地球外知性存在による侵略の可能性についての報告書
ぴのこ
地球外知性存在による侵略の可能性についての報告書
宇宙監視センター Unidentified Nature Team Inspection(UNTI) 日本支部報告書
報告案件:地球外知性存在による侵略の可能性について
報告日時:2056年9月1日 13時45分
2056年9月1日5時27分、大阪府大阪市の民家より大気圏外への通信電波を確認。その送信先は宇宙空間であること以外に不明。
通信電波の発信源は株式会社
大阪府の機動部隊を派遣し、藤堂氏の自室の室外から藤堂氏の体内をスキャンした結果、藤堂氏の頭部には脳が存在せず、脳と同等のサイズの機器が埋め込まれていた。これにより電波の発信源を藤堂氏と断定。長官に確保の許可を取った上、6時57分、突入した機動部隊が藤堂氏を確保した。
取り調べに対し、藤堂氏は完全黙秘。口頭で情報を引き出すことは困難と判断し、藤堂氏の解体を執行。頭部の機器は未知の技術により作成されたものであり、解析は困難を極める。機器には「T-17JK」と刻印されていたことから、地球外知性存在は地球文化のアルファベットとアラビア数字に関する知識を有しているものと推測される。以降、藤堂氏を「T-17JK」と呼称する。
機器以外の部分に関しては、人体と全く同一の構造であった。地球外知性存在は人体を精巧に模倣して肉体を作成できる技術を有しているか、あるいは実在の人間を拉致し脳と機器を入れ替えたものと思われる。
更新日時:2056年9月2日 10時21分
T-17JKのSNSアカウントが更新されていることを確認。T-17JKから摘出された機器は電波遮断室に保管されているため、機器からの通信は不可能。アカウントを確認し、投稿元を至急調査されたし。
更新日時:2056年9月2日 11時40分
調査の結果、投稿元のデバイスを所持していたのはT-17JKと全く同一の容姿を持つ不明存在であった。T-17JK-2と仮称する。T-17JK-2はT-17JKの確保後も、“藤堂桜華”として株式会社
更新日時:2056年9月3日 8時12分
T-17JK-2の解体の結果、T-17JK-2は最初に確保したT-17JKと同一の構造であった。T-17JK-2の確保後も、SNSアカウントは更新された。T-17JK-3と仮称する不明存在を確認。地球外知性存在は、不明な手段でこれらを補充しているものと推察される。地球内からの宇宙空間への通信は、T-17-JKから発された通信以降は観測されていない。
T-17JKのアカウントとSNSで交流のある人物を観測した結果、以下の精神異常が確認された。
・T-17JKへの依存傾向
・T-17JKの発言による思考誘導が原因で誘発されたと思われる、行動の変質
これらの要素から推察するに、地球外知性存在の目的はT-17JKを初めとするデバイスを通して、地球人の行動を操作することと思われる。
T-17JK以外のデバイスの存在について、著名人・インフルエンサー等の、他者に影響を与えやすい人物を中心に調査する。
更新日時:2056年9月7日 13時50分
閲覧資格:クラス5職員
至急。調査により、本件は未曽有の事態であると判断したため対応について緊急の協議が求められる。
地球外知性存在によるデバイスがT-17JK以外にも人類社会に紛れ込んでいる可能性があるとして、著名人や、インフルエンサーと呼ばれる人物を中心に身体スキャンを実行した。調査は完了したとは言い難いが、現段階においても緊急性が明白であるため報告をする。
以下は、身体スキャンの結果、地球外知性存在によるデバイスであると判明した者の現時点でのリストである。
・Twitter(旧X)フォロワー数5000人以上
・Twitter(旧X)フォロワー数4000人以上
・SNS総フォロワー数400万人以上 YoutubeとTikTokで活動
・YouTubeチャンネル登録者数162万人
・SNS総フォロワー数1000万人以上 女優
・Twitter(旧X)フォロワー数900万人以上 芸人
・Twitter(旧X)フォロワー数1000万人以上 実業家
・大阪府知事
・環境大臣
・内閣総理大臣
いずれも影響力は甚大であり、これらがT-17JKと同様の精神汚染能力を有している場合、精神汚染被害者数は計り知れない。本日17時より、緊急の会議を開く。
更新日時:2056年9月7日 19時50分
会議の結果、本件に関しての対応は不要と判断する。以降、地球上から宇宙空間への不明な電波が確認された場合、それには一切関与しない。T-17JKは電波遮断室への収容を中止し、義体を用意する。最後まで確実に、T-17JKの修復作業を完了させること。
地球外知性存在による侵略の可能性についての報告書 ぴのこ @sinsekai0219
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