第2話 「カグラバチ」はなぜヒットするのか
こんな人に参考になるかも!
★キャラ造形に困ってる人
今回は、週刊少年ジャンプで次期看板と名高い「カグラバチ」について先取っておこうと思う。
現在は本誌最新号の49話くらいまで読みました。(今単行本が出てるのは3巻まで)
一言でログラインを説明すると、凄い力が使える妖刀を鍛刀できる父を殺された主人公が、復讐のために奪われた妖刀と父を殺した奴らを追う話です。
根本的に最近のアニメ化されたジャンプの看板漫画の行き先として、
一.鬼滅の刃ルート(一般ウケもオタクウケもエグい。国民的作品と化す)
二.呪術廻戦、ハイキュールート(一般ウケもするけどオタクウケが特にヤバい。キャラ人気も凄くて二次創作がこれらの作品で埋まる)
三.Dr.STONEルート(一般ウケもオタクウケもするが、どちらかと言うとキャラ人気よりも作品ストーリーのエグ面白さが評価されている)
があると思うんだけど(ちなみに作品の面白さという観点で一二三の全てが上位存在であることは言うまでもなく、プラスアルファ軸を設けるならコレって感じ)、カグラバチは「今のままいくなら三かな」「場合によっては(条件が揃えば)一に近い場所にいくかもしれん」というのがマイ考察。
ただこれは精々単行本に換算すると5巻分程度の話でしかないので、今後【二】に変化する可能性は十分ある。(呪術もエグいオタクウケ展開(キャラ魅力やキャラの関係性に深く追求した展開)を持ってきたのは8巻辺りじゃないか?と思う)
どちらにせよ看板を背負って立てる作品にはなるやろな〜、という所感です。
このジャンプ看板作品の分け目(一、二、三の分岐点)の話や、鬼滅が何であんなヒットしたんだ?みたいなミニ考察と当時の俺が鬼滅メガヒットにめちゃくちゃ困惑した話マジで入れたかったのに長すぎたから端折った。
この語りなどは多分次の「番外編 鬼滅の刃がなぜメガヒットしたかをオタクは見抜けない」でやると思う多分。
じゃあ長くなったけど、カグラバチの良い点を挙げていく。
①適宜挟み込まれるギャグ(コメディチックなシーン)
一話がすでに凄い。
一話でこんなに一見無意味とも思えるギャグシーンを挟める度胸。まず凄い。多分凡人はそこまで思い切れずにいっぱい設定とか詰めちゃう。
その上でこの細やかなギャグが漫画のテンポを良くしてんだよなあ。復讐ものなのに暗くて読みづらくなるのも避けている。何だコレ、すげえ。
そもそもとして寒くねえギャグセンはマジで才能なんすよ。(逆に寒いと一気にそこでテンポ切れるからね)
しかもこのギャグセンがかなりこの作者さんの味(固有のもの)になっている。一話ですでにそれを感じさせるのエグいて。
②キャラ造形が良い
主人公はそこそこ平凡なクール系主人公なんだけど(思えば彼もAセクAロマ気質な男性主人公だ)、彼の傍にいることになる準主役キャラの関西弁無気力系おっちゃん(柴さん)(BLEACHで言うと平子真子が似てる)がかなり良い味出してる。
多分主人公がクールキャラな分コミカルなキャラを傍に付けよう、という話なんだと思うが、これが作者のギャグセンの良さにより相乗効果を生んでいる。
このおっちゃんがいることもあってより復讐系シリアスものなのに場が重くならない。(日常パートがこなせる)
最初のボスキャラの双城も愛着を湧かせるキャラで良いよね。
おそらく「初手で激強なわけではなく、主人公と一緒に強くなっていくキャラであること+彼も彼なりに刀に対する考えがあって、愛するものが主人公側と(一部)同じであり、それがしっかり描かれているところ(行動や言動はクソ野郎だが歩み寄れる部分や人間的な部分を見せるのが上手い。ギャップ的な効果だろうか? コワモテ政治家がよくやる感じの見せ方を想起すると分かりやすい)」がただの敵キャラとはまた違う愛着を湧かせているんじゃなかろうか。
これは余談だけど、個人的に一番大事なキャラクターは敵キャラだと思っていて、敵キャラが主役を食うくらい魅力的な(これはつまんない・ありきたりなクズ敵ではないという意味で、クソ野郎でも全く問題はない。むしろそのクソ野郎さと魅力をどう維持できるかという話なんじゃないかと思う)キャラが一番面白えんじゃね?と思っている。
