第26話 新たな日常
アリスとノアとの戦いから一ヵ月程経過し、ユリアンの村も大きく発展した。
復讐も果たしたので、それなりに忙しく喉かな毎日を過ごしている。
アンネの作った昼食を食べ終わり、いつもの広場で村の様子を眺めていると、二人の妹がユリアンの元へとやってくる。
「お兄様、お暇でしょうか?」
「特にする事はないが、何か用か?」
「実は私達、冒険者になってみたいんです!」
「却下だ」
「それは、何故ですの?」
「俺はお前達をまだ信用していない。 この村の事を知って、外に出すわけにはいかない」
「確かに、この村の周辺はとても肥沃な大地が広がっていますし、外に情報が洩れれば殺してでも奪いたいと思う
ですが、私は色々な場所へ行ってみたいのです。 なんとかなりませんか?」
「なんとかする方法が無いわけではない。 だが、普通に冒険者は危険な仕事を引き受ける事もあるし、エミリーはともかく、お前には無理があるだろう」
「こう見えて、それなりに剣術は扱えるんです! 一度お手合わせして頂ければわかって頂けると思いますわ!」
「そうか? それならちょっとだけ付き合ってやる」
ドワーフ達が作ってくれた剣があるので、ユリアンはそれをカルティナに私、ユリアンは暗黒騎士の剣のみを装備した。
「いつでもいいぞ」とユリアンが告げると、カルティナが剣を抜いて斬り掛かる。
ユリアンは斬り掛かってきたカルティナの剣を軽く弾き飛ばして、カルティナの頭の上で剣を止めた。
「全然駄目じゃねーか。 そんなんじゃゴブリンも倒せないぞ」
「ゴブリンすら倒せない!? 本当ですの?」
「まあ、倒せないはいいすぎた。 ただ、確実に勝てるかと言われたらそうでもないくらいだな」
「そうですか、それを聞いていっきに自身が喪失しましたわ」
「魔法は使えないのか?」
「魔法は全く使えませんわ」
「じゃあ…… 駄目だな。 ところで、二人は随分仲が良いんだな。 見た目はそっくりだが、血は繋がってないんだろ?」
「はい、エミリーとは小さな頃から一緒に遊んでおりましたから私は仲の良い双子の姉妹と言った感じに思っておりますが、エミリーはそう思ってはくれていないようですの」
「私は、姫様の影ですので」
「カルティナはもう姫じゃないんだ。 好きって気持ちがあるんなら友達からでも始めればいいんじゃないか?」
「私もその方が嬉しいです」
「私が姫様の…… 考えておきます」
「まあ、エミリーにも事情があるんだろうし、急には無理だろうな。 とし、お前達ちょっと待っててくれ」
カルティナは「わかりました」と返事をして、ユリアンはアンネに転移門でアリエッタの元へと送ってもらった。
「我に何かようか?」
「カルティナとエミリーの事で相談があるんだ」
アリエッタに二人が冒険者をしたいと言ってる事を伝え、ユリアンに掛けた
「
「てことは、やってくれるんだな」
「我はあまり気は進まないが、お前の頼みであれば構わん」
アリエッタがやってくれると言うので、早速カルティナ達の元へと連れていく。
ついでに、監視役を引き受けてくれる者がいないか、聞いて回るとジュリア以外は良い返事が聞けなかったので、性奴隷の二人にも声を掛けると、小人族のオースティンが行きたいと言って来たので、アリエッタの前に連れて来た。
村の外に出ると言う事で、四人には
カルティナはインビジブルと言う透明になれる力を貰い、この能力は斥候の能力もあるので、危機察知能力を得られ、偵察や監視も能力を伸ばせば出来る様になる。
エミリーは元々暗殺者の能力を持っていたので、前衛でも戦える騎士の力を授かった。
ジュリアはアンネと同じ転移門を使えるようになり、オースティンは回復や支援魔法、攻撃魔法まで使えるインヴォーカーと言う力を得る。
月に一度、全員でこの村に顔を出すと言う約束でユリアンはこの四人が冒険者になる事を承諾する。
ユリアンは四人の顔を見ながら、いくつかの思いついた事を口にする。
「お前達の見た目なんだが…… ちょっと目立ちすぎるな。 バニーガールに、姫が二人、オースティンも王子様みたいな顔してるし、仮面でも被った方がいいんじゃないか?」
「確かに、私は顔も知れ渡ってますので、対策した方が良さそうですね。 ドワーフさん達にお願いして何か作って貰ってから旅にでようと思います」
「あと、カルティナは冒険者にしては言葉遣いが丁寧すぎる。 もうちょっと砕けた感じでいかないと、色々と危うい」
「ご忠告して頂き、ありがとうございます! 旅先では砕けた感じを意識して行動しますわね!」
四人には旅支度もあるので、ここで別れ、ユリアンはアリエッタを屋敷に送り届けた後、アンネと共にドワーフのいる鉱山へとやって来た。
ドワーフの鉱山へとやって来た理由は、アリスとノアと戦ったあの日以来、アリエッタは指輪のネックレスを付けなくなったので、「俺の女だ」と宣言した責任を感じて新しい指輪を作ってもらいに来た。
「おお! ユリアンの旦那! 今日は何の用だ?」
「マルティナ、いきなりで悪いんだが、アリエッタに送る指輪を作って欲しい」
「指輪かぁ…… 勿論良い出来の奴が欲しいんだろ?」
「ああ、頼めるか?」
「指輪ならテオドラの方が得意だから、ちょっと呼んでくる」
マルティナは走ってテオドラが採掘してる鉱山の方へと向かった。
しばらく待っていると、土や岩の粉塗れのテオドラを連れて帰ってきたので、アンネが
「アンネの
「そうだ、マルティナが得意だと言っていたから、テオドラに作って欲しい」
「よし! 任せとけ! 気合入れて作るから明日だな!」
「わかった。 明日取りに来る」
ユリアンはテオドラとマルティナに挨拶し、いつもの日常へと戻った。
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