第3話 海中道路

「おはようございます! 早く起きてくださいよー! 今日は、うるま市を見て回りましょー!」


「えぇ? 昨日はどうなったかって。記憶が無いんですか? もうー。君は、忘れっぽいんだから」


「何があったか、思い出したいんですか? ふふ……」(意味ありげに微笑む。)


「それはもう、昨日は楽しかったですよね」(色っぽく)



「美ら海水族館で、ジンベイザメを見てるあたりから、ずーっと手を繋いでホテルへ帰ってきてね」


「そのまま、ホテルで続きをお楽しみしようと思って、一緒にシャワーを浴びたんですよ?」(楽しそうに)


「ふふ、そこまでは良かったんですよ。君が先に出たと思ったら、君はすぐ寝てたんですよ」



「またですよ? 募る思いと、積もる話ができずに、私は悶々としてたんですから」


「……しょうがないから、ホテルに帰ってきてからは、一人で大画面テレビにナマコの生殖動画を映し出して、じっくり鑑賞してましたよ」


「ナマコだって、生殖ができるのに。君ときたら、はぁ……」


「いっ、いや、別にそういうことがしたいわけじゃないんですよ。私は、お話がしたかっただけなんです。せっかく水族館行きましたし!」(慌てた感じで)


「と、とりあえず、今日も行きますよー! 今日は、レンタカーで移動です! 運転は君にお任せ! 私は案内!」



SE:車の発信する音。

BGM:車内に流れる爽やかな夏ソング。



「さてさて! 今日は、うるま市を一緒に見て回りましょうね」


SE:ぺらぺらと、旅行雑誌をめくる音。


「うるま市っていうのはですね、沖縄の中ほどに位置している場所なんです。よく言うのが、『沖縄のへそ』なんて呼ばれていたりする場所です」


「沖縄を『女体』とするとですね、ちょうど真ん中あたりに位置するっていうことです」


「えっ? 『女体』にしなくてもわかるって? 君の頭に入るように工夫して伝えてるんですよ? 君は忘れっぽいから」(呆れた感じ)


「えっ? 皮肉ですよー。皮肉たっぷりです。ふふふ」(楽しそうに)


「けどだって、『うるま』っていうのは、沖縄の言葉で『サンゴの島』って意味だって言っても、頭に入らないでしょ?」


「君の場合は、沖縄を『女体』にたとえて、それで沖縄のくびれの位置にある場所の『おへそ』って言った方が頭に入るでしょ?」


「だってさ、君、おへそが好きなんでしょ?」(イタズラっぽく言う)


「ふふふ。私、知ってるんですよ? 一緒にお風呂入っている時、君が私のおへそばっかり見てたこと」


「別に見られることは嫌じゃないですけども。ずーっとおへそ見てるんですもん。最初は、男女の違いの部分を凝視してるのかと思ってたんですけども、おへそだってわかったんですよ。言葉を発さずに、なんで凝視してるんだ? ってびっくりしましたけども。見てたんだから、覚えていて欲しいものですけどね」


「......どっちの部位を凝視するのが変態かっていったら。『おへそ』の方かもしれないですよ?」


SE:もそもそと近づく音。


「おへそフェチ」(耳元で囁くように)



「ふふ。覚えてないなら、また見てくれてもいいですよ? 私の成長した身体のくびれ部分を期待しててください?」


「自分では、かなり綺麗な部類だって思ってるんです。今、見ます?」


「あー、運転中はよそ見できないですよね。……なら、触ってみます? 細くて、くびれているといっても、女の子って柔らかいんですよ?」


「どうですか? やわらかいですか?」(少し恥ずかしそうに)



「あはは、これ以上やると、事故っちゃいそうですよね。やめときましょうか?」


「はは、君の残念がる顔良いね。ふひひー、溜まらないですねー。こうやってからかいたかったですよ。もしかすると、今が絶好のチャンスかもですね!」(楽しそうに)



「ちゃんと、ハンドルは握っててくださいね? 集中して……」


「君自身は、自分の身体の部位だと、どこが好きなのかなー?」(耳元で囁く声)


「お姉さんに教えてみなさいよ? ほらほら? 触れたお返しに、私も触り返すから……」(耳元で囁く声)


SE:車の窓が開く音。

SE:ミーンミンミン。セミの声



「わっ! いきなり窓を開けないでくださいよ! びっくりしますから」(びっくりした感じ)


