第13話 彼女が求める理由
ユリアンが眠ろうとして、ウトウトしているとミレーユの部屋の中に誰かが入って来たので、体を起こして確認すると、エステルとイザベルがそこに立っていた。
「あらあら主様、起こしてしまたったでしょうか?」
「いや、丁度眠りに着こうとしてた所だ」
「そうなんですね。 それにしても……」
エステルは
「ん? ありがとう。 もしかして、結構臭かったか?」
「臭いと言うより、ドワーフのメスの匂いがこびりついておりましたので」
ユリアンは、どこかで聞いたドワーフとエルフは犬猿の仲だと言う話しを思い出す。
「やっぱり、エルフはドワーフとは仲が悪いのか?
俺としては、仕方ない面もあるけど、村の住人同士なら仲良くやって欲しいんだけどな」
「別に仲が悪いわけではありませんよ。 ただ、深い根の部分で互いに恐れ合っているから距離が空いてしまうと言った感じです」
「深い根の部分で恐れている? どういう事だ?」
「エルフとドワーフが交わる事は禁忌とされているのです。
話せば長くなりますが、簡潔に言うと両者が争い、互いに大切なものを奪いつくした結果、この世界全体の地形が変わる程の大災厄が起こり全ての種族が滅亡の危機にさらされたと言う言い伝えがあります」
「そうなのか。 仲が悪いわけじゃないって言ってたけど、今は平気なのか?」
「ええ、深い根の部分で恐れているので、禁忌を犯す者もいないですし、問題ありません」
「そうか。 問題が無い様で安心した」
「それはそうと…… ドワーフの娘達の事はお気に召したのですか?」
「エステル? それに、イザベルまで……」
エステルとイザベルはユリアンの両脇から抱き着き、耳元でささやきかける。
「主様、エルフの事もお気に召して下さいさいね」
「最初は私からだ。 初めてだけど主が満足するまで…… ね」
ミレーユも黙って後ろからユリアンに抱き着く。
手慣れている感じだったドワーフ達と違い、エルフ達は不慣れながらも丁寧にユリアンを楽しませた。
初々しい彼女達を相手に、ユリアンは幾度となく絶頂に達する。
ユリアンの疲れもピークに達していたので、行為の果てに気絶する様に眠りについた。
その後、次の日の昼を少し回った頃になり、ようやくユリアンは目を覚ました。
ツリーハウスの中にはミレーユだけが残っていて、目を覚ましたユリアンに甘くて暖かい飲み物を出してくれる。
「ありがとう、生き返ったよ」
「うん、昨日はお疲れだったから」
「元気が出て来るし、不思議な飲み物だな。 これは何て言う飲み物なんだ?」
「ミレーユ特製のミルクティー。 蜂蜜と香辛料もいれてある」
「へえー、これいいな! 今度アンネにも教えてやってくれ」
「うん、わかった」
ユリアンはミレーユと別れ、ツリーハウスから街の広場へと戻る。
帰る途中、ユリアンは考えた。
冒険者などに聞いた話しでは、エルフは基本的に性行為に関して積極的では無い。
少なくとも好意的にそう言った行為を行ったと言う話しは聞いた事がない。
つまり、何かがおかしい。
そこでユリアンが疑ったのは、この村周辺の食べ物。
この村の素材で作った食事をしてから、ユリアン自身も生命力が溢れ出て来る様な感覚を感じていたので、確信があった。
広場に行くと、魔族達が集まっているので、ユリアンは声をかける。
「ジルペット、アンブリース、デライア。 お前達に聞きたい事がある」
アンブリースが「どうかしたのかしら?」とユリアンに聞き返す。
「ここの食材を使った料理を食べてから、なんていうか、様子がおかしい気がするんだ」
「様子がおかしい?」
「ああ、アンブリース達は何か変わったとかはないか?」
「私達魔族は特に変わった事はないわね。
力を持て余してるって感じはあるからもっと開拓する範囲を増やして欲しいくらいかしら」
「そうなのか。 それならもう少し広げてもいいぞ」
ジルペット、アンブリース、デライアの三人はそれを聞いて、ソワソワし始めたので、解放してやるとすぐに新たな開拓の作業を始めだした。
アンネとリンネがユリアンの近くへとやってきて、アンネがユリアンに話しかける。
「さっき話してた事だけど、性欲の事か?」
「え? どうしてそう思うんだ?」
「ドワーフの子達がユリアンとそう言う事をしたと言う話しを聞いた、それに、ジュリアも積極的だった。
昨日はエルフの所に泊まってたな」
「そうだな。 エルフ達とも行為をしてしまった。
その時、変だなと思ってアンブリース達はどうなのかなって思って聞いたんだよ」
「アンブリース達にも手を出すつもりか? 魔族は一途だから大変よ?」
「ああ、そう言う意味じゃなくて、ドワーフやエルフまで性欲旺盛になったのはこの辺りの食材が原因なのかなって思って聞いたんだ」
「そういう事? この辺りで取れた食材にはそう言う淫らな行為を促進させるような効能はない。 ただ、生命力が溢れ出して、結果的に性欲旺盛になるのだと思う」
「やっぱり、そう言う事だよな。 俺がどうして確認しておきたかったのかと言うと、今後移民を受け入れた場合、男も連れて来ようと思ってたんだ。
でも、結果的にそういう効能があるのなら…… 大変だろ?」
「そうだな。 年々人口が爆発的に増えていくかもしれない」
「そうなると、管理するのも大変だし、しばらくは移民を連れて来ない方がいいと思っている」
「確かにそうだな。 女性だけ連れてくるとしても、ユリアンが大変そうだし」
「ああ、もうすでに大変なんだ」
ユリアンがそう言うと、アンネとリンネはユリアンの両腕をがっちり掴み、そのままユリアンは屋敷の方へと連れていかれた。
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