第三話

アレックスはホテルの食堂で、スパゲッティを注文し、テーブル席で一人、黙々と食べていた。

しかし、その安寧もすぐに打ち砕かれる。突然耳をつんざく程の爆発音のような音が、遠くで鳴り響き、建物の壁が大きく揺れる。


「な、なんだ!?」


アレックスは唐突な出来事に狼狽える。周りを見回すと、食堂の客が怯えた表情をしている。


「海賊よぉ!海賊が来たのよぉ!!」女性客が叫ぶ。「殺される!」女性客に釣られるように他の客も叫び、ホテル内は騒然となり、パニック状態に陥る。あちこちで悲鳴が聞こえる。


「ちっ、噂に聞いていたけど本当にいるのかよ、これはまた厄介事になりそうだ」

アレックスは舌打ちする。


「おい!お前ら!!調子はどうだい、ベイビー!!」赤髪にグラサン、黒ジャケットにダメージジーンズ姿の海賊の女メアリーは巨大なスピーカー車につないだメガフォンで大々的に告げる。「我々、『氷霧分遣艦隊』の要求に答えろ!!さもなければ、この街ごと破壊するぞ!!良いな!」


耐えきれなくなたアレックスは食堂の席を立ち上げり、「少しホテルの外へ見に行く」と言ってホテルの外へ向かおうとするが、男性客に「危ないぞあんた!!見つかったら殺される!だから、ここに居た方が良い!」と咎められる。しかしアレックスは男性客の静止を振り切り、ドアを開けて外へと出る。


外へ出ると、建物の屋根や壁が破壊されており、通りの奥にIGFやバトルクルーザー、ホバークラフト型揚陸艇が並んでいる。


「お前らの要求とはなんだ!?」

アレックスは海賊に向かって叫ぶ。


「この街の食料と燃料資源一式をよこせ!!」

なんて無茶苦茶な要求だ。


「残念だがそれはできない」

アレックスはメアリーの要求を跳ね除ける。


「何故だ?」

メアリーは顔をしかめる。


「とにかくその要求は無理って言ったら無理だ!この街の食料は、この街の住民のものでお前らの物じゃあない!!それをお前らが横取りする権利は無い筈だ!!」アレックスは必死に反論する。


「そうだ、そうだ!!この街の食料は我々の間で平等に分配されるべきだ!」いつの間にか外に出てきていたホテル客が海賊に向かって叫ぶ。


「そうか。それならばいっそこの街を破壊するぞ!!貴様らやってしまえ!!」とメアリーが支持する。IGFが鉄球がついた鎖を振り回し、長屋や住宅の屋根を壊していく。


氷霧分遣艦隊が使用するIGFは肩幅が広く巨大なシールドと一体化している。頭部は猛禽類を彷彿とさせるデザインで、側面からギザギザとした目が頭の奥まで続いている。胸部はコクピットと思われる部分が分厚い装甲に包まれているが、腹部はスラッと細く、腰のスカートとスラスターの後部両端に細長い突起が付いている。


しかし、氷霧分遣艦隊のIGFには翼らしきものが見つからない。代わりに足の後ろに車輪が付いている。もしかしたら錬洋石を使用せずに陸戦に特化したモデルなのだろうか。


「くっ……こいつら」アレックスは一目散に街の北側にある崖へと疾走する。息を切らしながら、岩場の斜面を登り、IGF「アレス・フォール」へと乗り込む。アレス・フォールで崖の急斜面を手をつきながら滑り、そして腰元に装備してある小銃を手に取る。


「航空機を使わないならばこちらも戦闘スタイルを合わせてやろうか。その方がフェアだろう」アレックスは平等を好む性格だ。ぶっきらぼうとは言え争い事にはいつだって正々堂々と望む。


アレス・フォールで街へ降りたアレックスは艦隊のIGFの背中めがけて、数発小銃の弾丸を打ち込む。背中の装甲はそこまでヤワじゃないらしい、弾丸のそっとやちょっとではびくともしない。


