと生きていく気でいる。
「周りに合わせるのは疲れるからね。」
これを一番知っている僕は、そう自分の心の内で呟いた。
担任が配布物を配り終え、残りの15分程度で友達を作るために自由時間を上げると言い出した。僕にとってはありがた迷惑なほかこの上ない。
しかし、これまた面白い結果が見える。
陽キャな奴らはすぐに意気投合し友達を作る一方、僕みたいな陰の人間は、机に突っ伏して寝たふりをする。
どいつが陽の人間かがすぐにわかるからありがたい。あいつらはみんな嫌いだし、関わることも今後一切ない。
「あいつらは僕の敵なんだ。」
そう自分の心にくぎを打ち、鞄から取り出したライトノベルに目をやる。
数ページ読んだころ、ふと周りに目をやると、さっきまであちらこちらに集まっていた人だかりが一か所に集中していた。
疑問に思い、少し体の向きを変えて目をやると、その人だかりは2人の女の子を囲むようにできていた。
僕みたいなファッションとは真逆にいる人間には説明は難しいが、茶髪のような金髪のようなきれいなロングヘア―の女の子と、白というのか銀というのか、そういう感じの色の首くらいの髪の長さの女の子。どちらともとても容姿は整っているように見え、クラスの人だかりができるのは納得のいく感じではある。
だから何だという話だ。
僕とは真逆のベクトルに住む人間であり、関わることのない人間だと一瞬で判断して体の向きを元に戻す。
「ああ言う、クラスの中心にいる女子が一番嫌いなんだよ」
誰にも聞こえないような声で言い放ち、ラノベの続きを読んで自由時間が過ぎるのを待つ。
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