第2話 検査

2話 検査


中野さんに連れられて地元のデカいお寺で(呪術的な)検査させられたが、特に何も悪い所は無く昼過ぎには開放された。


「しかし、あの時の腕力は相当なモノです。良ければ陰陽師になりませんか?」


聞けば、ダンジョンを攻略する配信者は増える一方だが配信以外の事になると途端に興味を失う人間が多く、地味な裏方仕事は常に人手不足で火の車だという。まあ……大変なんだろうな。めちゃくちゃ苦虫を噛み潰したような顔してるし……


 しかし残念だけど、自分は臨時の手伝いなら良いが本格的にそっちの道に進む気は無いと中野さんに告げる。


「そうですよねぇ………板挟みになる仕事なんて誰もやりたく無いですよね。でも誰かがやらないといけないんですよ………それでは」


そう言ってお寺を後にする中野さん。大変そうだなぁ……んじゃ帰るか




◇◇◇




「遅い!アタシが待ってたんだからさっさと帰って来なさいよ!このノロマ!」


…………ッスゥー……キレるな……キレるな……びーくーる、びーくーる

ウチの入り口にゴスロリ地雷系ファッションの装飾過多な女の子が居た。黒髪はセミロングでインナーカラー?みたいな内側だけ緑に染めてたりメッシュ?っての一房だけピンクに染めていて、ピンクのフリフリにやけに胸を強調したデザインのアイドルみたいな雰囲気の衣装をしている。

…………暑くねぇのかな?


「アンタ、神社で何かしてたでしょ!陰陽師に連れられてさ、つ・ま・り♪ダンジョンに入ってみたはいいもののビビってすぐに逃げてきたクチか、近所にダンジョンが出来てその相談なんじゃないの〜?そんなビビリな貴方に仕事をくれてやるわ!さぁ、そのダンジョンに案内しなさい!」


俺はスルーして家の中に入る。今夜のご飯は何にしようかな〜


「無視してんじゃないわよ!このアタシ!登録者数30万人の羽手菜カザリを知らないの?」


お、ひき肉残ってた。ハンバーグにすっか


「ちょうど新しいダンジョン探してたのよ!まだ他人が入って無い真新しいダンジョンをね!で、ちょ〜賢いアタシは考えたワケ♪お祓いとか言ってダンジョン封鎖する陰陽師の動きを張ってれば新しいダンジョンが出来てる所に行けるってね!」


うるせぇなぁ……聞く気無いのに……


「ちょっとみんなタンマ!…………オラァ!出てこいうだつの上がらねぇクソ野郎が!アタシを無視してんじゃねぇよ!ぶっ殺すぞ!てめぇに犯された!っつって触れ回ってやろうか!されたくなけりゃ5秒以内に出てこい!」


うわっ、豹変した……こわ……ちかよらんとこ

まあ埒が明かないし、ちょっとハッキリ言っておくか


「配信は切ったか?じゃないと何か言っても後から切り貼りしてこっちを悪者にされちゃたまらんからな。で、案内はしない。もし案内した先で怪我でもしたらこっちにも警察が来るだろうしな」


「なによアンタ!偉そうに!黙って案内してれば良いのよ!犯罪者になりたいの?!」


ヨシ、コレで良いか。自分の意見を述べたんだが、まるで取り合ってくれなかったと言う証拠も撮ったし、案内してやるか。じゃないといつまでも粘着されそうだしな。


俺は軽トラに乗り込むと助手席にカザリを乗せて家を出る。


「みんな〜ごめんね〜!プライバシーとかあるからおじさんとの交渉は映せなかったんだ♪今はおじさんの車に乗って出来たばかりのダンジョンに行くところ。どんなとこかワクワクするよね?」


なかなかの面の皮の厚さしてんなぁ……っとそろそろか

昨日お祓いしてもらったダンジョンの入り口の所に到着し俺達は車から降りる。


「う〜ん……思ったより普通?ホントにここで合ってんのおじさん?」


俺はちょうど昨日お祓いしてもらって落ち着いたばかりな事を告げ、出来るなら完全攻略して消して欲しい。コレは邪魔だと言う事を告げた。


「完全攻略〜〜!そんなのプロしか出来ないよ〜!でも出来たらアタシはもっとレベルアップ出来るからね!期待しててねおじさん!」


そう言いながら意気揚々とダンジョンの中に降りて行くカザリ。……人死にが出ると面倒くさいし一応付いて行くか………面倒くせぇ




◇◇◇


羽手菜カザリ視点


「優しいおじさんで良かったぁ〜!ココ、まだ誰も入った事が無いんだよね?やったぁ!全人類でいっちばんのりィ〜♪」


:[カザリちゃんが一番!!]

:[おじさんの為に攻略するとかカザリちゃん大天使]

:[あのおじさん邪魔。カザリに近づき過ぎ]

:[ココは何系ダンジョンなんだろ]

:[カザリちゃんがんばれ〜]


配信ユニットのディスプレイにはコメントが勢い良く流れている。それにアタシはちょー気持ちよくなるの♪

さ〜て、早くモンスターちゃん出て来てよね〜アタシの魔法でカッコ可愛いアタシの引き立て役になってもらうんだから!


通路を抜けて広い場所に出ると目の前に鎧武者が一人座り込んでいた。


「あれぇ〜ココはあのおサムライさん一体だけか〜しょ〜がない。ちゃちゃとやって先に行きたいと思いま〜す!」


:[鎧武者一体だけとかwwww]

:[スケルトンとかリビングメイルの亜種かな?]

:[ソイツだけとか絵面悪すぎワロス]

:[ボスラッシュ系ダンジョンの可能性がある早く逃げて!]

:[↑逃げろとか指示厨だろお前クサいぞ]


アタシはいつもの必殺魔法の準備をする。右手に炎、左手に雷、


「今日はおじさんとの交渉とかあってテンポ悪かったからサクサク行くよー!」


アタシ流必殺ゥー!


「雷火!(ライカ!)」


バチバチバチ!と音を立てながら燃える雷が走る。派手にビカビカとする様子からアタシのお気にの技なんだよねぇ〜


:[カザリ最強!カザリ最強!]

:[相変わらず凄い魔法だぁ!]

:[良いから早く逃げて!]

:[2属性を同時に使えるセンス、ライカはすげぇや!]


なんかポツポツ指示厨湧いてんなーうぜぇ

だって見てみなよサムライが居たとこ……に……は?


無傷?アタシの魔法を切った?


:[ワンフロアに一体ずつしか居ないダンジョンはボスラッシュダンジョンって言われてて一体しか居ない代わりにめちゃくちゃ強いんだよ!]

:[魔法通じなくたって大丈夫だろカザリたんには可愛さがある]

:[魔法メインの人相手に魔法切れるサムライとか相性最悪だろ茶化すな!]


え?アタシの魔法が通じない?でもここで逃げたらずっとその事をネタにされる!そんなのイヤ!


「モデレーターさーん!指示厨ウザいのでBANしてくださ〜い!アタシに魔法しかないと思ってるの?そんなワケ無いじゃ〜ん!」


どうしよどうしよどうしよどうしよどうしよどうしよどうしよ





──────


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