五話
〈お知らせ〉
話内のレイアウト変更のお知らせ。
前
〈 〉
後
〈 〉
五話〈前回のあらすじ〉から適用します。ご容赦下さい。
〈前回のあらすじ〉
一部にはあまり歓迎されなかったものの、歓迎会? は進行する。
皆はサンドイッチを食べながら会話を交わす。
〈本編〉
「食べ終えたことだし、ボクは洗い物をするよ」
「じゃあ、私は案内するわね。皆、付いてきて」
知火が案内役を買って出て、水愛が洗い物を洗に食器を持っていく。
ちなみにサンドイッチはとても美味しかった。
俺向けにタルタルソースやら照り焼きチキンやらの具材がサンドされていたりした。
これからの食事が楽しみだ。
あまりいい食事は食べていない環境だったので、特に。
と感慨にふけるのは後にして、案内が始まる。
「一階は共有スペースなの。
今いるここがリビングダイニング。
向こう全体がキッチン。といっても持て余してるけど」
玄関からリビングダイニングに直接繋がっていて、そこから廊下が一つ伸びている。
廊下の左側は前面壁で、右側に幾つか部屋があるという感じだ。
一つ目の部屋に入りながら、知火は説明を続ける。
「ここに掃除道具とかがいっぱい入ってる部屋。それで、見ての通り横の倉庫と繋がってるの」
棚に掃除用具やバケツがあったり、掃除機とかが色々と押収されている。
足場はしっかり確保されていて、そこから倉庫の方に行くことができる。
倉庫の方にまで来た。
「あっちが掃除用具入れで、こっちは倉庫になるの。倉庫には換えの電池とかが置いてあるから、気軽に取っていっていいわよ」
紐や工具箱、救急箱等がある他、電池や何らかのコードも置かれている。
予備のソファーが置いてあるのも印象的だ。
埃は被ってない。人一人くらいなら横に倒せそうな大きさは、リビングに置いてあるものと同じだ。
「出ましょう」と言われて出て、次の部屋に。
二室はやけに近い感覚で配置されている。それもそのはず、トイレだからだ。
紹介をざっくり要約すると、普通の水洗式の洋式トイレだ。
トイレットペーパー等の位置は見ればわかるし、止、おしり、ビデ、ムーブ、乾燥等の盤も付いている。
二室の感覚が短いのは、トイレだからだろう。
トイレの紹介が終わってから、廊下へ。
突き当りの曲がり角を右に曲がる。
曇りガラスの扉を開けると、脱衣所だ。
脱衣所には幾つかの籠があったり、手洗い嗽などもできる洗面台が二台あったり、シャンプーや化粧品の入った木製の棚もある。ちなみにドライヤーは専用の置き場に置かれている。後、木製の扉がある。
靴下だけ脱いで別々の籠に入れて、風呂場の曇りガラスの扉を開けた。
風呂場には、だだっ広い浴槽が一つと、シャワーが何故か二台。
大理石の床に、二つの曇りガラスのカプセル。
「フロストガラスの扉は閉められるわ。中はシャワー、シャンプーとリンス、ボディーソープとか色々とあるから、使ってちょうだい。
浴槽は見ての通り、かなり広いの。湿気は管理してるから大丈夫だけど、外風呂と繋がってる分、上の方に見える所と比べると広いわね」
フロストガラスと言うのかなんて思いながら、言われた通り上を見る。
一階の天井高は余裕で三メートルくらいはあった。
ラジオ番組よろしく透明感たっぷりのガラス張りの窓があり、高すぎる天井が見える。
どうやら向こうにも風呂があるらしい。
四宮家は感嘆の息を漏らす。俺は流石に戦慄した。
四宮家は削畑家より裕福な生活は送っていたと思うが、あれより上があった、ということだ。
俺の覚えている中で、離婚する前の頃は、確かに凝った浴槽だな、と思ったこともあるが……
こんな林間学校とか修学旅行で見るようなホテル系の風呂場は見たことがない。
「二階に行きましょうか」
と、ツルツルの床をぺたぺたと歩いて戻る。
さっきの木製の扉から二階に上がる。ちなみに螺旋階段。
二階の脱衣所に着いた。一階とレイアウトは大きく変わらない。
ただ、洗面台は一台で、籠の数も減っている。
入口の場所、フロストガラスの扉の位置は変わらずにあった。
風呂場の中は、こっちは温泉でよく見るようなシャワーが一台。
大理石の出っ張りにシャワーがあるという感じだ。
シャンプー、リンス、ボディーソープ等も置かれている。
浴槽は一階より狭いものの、まあまあな広さがある。
縦横に三メートルはある風呂には水が溜まっていないので底が見える。
水深は深くなさそうだ。
「二階にも外風呂があるのだけど、外風呂を使うとなると、ちょっと注意が必要なのよね」
一体外風呂とはなんなのだろうか、と思いながら、後ろを付いていく四宮家。
その後ろについていく。
「中庭にはプールがあるんだけど」
「え!?」「プール!?」
「あら?」
流石に四宮家も黙ってはいられなかったらしい。
「夏になったら、一緒に入りましょうね」
と知火は提案する。会話は弾んだようだ。
外に出ると、直径二メートル程度の風呂がある。
中には水が溜まっていないが、二階のベランダから庭を一望できる様になっていた。