「これではダメか」


「おいどうした小僧、ビビっているのか?」


「ビビってなんか、いねぇ!!」

銃を逆さまに持ち、銃床ストックとショルダーレスト部分を相手の機体の頭部に思いっきり叩きつける。唐突な攻撃に面食らい、ややぐらついた敵機の足元に乱射する。転倒した敵機だが、頭部横の機銃口から弾を発射してくる。量産機であるアレス・フォールの装甲は当然ながら弱い。すぐに弾丸の衝撃を喰らい、後退する。


「くっ、いくら郎党とはいえ訓練された部隊なのか…その戦力は伊達じゃないってわけか」

後退したアレスフォールを再び前進させて、今度はガトリング砲を乱射する。敵機のダクトを破壊することに成功し、弾薬がダクト内の空気に触れて爆発する。


その時、「兄貴、来てやったぜ~」と後ろで声がする。先ほど酒場で会ったゲリラ兵たちの声だ。

振り返ると、そこには五機程のIGFが並んでいた。


「お前ら、なんで来たんだ?ここは俺一人で十分だ」

「そっちこさ何言ってんだがさ、困ったときゃあ、協力するのがあたりめぇってもんよ!」


そう言ってエイドリアンらはIGFの右手に携えた巨大な戦斧バトルアックスを敵機体に向けて力いっぱい振り下ろす。海賊のIGFはたちまち頭部を割られ、カメラアイの視界を奪われる。


そのすきにアレックスは、敵機体のエンジン部分にアーミーナイフを突き刺す。


「よくもやってくれたな貴様ら!!」

一方海賊の方は腸が煮えくり返っている様子だ。しかしそうは言っても相手の機体は回路がショートし火花が散って煙が上がっている。最早手遅れ、操縦不能、勝機は完全にこっちのものだ。


しかし、油断していた隙にIGFの頭部を一発の銃弾がかすめる。

「なっ!」

それは敵機スナイパーライフルの銃弾だった。

さらにもう一発銃弾が発射され、頭部の60mm機関砲の機銃口をかすめ取って装甲も抉っていく。


アレックスはカメラアイを、銃弾が発射された方角へ向ける。

それはさっき彼が降りてきた崖の方角だった。そして地上にいる海賊の部隊も、その隙を狙ってアレックスらの機体へ向けてバトルクルーザーの艦砲射撃を開始した。


大量の鉛の弾丸が、IGFの外殻を抉っていく。装甲に丸い穴が空き、内部がむき出しになっていく。

ゲリラの兵器もたちまち艦砲射撃の餌食となり、破壊されていく。


勝敗は決した。

完全な誤算だった。


アレックスが次に目を覚ました先は知らないふねの天井だった。


アレックスはアレス・フォールのコクピットで目を覚ました。モニター越しに映っている空間は、知らないふねの整備室だった。


四面に鉄階段があり、右奥に艦内に続くと思われる厚い扉と、鉄階段へ昇るための梯子はしごがある。


機体が5~6人の人に囲まれているようで、話し声がモニター越しながらもかなり鮮明に聞こえてくる。


「おいおい、こいつどうするんだー?」

「さぁ~?スクラップにするのは勿体なくない?てかさあ~、そもそも使い道無いじゃん?」


「それよりってきた燃料どこやったんだ?」

「あーあれならダイヤが持っているぞ」


「うるさいなあ……」と思いながら、カメラアイで周りを見回す。打ちっ放しの天井にダクトや電球がむき出しの状態であり、壁にはスプレーで書いたような落書きやポスター、フライヤーが所狭しと並んでいる。


