第5話 喫茶店の窓際
クローゼットの奥から古いアルバムを見つけた。
カバーはすっかり色あせていて、触ると少しボロボロと崩れる。
中を開くと、懐かしい写真が次々と出てくる。
子ども時代の私、若い両親、そしてもう亡くなった祖父母の姿。
写真の中の私は笑っているけれど、その時のことはもうほとんど覚えていない。
ただ、祖母がいつも私を優しく抱きしめてくれた感触だけが、今でも鮮明に残っている。
古いアルバムを見ていると、写真に写らない記憶がふと蘇る。
人のぬくもりや、その時の空気、光の感じ――そんなものが写真の隙間からそっと顔を出すように、私の心に響いてくる。
風が運ぶ日々のかけら @a_________
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