「えーっと、気分を入れ替えるため? まぁいいですよ。続きはまた後でですね」



SE:ミーンミンミン。セミの声


「相変わらず、沖縄のセミはミンミンと求愛の声がうるさいですねー」


「セミって、鳴いているのは全部オスなんですってよ? セミを見習って、君の方から求愛してもいいんですからね?」


「まぁ、まだ沖縄に滞在していると思うので、ゆっくりでいいですけども」


「窓開けると、潮風が気持ちいですよね。」



SE:波の音。


「あ、見えてきましたよ! ここが最近できた海中道路っていうんです。この道を真っすぐです!」


「ほらほらー、見てくださいよ! 右も左も海なんです。ねー、海の中を走っているみたいでしょー?」


「これが気持ちいいんです。よく見てみたらわかるんですけども、遠浅な海なんですよね。浅い所と深い所で、色が違うんです。沖縄の海って、このグラデーションが綺麗ですよね」


「あっ、ちょっと途中にある店に止まりましょうか」


SE:車の止まる音。

SE:ぴーっぴーっ。(車が止まる時の、ピーってなる音。)


「運転、お疲れさまです。ちょっと休憩しましょうか。せっかくなので、浜辺でも歩いてみましょ」



SE:波の音。

SE:砂浜を歩く音。


「さっき私が言ったこと忘れてると思いますけど、『うるま』って『サンゴの島』って意味なんです。そこいらにサンゴがあるんですよ。だから、砂浜が白いんです」


「ふふ。せっかくだから、ちょっと海に入ってみますか? 遠浅なんで、靴だけ脱げば平気ですよ! ほらほら!」


SE:バシャバシャと海を歩く音。


「ふふ、海って気持ちいいですよね。水かけたり、ベタなことでもしますか? えぇー、しませんか?」


「しょうがない。水かけ合いをしないなら、一方的にかけちゃいますね? それっ!」


SE:バシャッと水が当たる音。


「ちょっと、手は押さえないでくださいよー。君は、抵抗禁止!」


「ちょ、ちょっと強いですって、う、うわーーーー、倒れちゃいますよー!」


SE:バシャーン。(海に潜ってしまう音。)

SE:ブクブクブク。(海の中の音。)



「……っぷはーー! ちょっとー、抵抗しないでって言ったじゃないですか!」


「もう、ビシャビシャじゃないですか! どうするんですかー! 私、着替え持ってないんですよ!」


「もうー……。水着だけは持ってきましたけれども……」


「しょうがないなー。帰りは水着で帰りますか。せいぜい、私のおへそでも堪能してくださいよ! もう! 君も水着だからね!」(怒った声)



SE:バシャバシャ。(水の中を歩く音)

SE:波の音。


「ふぅー。とりあえず、日向ぼっこでもして、乾かしますかー」(少し落ち着いた声)


SE:波の音。


「海の上で、まったりした気分ですよね。ここ、私好きな場所なんです」


「二人で来れて良かったです。服は濡れちゃいましたけども、今とっても楽しい気分なんですよ」


「ここって、ずっと遠くまで水平線が見渡せて。海と空の境目が分からないですよね」



SE:波の音。


「のんびりしてて、良いですよねー、時間が止まっているみたい」


「ずーっと、どこまでも青空が続いていて、夜なんて来ないみたいですよね。何か悩みとかがあっても、無くなりそうです」


「そう言えば、どうして沖縄旅行に来ようなんて思ったんですか?」



SE:波の音。


「……なーんて、野暮なことは聞かない方が良いですよね。お姉さんは、気遣い上手でもあるんですからね」



SE:波の音。


「まぁ、言いたくなったら、いつでも『はーちゃん』に教えてくれてもいいですよ?」


「また恥ずかしがっちゃって。二人きりだからいいじゃないですか?」



「昔みたいに呼んでくださいよ。はーちゃんって」(耳元で囁くように)


「『はーちゃん』って言って……」(耳元で囁くように)



SE:チュッ。(キスする音)


「ふふ、油断してるからですよ? 唇は奪われるっていうんですよー?」


「奪わられちゃたら、いつ奪い返しても良いんですよ?」


「……ほら。いま、わたし、油断しちゃってるなー。波の音を聞いてリラックスして。油断しちゃってるなー?」


SE:波の音。


SE:チュッ。(キスする音)


「…………ちゃんと、出来るじゃないですか。……奪われちゃったんで、今度は私が奪い返しますね」



SE:チュッ。(キスする音)


✧••┈┈┈┈┈┈••✧

【あとがき】

この物語が『面白い』『続きが読みたい』と思って頂けましたら、☆での評価をお願いいたしたます。

作者モチベーションに繋がります。(*_ _)

✧••┈┈┈┈┈┈••✧

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