第2部 久子は語る (7) ブラジル大使館 裁判を起す決心 弁護士事務所
第7章 ブラジル大使館
16時半も過ぎる頃、大使館の事情徴収が始まり大使と話をしました。ブラジル政府は黙ってはいないと言われます。「いや~これは大変なことになった」と冨さんと二人で話をしました。11月19日に再度ブラジル大使館に行って1時間半大使と話をしました。内容は分からないが何か慌ただしく秘書とやり取りされてをされていました。後で分かったことですが弁護士を紹介するとのこと、その弁護士と予約の日時の段取りをしておられたのでした。ブラジル大使オーランドさんは私に対し「このまま話をウヤムヤにさせて、それで気が済むのか?」と強い口調でおっしゃった。
冨はこの時〈一夫一人のママであるか、それともこれからのブラジルの若者皆のママになるかあなた次第よ〉と心の中でハッパをかけたことを覚えている。
裁判を起す決心
弁護士からは「弁護士費用は労災が下りてからで結構です」と確約が取れているという話を聞いて私は裁判を起す決心をした。オーランド大使は大層喜んで「あなたは偉い!」とおっしゃいました。
11月24日に東京八重洲で伊藤・小林弁護士に会うことになりました。労災の手続きは全く進まないので、大使館の方からはしばらく家族のもとへ帰って心身を休めてはどうかと勧められました。飛行機はもう5回もキャンセルしていましたが旅行会社
’ウニツール’の直子さんは温かく何も言わず12月6日の切符を取ってくれました。兄の幸一は仕送り分を稼ぐため日本に残り私一人で帰国することになりました。
弁護士事務所
11月24日、東京八重洲にある伊藤・小林弁護士事務所を冨さんと一緒に訪問しま
した。 二人とも緊張して両弁護士にお会いしました。この日、弁護士から示された、死亡に対する賠償金の算出方法を二人でポルトガル語に訳し、その足でまた大使館に行きました。この頃から少しづつ私は自立する気持ちになってきました。
11月26日 一人で電車に乗ってブラジル大使館までカーゴビザ追加のため外出をしました。
11月28日 親類探しをしてくださったH記者のインタビューを受けました。
12月1日 「ブラジルに帰ってもらっても結構ですよ。後は我々にお任せください」と弁護士さんから嬉しい電話がありました。
12月2日 オーランド大使にお礼と帰国の報告をすると「気をつけて帰りなさい。今度日本に来たら直ぐに私に連絡しなさい」と言われてとても嬉しいでした。
12月5日 お寺さんに預けていた遺骨を受け取り帰国の準備は完了しました。
(第2部 終 第7章 終)
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