「この機体動いたぞ!」

「まだ生きていたのか、とっくに死んでいたと思ったぜ」


―おいおい、勝手に死んでいた事にしないでくれよ。


「ここは、どこなんだ!?」


「起きたのか~小僧」


黒髪の女性が機体を見下ろしながら言う。

髪をピンで留め、へそ出しキャミソールに青地に白線が入ったジャケットを羽織っている。

胸は出ているが体型はグラマー、全体的に露出が多めで目のやり場にはかなり困る。


頭に大きな黒い丸型サングラスを目につけずに掛けている。

年齢はだいぶ若そうだが多分自分よりはやや年上だろう。

そんな彼女だが内心ご不満のようだ。


「ほら小僧、何とか言いなさいよ」


と自分に対してやたら返答を促してくる。

足元でステンレスの床を貧乏揺すりのように足で叩く。

この態度から察するに、かなり苛立っているように見える。


畜生、こちらは状況もわからないのに説明も無しか。

なんて野暮なことを思いながらコクピットのハッチを開けて外へと出る。


仰向けに置かれた機体から降りて、床に降りる。

整備室はオイルや煙草の匂いが充満しており、あまりの臭さに思わず鼻をつまむ。


「あんたこそ誰だよ」


と当該女性に問いかける。


しかし「そっちが聞く前に名乗るのが礼儀でしょ」と返される。


ならば仕方ない、こちらから自己紹介してやろう。


「俺はアレックスだ」


「私はエレノアよ、エレノア・アルディーニ」


「ほら、これでおあいこでしょ、そんでどうすんの?降りるの?それとも死ぬ!?」


「なんで死ななきゃいけねえんだ」


何もかもが唐突すぎて戸惑う。


「おい坊主」

奥の厚い扉を開けて、誰かやってきた。

徐々に人影は大きくなっていく。


その人影にアレックスは見覚えがあった。


「あんたはさっきの砂漠の街で会った海賊の女か」

「そうだとも、私は陸の海賊ギルド『氷霧分遣艦隊』総艦長、メアリー・ホークショーだ」


メアリーは少し間を開ける。


「ここは我々が保有するバトルクルーザーの艦内だ」


バトルクルーザー、聞いたこと無い艦種だ。


「ところで坊主、ここで働いてみるつもりは無いかい?」


「はあ?するわけねえだろそんなこと!大体よお、いきなりこんなとこに連れて行かれてポンポン色んな事言われてあーはいそうですか!って普通はなんねえよ!」


「口を慎め、少なくとも艦長の前だぞ!!」

とアフロヘアーの男性に組み伏せられかけるが見事に間を躱し、男性を投げ飛ばす。


「いってー!」


しかし油断していた隙に背後から背中目がけてエレノアに蹴りを入れられる。


「うっ……!!」


蹴られた背中に激痛が走るが、どうにかして体勢を立て直す。


「わーったよ、仕方ねえなついていくよ。そんでいくら支給するんだ?」


「1200ディーテ※¹でどうだ?」

「よしもらった!」

予想以上のかなりの高額に驚き、一発で承諾した。


「おいおい、あの連合のガキ本当にこのまま生かしといて良いのかよ?」整備室に入ってきた小柄な少年、エリックは愚痴をこぼす。


「あのなぁエリック、お前の気持ちも分からなくはないが、お前が全てを決めるわけじゃないんだ。それにうちはテロリストじゃないから拾ったガキを殺しゃあしないよ。」


「ふん……連合は全員悪魔だ。俺は知っている…あそこの連中に誰一人としてろくな奴はいないと……」


エリックは共和国の辺境の貧民街の生まれで、幼い頃に連合政府の植民地運動の巻き添えになり、それに反対した両親は連邦軍の兵士に撃たれて死んだ。


恨みを晴らす名目で彼はアーカディア共和国首都の士官学校に入学し、卒業後に共和国軍へ主席で入隊した。大陸南東部の奪還作戦でIGF「ネフティス改」のパイロットとして戦ったが、友人がエリックを庇って死に、自身は連邦軍の捕虜になった。


過酷な拷問に耐え続け、敵国の部隊で原隊復帰しIGFのパイロットとしてかつての仲間と戦ったが彼はまだ弱かった。イヤーカフを通して聞こえる殺戮の司令に逆らった。彼は仲間に対して銃の引き金を引くことができなかった。自らの甘えが災いし、機体は撃墜された。戦場から離れた町に不時着して三日三晩彷徨った。


