第5話 監視

5話 監視





ドタバタした日の翌日………

精神的な疲労が残る俺はゆっくりと身体を起こすと、布団をたたみ朝食の準備をする。卵焼きに味噌汁に漬物、あとウインナー焼いて、と。


「うっわぁ〜!これオジサマが作ったの?!凄いすごーい!なんだかんだアタシの事歓迎してくれてんだね〜」


まぶたを擦りながら客間から出て来たカザリがズラリと並べられた朝食に目を輝かせている。というか昨日からオジサマオジサマってコイツ………


「昨日からオジサマとか媚び売る様な呼び方してるけど、猫かぶりなのは見え見えだからやめろ」


こちらの反論には耳を貸さずにカザリは朝食に手を付けようとする。ホント傍若無人だなコイツ……


「あっ?!ナニコレ!このウインナーめちゃウマなんだけど!」


用意したウインナーを齧るとフォークに刺さったままの齧りかけウインナーを振り回しながら大声で叫ぶ様にうまいうまいと言う………マジで食事中ぐらい静かに出来んのか行儀の悪い(ヽ´ω`)



〜〜


朝食を取り終え、さぁここからコイツどうすっかなぁと思っていると不意に電話がかかって来る。


ピッ「はいもしもし?」


「あ、中野です。先日はどうも。」


「何の用でしょうか?」


「いやぁ、昨日のアレを見たんですよ。大変でしたね。」


「そうなんですよ……力ずくで叩き出すのも外聞が悪いし、かと言ってほっとけばウチのダンジョンじゃすぐにくたばる強さだし……諦めてくれたら早いんですがね………」


愚痴を零すと、待ってましたとばかりに用意していたであろうセリフを差し込んでくる中野さん。


「そこで陰陽師の方から人を送らないかと言う話になりましてね」


「ああ、冒険者にこれ以上でかい顔されたく無いから先に唾つけといたコトにしたいと」


流石に嫌な聞き返し方かな、と思ったがそれは中野さん自身も思って居たようで苦笑いしながらもこちらの言葉に応える


「あ、あはは………まあ自分も貴方があれほど強いとは思いませんでしたが……偉い人はこっちに抱き込めないかと思ってるみたいですね……すみません……」


「とりあえず男女2人だけなのも邪推を生むでしょうし、人をよこしてくれるならこんなに有り難い事は無いですね。見返りに陰陽師側だって配信に映されたら言っておきます。」


「ありがとうございます……」


「こちらこそ……」


ピッ



「ナニ話してたの?アタシには聞かせられないハナシ?」


なんだコイツ昨日あったばかりなのにどの目線からの台詞なんだよ(ヽ´ω`)

距離の詰め方エグいって。ガチで危機感持ったほうが良いって。厳しいってマジで


「どうせ話のネタにする為に隠し持ったマイクで最初から録音してんだろ?それ聞けば良いじゃないか」





ガラガラ


「ごめんください、誰かいらっしゃいませんか?」



おや、玄関から声が、

「あっはーい!今行きます!」


玄関の先に立っていたのは、the事務員してる様な地味な雰囲気で草臥れた感じの若干サイズの合っていない吊るしのレディーススーツに身を包んでいる女性だった。

肩で切りそろえられた髪の毛は枝毛がはねて若干ボサボサになっているし、眼鏡を掛けた奥の瞳はあんまりキラキラしてなくて、薄っすらとクマが浮かぶ。

その顔には疲れをこれでもかと感じさせる雰囲気を纏っていた。


「陰陽師協会の方から来ました。黒井羊子(くろい ようこ)といいます。昨日の事で話を伺いに来ました」


美玖さんは落ち着いた声で用件を述べる。

コレだよコレ。普通の人はいきなり怒鳴り込んで来ないんだよ!


「あ、お世話になります。自分は八木郷土(やぎ ごうと)と言います」


「あっ、オジサマは郷土っていうんだね?じゃごーくんだ!」


「大人の話をしている時にちゃちゃ入れて来るんじゃねぇ。サッサとダンジョン行ってろ」


「え〜あそこってボスしか居ないんでしょ?アタシ死んじゃう!」


「あそこはつい昨日の午前中にお祓いしてもらったから雑魚モンスターが居なかったんだよ。ボスの間に行かなきゃたまに雑魚が出るからそれでも刈ってろ」


「え〜やだ〜!」


コイツ………明らかに羊子さんを妨害しようとしてるな?ホントどうしようか……





───────



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