2、亡霊と化した都市
人間がいなくなったことで、都市はやはり変わった。かつては活気にあふれており、人々の様々な思いが入り混じっていた「大都市」と呼ばれた場所はその影すらないように思える。高いビルは根元から崩れ去り、川があった場所には数個の朽ちたボートがぽつぽつと取り残されていた。高架橋のような橋はなんとか形を保っているが、崩れるのは時間の問題だろう。生えることがないはずの場所にさえ植物が生えてきている。自然と一体となった都市は人間に言わせれば亡霊になったようだ。こう言うと悪い印象を与えかねないが、別にそれだけではない。支配という名の呪縛から解かれた町はどことなく生き生きとしているようにも思えた。せわしなく動いていた人間がいなくなった。空ではやはり鳥が悠々と飛んでいた。
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