エリックはアレックスの方に向かっていき、胸ぐらを掴んで言い放つ。

「おい、連邦のクソ犬!ここの規律に従わないなら出ていってもらうからな!」

アレックスは無言でいた。

「チッ、別にいいよ!」


―なら初対面の男性相手に突然胸ぐらを掴むなんて真似するなよな。


全く生意気なガキだ。


「おいアメリア。新入りに艦内を案内してやれ」


アメリアと呼ばれた金髪ショートカットの無表情な少女はこっくりと頷き、「こっちです…」とだけ言い放ちアレックスを艦内へと誘導する。  


整備室がある第二甲板から廊下を進み、階段を下り、第一甲板へと向かい艦橋の戦闘C指揮ICに通される。CIC内部は狭くレーダーや計器もアナログ仕様で、嫌でも古さを感じさせる。そして連邦の艦艇とは異なり窓ガラス越しに前方の景観が見える有視界のCICだ。という事はここは艦の最前部か最上部だろうか。


「有視界だけど敵が襲ってきた時どうするんだ?窓ガラスは大丈夫なのか?」

「そういうときはメアリーさんたちがあいじーえふでやっつけるからだいじょうぶ」


声も小さいし驚くほど棒読み口調だ。

続いて食堂や厨房、寝室、風呂などを案内される。


最後に通されたのが、艦の外のデッキだ。

見える風景は一面荒野である。


「どう?」

「いい眺めだな」

アレックスはこの惑星に来てから砂漠や荒野の風景は嫌という程見てきたが、とりあえず肯定しておいた。


「それはよかった」

と言ってアメリアは少しだけ笑ったようにも見えた。


アレックスは指定された部屋のベッドで横になって、支給された不味いレーションを頬張りながら、狭い窓を眺めて思いにふけっていた。窓から少し顔を離してベッドに座る。


しかし、突如として大音量のサイレンに腰を抜かす。


「な、な……なんだ?」


部屋のドアを誰かが叩いている。


「おい出てきやがれクソ野郎!!大変なことになった」


さっきの共和国崩れのクソガキか。それにしても、クソガキにクソ野郎呼ばわりされるのは溜まったものじゃないが、今はそんな事を考えている暇は無いらしい。


扉のハンドルを回してドアを開けると、エリックがエラい表情で突っ立っていた。


「おい、艦長が呼んでいるぞ!今すぐ来い!敵襲だ!お前の腕前を借りる時が来た」


そう言ってエリックに袖を掴まれたまま、第一甲板へと息を切らしながら走る。


戦闘C指揮ICに行くと、エレノアが舵を握っており、メアリーが指示を出している。


アレックスを見たメアリーは


「共和国軍の残党を名乗る連中が来た」


「向こうはなんと言っている?」

「わからない、コンタクトを試みても同じような機械音声しか返ってこないんだ」


という事は無人機って訳なのか。


「アレックス、お前の腕前を見せつけてやるところだ。安心しろ、報酬はたんまり支給してやる!」


「ああ!」


アレックスはグッドポーズをしてから、急いでIGFが格納されている整備室へと向かう。

コクピットのハッチを開き、リニアシートに飛び乗る。


「おいクソガキ、俺もいくぞ」


エリックが隣に眠っているIGFのコクピットに掛けてある布を払って言う。

ハッチを開き、コクピットに潜る。


いつの間にか「クソ野郎」呼ばわりから「クソガキ」呼ばわりに変わっているのはいけ好かんな。あとで懲らしめといてやろう―。


操縦桿を倒し機体を起き上がらせ、艦の外へと飛び出す。

ウェルドックからジャンプして荒野の地表に降り立つ。脚部後方ランドスピナーの補助ホイールを回転させ、それをスラスターを噴射して得た力により機体を更に加速、推進させる。


外に出てみて、ようやくバトルクルーザーの全景が見えてきた。


全体的にゴツゴツとした外観で艦首にかけて三つの主砲が連なるように設置してあり、主砲の真下に位置する艦橋は二層構造となっている。その他の兵装は、両舷に連装対空機関砲×4、連装対地機関砲×4、40mm機関砲×2、対空ミサイル・ランチャー×2と言ったところだ。艦尾には二基のスラスターが分厚い装甲に覆われ巨大な尾翼と一体化しており、中央部で楕円形を描いた後、先端で直角三角形状の突起となって収束している。


