第10話 アンサーソング
男性保護局が作為的に男性の婚約者を決めていた。しかもそれは国で発言力や影響力を持つ言わば要人と呼ばれる人間ばかりだった。
この事実は瞬く間に広がり、かつて類を見ないほどの炎上騒ぎになった。
:いやー、燃えてますな
:そらそうよ、あれだけのこと起こして炎上しないわけがない
:自分たちは権力使って男性を独占しとったんや、そらみんな怒るわ
:ただでさえ男性との関わり自体持てない人間の方が多いんや
:むしろこのくらいで踏みとどまってる国民をほめてもいいくらい
:それもあるけど、あの事実が露呈してからの対応が最悪やったよな。
:ほんそれ
:いくらミズキさんの居場所が分からないからってチャンネルのコメント欄に書き込みとか笑
:そこで誠意のある謝罪を書くならまだしも男性保護局まで来いとか、完全になんかする気やろ
:政府は否定してるけど、何も無いと考えない方が無理
:どんだけ信頼されとると思っとんねん
:いやむしろなんで信頼して貰えると思っとんねん
:案の定無視されとるし笑
:ざまぁwwww
:お、そういえばそろそろ動画upされる頃やない?
:お、まじだ!
:楽しみ
:なんの動画かね?やっぱりあのコメントとかに触れるかな?
:かもな、決着着くまでは経過報告系が主なんじゃないか?
:ミズキさんが見れるならなんでも良し
:全裸待機完了
:風邪ひくぞ
:潮吹き待機完了
:頭わいてるぞ
:辛辣で草
:まあ、しゃーない
:お、始まるぞ
:カウントダウン機能なんてあるのか
:あと3
:2
:1
:スタート!
ミズキの動画が公開された。
リスナー達は、騒動に関する動画だと思っていたが、その予想は外れた。
ミズキが投稿したのは音楽動画、いわゆる、歌ってみたに分類される動画だ。
:みんな、生きてるか
:致命傷だから大丈夫
:成仏してクレメンス
:なにこれやばない?
:男が歌ってる
:いや、歌ってるのは珍しくは無いけどね?でもクオリティレベチ
:まあ、男性の歌手とか芸能人もいるにはいるけど、大抵がいやいややってたりするしな
:仮にミズキがいやいややってたとしても、それを出さないのはプロすぎる
:やべー、これやべーよ
:てかこれ、今の国に対しての皮肉になってて笑う
:ほんそれ、完全に国とは決別するって言ってるようなもんやしな
:合わせる理由なんてないとか要らないものは捨てて旅立つとかカウンターの火力高すぎ
:政府の人見てるー?
:残念だったな、保護局に呼び出しさえ出来ればどうにでも出来ると思ってたんやろ?
:この曲聴いてお前達はミズキにとって要らないって事を理解しろ
その後も、掲示板やSNSでも話題は尽きず、今夜もまた終わらぬ宴が始まった。
僕が初めての動画を投稿してから、早いもので1週間がたった。動画の反響は思ったよりも凄まじく、保護局と議員の癒着や裏金問題など様々な事実がどんどん露呈し、連日ニュースで取り上げられていた。
事の顛末としては保護局長及び山中大臣、ほか数名の大臣は役職を罷免され、逮捕された。
そしてこの件に関わっていた数名の議員、保護局員も同様に懲戒免職、その後に逮捕となった。保護局に資金を流していた資産家達も警察による監査やら立ち入りなどがあるようだ。
ひとまず僕を縛ろうとしていた人達はみな居なくなったと言っても良いだろう。良かった。
どうやら、他の国に行くかも発言は想像以上に国会を騒がせたらしく、シオミズチャンネルのDMには国の重鎮やら、新しく保護局長に就任した人から謝罪メールが届いていた。
仕方が無いので、矢ヶ崎さん同伴で話し合いになった結果
・現状、他の国に移住することはしない(ただし、今後今回のように僕の権利が侵害されるようなことがあればその限りでは無い)
・精子の搾精義務は果たす。しかしまだ完全に国を信用出来ないため、暫くは国際精子バンクに提供し、信頼を取り戻せたと感じた際に国への提供を再開する。
・結婚相手は自分の意思で決める
この3つを約束してもらった。助成金は断った。特に受け取るメリットがないからだ。
こんなにスムーズに話が纏まったのは矢ヶ崎さんがいたからだなぁ。矢ヶ崎さんまじ有能。
さあ、これで問題もひとまず解決!
まずは、矢ヶ崎さんの給料を払えるようになるためにも、収益化を目指すぞ!
そのためにも、動画投稿頑張ろう!
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ミズキの投稿する動画の曲は、既存の曲をぼかしたりしています。
小説内の状況と、歌詞がマッチする場面が多かったので参考にさせて頂きました。
本家様はそういう意図で曲を作った訳では無いので御理解頂けると幸いです。
注意してはおりますが、ガイドラインなどに抵触してしまった場合、
内容を修正、もしくは削除する場合がありますので御理解頂けると幸いです。
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