第5話 【祝】現実がアニメ化したらしいです。

かぐやの手の中で、球体が不思議な光を放ち始めた。その光は次第に強くなり、部屋全体を包み込んでいく。


「かぐや、それは一体...」秋葉の声が震えた。


かぐやは決意に満ちた表情で言った。「秋葉さん、これから素敵な世界を作り出します。アニメの世界を現実に...」


その瞬間、強烈な光が部屋中を満たし、秋葉は目を閉じざるを得なかった。


数秒後、光が収まったのを感じて目を開けると、部屋の様子は一見変わっていないように見えた。しかし、窓の外を見た秋葉は息を呑んだ。


「な...何だこれは!?」


秋葉原の街並みが、まるでアニメの背景画のように鮮やかで整然としていたのだ。建物の輪郭はくっきりと線で縁取られ、色彩は鮮やかになっていた。


かぐやは嬉しそうに窓の外を眺めながら言った。「素敵...まるでアニメの中にいるみたいです」


秋葉は困惑しながらも、かぐやの喜ぶ顔を見てため息をつく。「まあ、確かに綺麗になったけど...大丈夫なのかこれ?」


その時、店の前で騒ぎが起こっているのが見えた。二人は急いで階下に降り、店の外に出た。


そこにはツンデレ風の女の子が立っており、明らかに困惑した様子の男性に向かって叫んでいた。


「べ、別にあんたのことなんか心配してないんだからね!勘違いしないでよ!」


男性は困惑しきった表情で答える。「えっと...はい?僕たち、会ったこともないと思うんですが...」


かぐやは目を輝かせて言った。「わぁ!本物のツンデレですね!」


秋葉は頭を抱えながら呟いた。「いや、これは明らかにおかしいだろ...」


その光景を目撃した通行人たちの反応は様々だった。


アニメファンらしき若者たちは興奮気味に写真を撮りまくっている。「すげえ!リアルツンデレだ!」「これって新作アニメの宣伝?」


一方、年配の人々は困惑した様子で立ち止まっていた。「一体何が起こっているんだ?」「最近の若者はよくわからんな...」


秋葉が状況を把握しようとしていると、今度は別の騒ぎが聞こえてきた。


振り向くと、メガネをかけた美人が道に迷っている様子。彼女のそばには、親切そうな男性が声をかけていた。


「あの、道に迷ってらっしゃいますか?」


メガネ美人は顔を赤らめながら答える。「あ、はい...実は秋葉原に来るのが初めてで...」


男性が道を教えようとすると、彼女は慌てて眼鏡を外し、髪をなびかせる。「ありがとうございます。実は私、眼鏡を外すとこんな感じなんです...」


突然の美人の登場に、男性は呆気にとられていた。


かぐやは嬉しそうに手を叩いた。「わぁ!メガネを外したら超絶美人になるんですね!アニメでよく見るやつです!」


秋葉はため息をつきながら言った。「いや、現実でそんなことある訳...」


言葉の途中で、秋葉は目を疑った。確かに、眼鏡を外した瞬間に彼女の顔立ちが変わり、まるでモデルのような美しさになっていたのだ。


その光景を目撃した人々の間で、さらに騒ぎが大きくなっていく。


アニメファンたちは歓喜の声を上げていた。「これってまさか...アニメの世界が現実になったってこと!?」「夢が叶った!」


一般の人々は混乱し、中には怖がる人もいた。「何が起こっているの?」「これって何かの実験?」


そんな中、幼なじみらしき少女が幼馴染の少年を追いかけてくる場面も見られた。


「ちょっと待って!私たち幼なじみなのに、どうして私のことに気づいてくれないの!?」


少年は困惑しながら答える。「え?幼なじみ?君、誰...」


かぐやはますます興奮していく。「すごい!アニメの定番シチュエーションがいっぱい起きてる!」


秋葉は頭を抱えながら言った。「かぐや、これはマズイんじゃないか?みんな混乱してるぞ」


しかし、かぐやの目は輝きを失わない。「大丈夫です、秋葉さん。きっとみんなすぐに慣れて、幸せになりますよ。だって、アニメの世界って素敵じゃないですか」


秋葉は諦めたように空を見上げた。秋葉原の空には、まるでアニメのオープニングのように、キラキラと光る雲が流れていた。


「これからどうなっちまうんだ...」秋葉のつぶやきは、次第に大きくなる騒ぎの中に消えていった。


アニメと現実が融合し始めた秋葉原で、予想もつかない展開が待ち受けているようだった。

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