艇体下部には合成ゴム製のエアスカートがある。ちなみに先程アレックスらのIGFを射出したウェルドックは、スラスターの中間よりやや下部に位置している。


地平線の彼方から5機の飛翔体が接近する。

その外観はネフティスに酷似しているも、頭部やショルダーアーマーは小回りで至ってシンプルだ。


それよりも機体に人の気配が全くと言っていいほど感じ取れない。


なんて薄気味が悪い―、これが共和国の新兵器だというのか。


敵機が60mm機関砲から射撃を始めてきたので、こちらは弾幕を読んで身軽に躱しつつ機体を加速させて距離を縮める。


しかし命中率は低い、やはりAIの自動制御システムによる弊害がモロに出ている。

出鱈目に撃ったって簡単には当たりゃあしない、こっちは腐っても戦闘のプロだ。



だが予想に反して敵の無人IGFは、こちらの頭部を目がけて射程を絞ってきた。


「なっ!」


「こいつ!!」


二人して敵機の予想外の行動に慌てふためくが、持ち直して反撃に移る。


中距離からのライトマシンガンの射撃で敵機の腹部を破壊する。


「よしやったぞ!残りは3機だ!」


エリックは喜び勇んで両手を振り上げる。


「逆に考えろ、まだ残り3機もあるんだぞ。気を抜くな」

「う……うるせえな」


先程のように敵機の腹部に弾丸を撃ち込み、続け様にもう一発ショルダーアーマーと足元へと叩き込んでやる。


相手は飛行体勢を崩し、地面に片脚をつきかける。


しかし直後、敵機のカメラアイが周囲を見回し、こちらを捉える。


―それからフリーズしたまま動かなくなった。


「なっ?どうしたんだ一体」

「さあな?」


二人して敵機の不可解な挙動に首を傾げるが、しばらくして動き出した機体が3機同時に活動停止して地面に滑落する。


「お……おい、これってどういう?」

「お……俺もわからねえよ!」


「とりあえずご苦労さん!!戻っていいぞ」


どこからともなくメアリーの声が聞こえる。


「どっから話しているんだ?」


「お前が気を失っている間に探知機を付けておいた、そこからなら離れていても通信が取れるからな!」


全く余計な真似をしくさって……。



操縦桿を倒して方向転換し一旦艦内へと戻る。


「お疲れさん!!」


メアリーに頭を叩かれて、アレックスは少しうずくまる。


「おい新人、意外とやるじゃねーか」


俺が先程整備室で投げ飛ばしたアフロヘアーか。

そいつが笑顔で見つめている。


なんだか複雑な気分だ。


「それより新入りの戦果を祝して乾杯と行こう!!」

「おーいラム酒もってこい!!」

「おっしゃー酒だ酒!!」


艦内が急に色めき立つ。

俺も、そしてエリックも笑っている。


こんな風に笑ったのはいつぶりだろう―。


そんな事を思いながらアレックスは食堂へと歩いていく。



――共和国枢軸軍艦隊旗艦・グラッフィアカーネ


『偵察機でサンプルの回収はできたな?』

『ああ』


『これが連邦パイロットのデータです』


『よし、こいつに200万ディーテの賞金をかける!惑星という惑星、衛星という衛星がこの少年を狙うことになる、ああ、考えるだけで脳が震えてくる!この感覚は最高だ!!』



―『これより、プログラム"アリストロキア・ギガンティア"を発動する。目標は連邦IGFパイロット、アレックス・ローズブレイド。全艦隊、全兵力を持ってして彼の首をとるのだ!』


連合の国立放送局、共和国のTVや各メディアはアレックス・ローズブレイドに賞金200万ディーテがかけられ、指名手配犯となったことを報じた。


かくして彼は、全宇宙から追われるお尋ね者になってしまった―。

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