第6話

「そうだ、」


と思い私はリュックから水道水の入った水を取り出す。

「正三さん、水、これ、貴方に」


頭のいい正三さんには分かった。彼女は僕の孫だと。

それは貴方が持っていなさい。そう言おうとしたが、

未来はどうなっていますか?と。


「貴方は今、幸せでしょうか。」


と言ってくれた。

今の私には何て言っていいか分からなかった。


「日本は負けます、だから、第一隻に乗って、お爺ちゃんと出会って欲しい」


「どうしてですか?」


「お爺ちゃんが、正則が、木村家で虐められるから……」


私はセーラー服のスカートをギュッと握った。

正三さんは喉がカラカラのまま、私に水を飲みなさいと言ってくれた。


泣きそうだった。

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恋の始まり、恋の終わり。 @sacura

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