第3話 救助
3話 救助
「モデレーターさーん!指示厨ウザいのでBANしてくださ〜い!アタシに魔法しかないと思ってるの?そんなワケ無いじゃ〜ん!」
お、それなら一安心だな。
俺は今ダンジョンの中でボスが居る広場がギリギリ見えるぐらいの位置に居る。曲がり角を遮蔽物にして様子を伺っていた。
カザリは身体にジャラジャラと付けている装飾品の中でツタが絡み合うデザインの植物のブローチを外すとそれを発動する。
魔道具かぁ、アレはピンキリだからなんとも言えないな。強かったり効果が噛み合えば横から手を突っ込まずに済みそうだな。
そう俺が胸を撫で下ろした直後、鎧武者の周りにツタが生えて行動を阻害し始める。だが、その効果は薄く、すぐに引き千切られたり刀で狩られたりしてすぐにツタの茂みは跡形も無くなった。
「えーっ!アレいくらしたと思ってんの!!!全ッ然約に立たないじゃない!」
アホかな?自分の力が通用しなかったならリアクション取る前にダッシュで逃げろよ(ヽ´ω`)
「じゃあじゃあとっておき第二弾!」
身体に付けた装飾品を取り外そうとした時、キィン……………と甲高い音がして持って居た装飾品ごと上着が切り裂かれる。明らかに身体も切り裂かれる太刀筋だった。だが、致命傷を避ける何らかの魔道具の効果か上着が跡形もなくボロボロになり装飾品が散らばって居るが本人は無傷でその場にへたり込む。
あーやっぱこうなるか
ギィン!!!
「よぉ、いつもと違う相手だからってはしゃぐなよ。」
俺はカザリを護る様に鎧武者との間に入り、振り下ろされた日本刀を剣鉈で受け止めていた。
「ねぇちゃん、カメラ消して端に寄ってろ。」
「ちょっとどういう事!邪魔だからどいッッッキャッ!!」
俺はカザリを後ろ手で掴んで放り投げる。
今目の前で鍔迫り合いしてるのに邪魔とか笑える。明らかに自分が切られた時の太刀筋が見えてなかったろ。
ただ、自分にとっては慣れた相手。しかもお祓いしてるから多少は弱体化してるな?いつもより気迫の様なモノが薄い。
「ふんっ!」
力を込め、鎧武者の刀を弾き飛ばす。すかさずに前蹴りを腹に決めて身体の正面をがら空きにする。ここだ。
「っっだらっ!!」
剣術や兵法など習わぬ身の上だが、戦い方はこの鎧武者と師匠に叩き込まれた。すなわち全力でシバいたらヨシ!
バキィン!
と甲高い砕ける様な音と共に鎧武者が袈裟斬りに分かたれる。ふぅ……砕けたか。俺もまだまだだな。
「ちょっとちょっとちょっとちょっと〜〜!みんな〜見てた見てた?!あのオジサマちょ〜強かったみたい!皆も気になるよね?!よね?!じゃあ突撃インタビュー!」
「切れ。カメラ。俺はそういうのは好きじゃない。それで帰れ。お前の実力が足りてたら俺はこうせずに済んだんだ。ここはお前にはまだ早い」
俺は言いたいことだけ言って踵を返す。だってカザリの俺を見る目がまんま動物園のパンダを見る目と同じなんだもんな。
……………って言って帰るなら配信者なんてやってねぇよなぁ……
「コラボしよコラボしよコラボしよコラボしよ〜〜コラボしよ〜よ〜!」
「ああもううるさい!付き纏うな!俺はそういうのゴメンだってのが分かんねぇのか!」
「えっ!?あの鎧武者推定Aランク?それを一撃で倒した……オジサマ!冒険者ランクは?!」
「知るか」
「許可証無しに入ってるの?!モグリだぁ〜いけないんだ〜」
「ちっ………ランク上げ申請してないから初期ランクだよ」
カザリは急にニヤニヤすると手を叩いて配信ユニットのコメント欄とやり取りを始める
「Fランの激強オジサマってあり得るの?」
:[目立ちたくないとかなら居るんじゃない?]
:[元犯罪者で降格書受けたとか]
:[普通に考えたら無い。元ヤクザか?]
:[ヤバい人かもだからカザリちゃんは近づかない方が良いよ!]
チラチラ見えるんだよなぁ、コメント欄。
だーれが犯罪者だよヤクザだよ
こちとらただの田舎の農家よ
「ねぇねぇオジサマ!危ない人なの?」
「あぁ、危ない人だから近寄らないでくれるかなおじょうちゃん」
「きーめたっ☆このオジサマバズりそうだしメチャつよだからしばらくオジサマんとこで住む!そんであのサムライを倒せる様になるんだ!」
は?コイツなんてった?住む?何処に?冗談だろ
「なら土地を貸そうか。ここら一帯はウチの土地だからな。仮設住宅を置くスペースは貸し出してやるよ」
「ヤダ!アタシはもっと強くなりたいモン!」
「はぁ………俺より強ぇ奴なんざいくらでも居るだろ。あと邪魔だ」
「強い人のとこで強くなろうとしたらお金がかかったり制約があったりするじゃん?アタシは自由に強くなりたいの」
…………勘弁してくれよ……(´;ω;`)ブワッ
◇◇◇
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