第6話 すっげー変な夢見た
その夜夢を見た。
夢の中で僕は神様と話していた。
「やあ、神だよ」
このノリの軽い陽キャ大学生みたいなのが神様。
「ひどいなぁ」
なるほど、考えてることやっぱ伝わっちゃう感じか いつものコミュ症が発動しないのも神様パワーみたいな何かなのか?
「そうだよ。理解が早くて助かるよ。いやー、大変なことになったね」
神様なんか楽しんでる?
「そんな事ないよ、僕なりに責任を感じてるんだよ?」
責任?
「そりゃ、この世界に君を転生させたのは僕だからね」
把握
「君もだいぶノリが軽いと思うけど、まあいいや、君は転生する時に辛い記憶なんかをリセットしちゃったからあまり覚えてないだろうけど、それはそれは壮絶な人生を歩んできたんだよ、聞きたい?」
いや、別に良いです。
忘れることを望んだのにわざわざ思い出したくない。
「おけ。まあ、それで前世で死んじゃった時にさすがに可哀想だから僕の管理する世界のうちの一つで幸せな来世を送ってもらおうとしたんだけど」
この世界でもまた詰みかけていると
「まあ、簡単に言えばそういうこと。さすがにチート能力を与える!みたいなことは出来ないけど、アドバイス位はできるよ」
それなら
「なるほど。いいねそれ、それなら誰も文句言えないんじゃないかな?前世の君のことも考えれば十分可能だと思うよ」
ま?
「うん、君のささやかなお願いもその程度なら問題ないよ。だけど、ここから先は君次第だ。僕はこれ以上君を支援することは出来ない。君の人生を君らしく生きて欲しい」
りょ、任せといて
「うん、そのくらい気の抜ける返事の方が安心するよ。それじゃ、頑張ってね」
がんばるんば
「・・・・・・すっごい変な夢見た。内容覚えてないけど。」
んー?
まあいいや、ご飯食べよ。
よし、、気合い入れるぞ!頑張るぞー!
ここで折れたら一生を棒に振ることになるかもしれない。今だけは陰キャ返上だ!
うん、さすがにそれは無理だわ。調子乗った。
気合いを入れて作業をしているとチャイムがなった。
おや、誰か来たようだ。
扉を開けると、そこは
ホストクラブがある訳もなく、いつもの景色。
そして。
「ど、どうしてここに?」
一週間が経った。
今日は石動が水樹に提示した期限である。
この日石動は朝から来客の対応をしていた。その全てが日本の要人や資産家の人間ばかりなので、流石の石動とて気を張っていた。粗相があってはならないからだ。
緊張した空気の中、石動の対面に座る老齢の女性が口を開く
「石動さん、例の期日は今日でしたわね」
「はい。汐田 水樹にはこちらが提示した候補者の中から婚約者を選ぶようにと伝えております」
「よろしい、それで、私の娘は選ばれるのでしょうね?」
「・・・申し訳ありません。私の力ではご息女を婚約者の候補に入れるので精一杯でございました。さすがに彼がどの方を選ぶかまで決めるまでは」
「そうでしたね。そんなことをすれば我々の立場まで危うくなってしまう。とはいえ、誰を選んでも我が家と取引のある家ばかりなのだから、いくらでもやりようはあるわね」
「おっしゃる通りでございます」
「汐田水樹、彼にはこの国の平和のシンボルマークになってもらわなくては」
その後も彼女を始め、様々な要人と石動の会談は続いた。
時刻は夕刻に差しかかり、最後の来客者である、山中 春子 農林水産大臣(43歳 独身)との会談がまもなく終わろうと言うところだった。
もちろん彼女も水樹の婚約者候補の1人である。
「さて、そろそろタイムリミットですね。汐田水樹は我々の要求を受け入れられなかったようですね」
「ならこの後のことは手筈通りに。拘束後薬品を投与、体の動きを奪い、既成事実を作れ。そうすればこちらのもんだ」
「かしこまりました。・・・突入しなさい!」
『了解』
石動が無線で突入を指示する。それと同時に水樹の家に十名程の保護局員が突入した。
しかし、
『こちら突入班。目標確認できません!』
「なんですって!?」
「・・・石動くん、どういうことかな?」
『汐田水樹の姿はおろか、室内には家具なども一切ありません。もぬけの殻です』
「・・・そうですか、分かりました。直ぐに撤退しなさい」
『了解』
石動は無線を切った。
「やられたな」
「申し訳ありません。汐田水樹の性格からここまでの行動力は無いと思っておりましたが、読みが甘かったようです」
「まぁ、いい。直ぐに汐田水樹の行方を探せ。そして今度こそ我らのものにするのだ。そして、その後は朝から晩まで女達を孕ませるための道具になってもらおうでは無いか。そうして、色んなところに恩をれば、私がいずれ総理大臣となることだって夢ではない」
「山中大臣、その時には是非、私にも」
「分かっている。では、たのんだぞ」
「かしこまりました」
「・・・それにしても先程から何やら騒がしいな」
「そうですね。この後は特に来客などもなかったはずなのですが」
その直後ふたりのいる部屋の扉が、勢いよくノックされる。石動は礼儀がなっていないと思いつつも入室を許可した。
「全く、騒がしいですよ」
「も、申し訳ありません。ですが、緊急事態だったもので」
「・・・まあいいです。それで、どうしました?」
「そ、それが、先程から苦情の電話が鳴り病みません!SNSでも石動局長や男性保護局、山中大臣やその他数名の大臣や政治家、資産家への批判が!」
「なんですって!?」
石動はすぐさまスマホでSNSを確認した。
自身のアカウントには批判や誹謗中傷のメッセージが数え切れないほど送られて来ていたいわゆる炎上と言うやつだ。
それだけでは無い。自分やここにいる中山を始め複数の人間が炎上している。
そしてその炎上している人物たちは全て水樹に婚約させようとしていた人間達だ。
石動は直ぐに、これは水樹の仕業だと理解した。
「それで、この炎上騒ぎの原因は何ですか!?」
「こ、こちらになります」
怒鳴られた局員は今回の原因となった1本の動画を見せるのであった。
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