これの一番代表的なのがバットマンのジョーカーかなという印象。
最近だと呪術の宿儺とかも魅力ポイント高かった。(あれ絶対虎杖よりも宿儺からキャラ構成も虎杖関連のストーリーも決めてるよね)
HUNTER×HUNTERも大ボスではないにしろヒソカが一番人気なんじゃねえの?みたいなとこあるしな。
※悪役創作だと個人的には映画観るのがオススメ。短い尺の中で悪役まで魅力的にできる作品はやっぱ何か“ある”んすよね……。(よく言われるレオンとか、最近だとMr.ノーバディとか良かったね)
話を戻すと、カグラバチは実はどのキャラもキャラデザがめちゃくちゃ尖ってるわけではないんだけど、完全にキャラ造形と魅せ方でこちらを食いにきている気がする。
そもそもとしてカグラバチはキャラ売りしようとはあんまり思っていないように見える。(オタクにウケそうなキャラクター同士の深い関係性みたいなのも今のところあまり出てきていない)(しかし最近のジャンプ系は結構こういう感じかもという気もする)
ストーリーとそこに合うキャラ造形で魅せてきてんのが凄いんだよな。
あと俺が好きなのは、後々出てくる緋雪。簡単に説明すると、凄い刀抜きで凄い刀と同程度の力を使える最強格キャラで、好戦的な口調荒めの女性(でも実はすごく“正しさ”について考えていて、真っ直ぐですげえかっけえキャラなんだよな〜!!!)(中身は全然違うが表面的には呪術廻戦の真希さんとかが少し近い)
これはマジで完全にただの俺の好みなんだけど、こういうつよつよ女キャラ大好きです。自分でもついこういう女キャラばっか主役に据えちゃう。(なのでお願いだから女の子っぽい趣味がバレてツンデレ頰染めするみたいなギャップ付与すんのはやめてくれ〜〜〜〜!!!!)(もしそうなったら俺は液晶を叩き割って沈黙するので察してください)
余談だが、彼女もキャラ造形の良さがツイッターでちょくちょく言及されているのを見る。刺さる奴に刺さるんすよね……。
③説明が上手い
というか細かい説明がなくても、物語を進めることができるのがすごい。これ本当にすごいことなので、個人的にはマジで(一番レベルで)参考にしたほうがいいと思う。
後々彼らが使っている能力はこういう原理で、みたいな話もするんだけど、そういうまどろっこしいところ(しかし説明が必要なところ)を良い感じにスキップして物語を進めて、しかし違和感を感じさせずに読ませてくる。いやこれ凄いて。どういう原理?ほんまに真似したい。
申し訳ないけど、この点に関しては原作を読んでくれとしか言えねえ。
一話も本当にほとんど説明がなくこんないっぱいギャグシーンやお父さんの刀に対する想いに割いて大丈夫なんか!?ってなるんだけど、大丈夫なんだよねこれが〜。何で〜?
でもそのおかげでこの後の台詞や主人公の行動に重みが出るんですよね。上手い。構成が上手い。
お父さんの刀に対する想いとかは多分普通ならもっと後の強い敵との戦いで過去回想的にいっぱい出すのが王道じゃないか?と思うんだけど、この作者さんは一話でかなり入れちゃう。入れて全部良い感じに成り立たせちゃう。すげえ。
④構図の上手さ
これは正直小説には活かせないんだけど、一応書いておく。なぜならめちゃくちゃ良いし、おそらくこの作品で評価されている点のひとつだから。
大勢vs一人(主人公)の構図取りが上手すぎる。いやあれ描くのめちゃくちゃ大変だろうな〜とか絵を描く自分目線で思ってしまうくらいこの作品にはこの構図がたくさん出てくる。ただそれがカッコ良すぎる。絶対アニメ映えするやろなあ。
こんな感じか。
あとこの作品も女性キャラクターの性的客体化描写が全くないね。女性の主要キャラで出てきた(ほぼ)一人目が緋雪だしな。
最近のジャンプは呪術廻戦といい、この辺り編集が女性キャラをエロくしろとかエロ入れろとかうるさく言わなくなってきてる可能性があるな(海外向けもかなり意識してんだろうか?)。
個人的に読みやすくて助かるし、男女問わず俺みたいな奴の感覚が結構広まってるのかもしれんね。
では終わり。
なぜあの作品がヒットしたのか考えるエッセイ ポメル・ノベル @pomel_n
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