庭――とは言うが、草木は生えていない。大理石の床が敷かれている。
奥の方にはシャッター付きの倉庫があり、シャッターを上げる専用の棒的な道具が置かれている。
そこから視線を手前に戻していくと、巨大な溝が。そう、プールだ。
プールには水が溜まっていないが、広さは十二メートル以上はある。
不自然に空間が取られてあるプールサイド。
なんというか、リクライニングできそうな椅子が置かれていそうだ。いやきっとそうに決まっている。
白い木製の机とストローの刺さったココナッツの幻覚が見えそうになるが、一旦それは抑えた。
「ガラス屋根だけど、星は綺麗に見えるから、お勧めよ。
ここから下に行くことが出来るわ。下からも庭に通れるわね。
どうかしら、気に入ってくれた?」
秋が出費の計算を始め、春がそれを止めている光景を一旦スルーして、
「なんというか、アメリカみたいですね」
と感想だけ述べておく。
夏は、「家で水泳できるなんて……」と感激し、冬は、「お兄ちゃんとプール……」と何故か恍惚としている。何故だ。
「じゃあ、設備はこれくらいにして、部屋を案内しましょうか」
知火は切り替えて、二階に戻っていく。
「突き当りを右に行けば階段があるの。あそこから屋根裏部屋、もしくは一階に行くことが出来るわ」
廊下はかなり広かった。
左右それぞれに、まるでホテルかのように四部屋ずつ等間隔で並んでいる。
「廊下の右奥の階段から、こっちを見て、左側の二部屋は使えるの。
残りの二つも使えたらいいんだけど、まだ片付けれてないのよ。待ってもらってもいいかしら」
「そうなんだ。
あのさ、あたし達、片付け手伝ってもいいかな」
「手伝ってもらえるの?」
「あたし達、これから家族になるんだし」
「あら……ありがとう。じゃあ、手伝って欲しい時に呼びに行くわね」
「うん、任せて」
夏らしい発言に春も頷く。秋も、「あはは……家族、ですもんね」と発言。
冬も同様に頷く。知火はそれを見回してから、もう一度「ありがとうね」と言った。
「こっち側の四部屋は、階段の方から順に、私、チカ、ミア、ジブの順番になっているわ」
風呂場の方面から見ているので、この視点だと知火の部屋は一番奥になる。
だが、普通に階段から上がってきたら、知火は一番手前側になるということだ。
「じゃあ最後に、屋根裏を案内するわね」
一階と同じ位置から階段を上がって、屋根裏部屋に着いた。
柱が露出している他、コンセント等も付いている。ただ、仕切りとなる扉はない。
空調はあるらしい。窓も付いていて、開けたら外を見ることが出来る。
窓は地面と垂直な窓で、飛行機の中みたいな感じがある。
単純面積だと廊下より大きい。
高さは二メートル弱……恐らく一メートル八十センチ。
空間の広さはそこそこ広いが、そのほとんどがあまり使われていないスペースだ。
ベッドは……キングサイズより更に大きいサイズだ。
ワイドキングサイズ、と言ったりするらしいが、かなり持て余している。
手前にはモニターと一人用の座椅子がある。モニターの配線をみる限り、電気もしっかりとしているらしい。
電動式のホットカーペットが敷かれていて、炬燵もある。
それ以外は、持て余していると言わざるを得ないが、十分贅沢な部屋だ。
「奥の方まで全部自由に使ってくれていいわよ。
防音は床にはあるけど、階段を通じて音は下に聞こえるから、そこだけは気を付けてちょうだい。
あのベッドは二メートル✕四メートルの特注で、エンペラーサイズベッドって言うの。お父様の持っていたベッドだけど離婚した後は使わなくなって、仕方無くここにあるの。
ホットカーペットやモニターは、使い方は分かると思うわ。リモコンの電池はまだあると思うから、切れたら倉庫で交換してちょうだい。
他に何か、質問はあるかしら?」
知火は一同を見回す。が、何も無いようだ。
「部屋割りは貴方達で決めてもらえないかしら。私も、明日にでも二部屋を片付けるつもりだから」
「分かった」
「それじゃあ、私はこれで失礼するわね。夜ご飯になったら呼ぶわね」
知火は屋根裏部屋から降りていくと、四宮家と、俺の五人が取り残された。
〈次回予告〉
「さぁ~て! 来週の のと⁴ は〜?
遂に始まる新居生活。始まる会議。悠はエンペラーベッドを守れるのか。
̶ ̶荷̶物̶も̶届̶い̶て̶、̶引̶っ̶越̶し̶が̶終̶わ̶る̶。̶夜̶ご̶飯̶の̶前̶に̶、̶誰̶か̶が̶部̶屋̶を̶訪̶ね̶て̶き̶て̶…̶…̶?̶
̶ ̶そ̶し̶て̶、̶部̶屋̶の̶大̶掃̶除̶が̶始̶ま̶る̶。̶し̶か̶し̶倉̶庫̶で̶ハ̶プ̶ニ̶ン̶グ̶が̶…̶…̶
次回、
『悠とエンペラーベッド』
̶『̶謎̶の̶訪̶問̶者̶』̶
̶『̶ち̶ょ̶っ̶と̶エ̶ッ̶チ̶な̶ハ̶プ̶ニ̶ン̶グ̶』̶
の ̶三̶本̶一本です!
来週もまた見て下さいね〜!
じゃん、けん
ポン! (チョキ)
うふふふふふふ」
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