五度目の国難、現代の過度なグローバリズム

 過度なグローバリズム、それが今まさに我が国が直面している国難だ。

 グローバリズムとは、世界を一つのルールで統一しようとする動きの事だ。前章でも触れられた、大航海時代の植民地主義や幕末の帝国主義もこれに含まれる。

 具体的に言うと、金を持っている一部の人たちが、金を使ったりマスコミを使って情報を操作したりして、各国の政府に圧力をかける。その様にして一部の人たちが世界をコントロールして富を得る、その流れのことを言う。

 その結果今起きているのが、富の流出や移民問題だ。

 海外の資本家が、日本企業に投資したいと考えているとしよう。資本家なので、当然大きな利益を出したい。そのためには、投資した企業が大きな利益を出して、配当金が増える必要がある。

 投資した企業が大きな利益を出すためには、競合他社に打ち勝つ必要がある。そのために、資本家は投資した企業が有利になるように、政府へ規制緩和するように圧力を掛ける。

 一般的に、国内の中小企業を、大量の資本が投下される外資の大企業から守るために、規制が掛けられている。しかし、規制緩和がされてしまうと、国内の中小企業は外資の大企業に負けてしまう。例えるなら、動物園には“檻”という“規制”があるので、リスはトラに食べられないが、“規制緩和”されて檻が取っ払われてしまえば、たちまちリスはトラに食べられてしまうようなものだ。

 さらに、資本家は配当金を増やすためにコストを下げようとする。その対象となるのは、労働者への給与だ。財務省の法人企業統計によると、1997年から2015年の間で企業の利益は約2.5倍、株主への配当金は約5倍以上に膨れ上がっている一方、給与は横ばいである。また、正規雇用者に比べて給与の安い非正規雇用者も、1985年の16.4%から2023年には37.2%に増加している(総務省の労働力調査)。

 この一連の流れで、働いても働いても給与は増えず、海外へ富が流出してしまっているといえるだろう。

 当然のことながら、労働者は低賃金で働きたくはない。重労働ならば尚更である。

 ならば、そんな悪い待遇でも働いてくれる安い労働力を海外から連れてこようということで行われているのが移民政策だ。

 移民政策とは、見方を変えれば奴隷制度のようなものだ。結果、どこの国でも移民政策はうまくいかず、欧米では移民の急激な増加に伴って、治安の大幅な悪化や生活困窮者の大幅な増加といった事態が起こってしまっている。

 しかしながら、海外でそういった事例があるにも関わらず、日本では近年、外国人労働者の受け入れを拡大させる、育成就労制度を導入したり、日本の人口減少を外国人で補おうという動きがある。

 そのようなことをしたら欧米の二の舞になることが目に見えているのに関わらずだ。

 つまり、移民政策が行われることによる恩恵を受けるのは、安い労働者を使う企業と斡旋業者だけなのだ。一般国民や連れてこられる外国人にはメリットが無いどころか、日本のイメージ低下や国内の分断を生む事態を引き起こしてしまう。

 このように一部の人々を優遇してその他を切り捨てるのがグローバリズムである。

 その原因は、大局的に見ることができなくなってしまっているからではないだろうか。

 我々一人一人が、当事者としての意識を持って行動することこそが、この国難を乗り越えていくためには必要なのではないだろうか。

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