四度目の国難、帝国の抜牙
戦後、焼け野原となった日本は米軍を主体とする占領軍の管理下に置かれ、GHQにより、帝国の抜牙作業が行われた。
有名どころで言えば財閥解体や農地改革といった権益の分割、教育勅語の廃止や組合結成の承認等が挙げられる。
これらの政策は日本の民主化、自由主義化のための施策だと一般的に知られているが、光あるところに闇ありと言うように、これらは帝国の国力を削ぐための施策であったことは言うまでもない。
農地改革の例を見てみよう。
農地改革では農地の徹底的な分配及び農業組合の結成が指示された。
これは日本が大規模農業を行うのを難しくすることで、戦後世界での農業部門の競争力を削ごうとしていたことが分かる。
他にも労働組合を次々と結成させ、様々な権利を認めたことにより、日本は産業部門に置いても必ず組合を通さなければならなくなり、国家の成長力削減に繋がった。
このようにGHQの施策は国力削減のための施策という面もあったが、一方で、それは国民(民間)が政府や財閥等の特権階級に代わり、大きな力を持つことに繋がった。
このGHQの日本の国力削減という目的の集大成が日本国憲法である。
国民は戦前から美濃部達吉らによって天皇機関説が提唱されるなど、盛んに国民主権がうったえられてきたが、それは皮肉にも旧敵によって達成された。
この憲法でようやく国民は主権者となり、日本を統治する存在となった。
しかしながら、この憲法は日本側の草案を蹴ってGHQ民政局が9日間で書き上げた憲法であるため、天皇の立場などの日本にとって必要不可欠な情報が盛り込まれていない不完全な憲法であった。
主権者であるはずの国民が一切関わらずに作られ、それでいて天皇の命による欽定憲法ですらないという点からも日本国民の主権というものは未だ不完全な状態であると言えるかもしれない。
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