さいわいな ひと

 観客と演者には、明確に力関係があるよね。観客は、演者を好きに評価していい。個人の感想だ、演者は評価されるためにやっているのだと嘯いて。

 それはまあ、正論ではあるよ。でも、それが気に食わない者もいるだろう。

 一方的に、一枚隔てたところから観察している。その幕を取り払い、評価する側をされる側にする。そういうことをしたいのは、人間でなくても、いるんだろうね。

 見るっていうのは、同時に、見られていることでもあるんだろうね。

 しかし、今回も俺は会えなかったな。

 ここまで会えないと、嫉妬するよ。いいなあ琴葉は。

 ごめんごめん、悪いと思ってるよ。

 アフタヌーンティー奢るからさ。琴葉、憧れてただろ。

 じゃ、日曜日、上北沢で待ち合わせね。

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