第7話


 ちなみにこの世界の女性はクーパー靱帯も屈強なのでこんな馬鹿げた巨乳でも前世の世界程は垂れるという事がない。それでもまぁ、歳をとったらそれなりには垂れるっぽいけど。それはそれで結構良い感じだ。


 もしこの世界を作った神様とやらがいるのなら、相当な好き者に違いない。


 ほんと、ヤバいよあんた。


 で、勿論その程度ではてっしーも納得しない。


 なんにしたっててっしーを納得させるのは一苦労だ。


「犯罪じゃなくても校則違反でしょ!」

「と思うでしょ。でもノーブラはダメなんて校則はどこにも書いてないんだよ」

「そんな事書くまでもないからに決まってるでしょ!?」


 まぁそうなんだけど。


「書いてないなら違反じゃないし」

「じゃあスカートは! それは明らかに絶対百パーセント確実に校則違反よ!」


 確かにその通りだ。


 言い訳の余地がないくらい明らかに絶対百パーセント確実にてっしーが正しい。


 だから僕は反論せずに誤魔化す事にする。


「え~。そんなに短いかなぁ?」


 ペロンとスカートの前を思いきりまくり上げて。


「んなぁ!?」


 とか叫んでおいててっしーはガッツリ視線を胸から僕の股間へ移す。


 そして言葉を失ったふりをしてガッツリ僕の股間を堪能する。


 男がブラを履く世界だから、当然下着もパンティーだ。


 中一くらいまでは普通に前世版女物のショーツみたいな奴だけど、そのあたりを過ぎると男も色気づいてきてペニパンにシフトし始める。


 ペニパンってのはペニスパンティーの略でこの時点でかなりバカだけど頑張ってついてきて欲しい。


 ペニパンと前世版女物パンティーの違いはパーツが二つある所だ。


 一つはタマパンと呼ばれるタマタマを収納する袋みたいな部位があるパンツで、マジでアホなんだけど股間の所ががっつり開いている。


 で、竿の部分には伸びるようにギャザーのついたペニスソックスことペニソを装着する。


 ヤバいでしょ。


 いったいどこのアホがこんな変態下着を思いつくのかと言いたい所だけど、前世の特殊性癖界隈で似たような物を見たことがあるからなんとも言えない。


 一応実用性というか合理性もちゃんとあって、この世界の雄は生殖能力全振りだから玉も竿も前世の男に比べるとかなりでかい。そもそも入れる相手が軒並み2メートルクラスの巨女ばかりだからデカくなるのは当然だろう。


 それで普通のパンツを履いたら窮屈で仕方ないし、勃起したら余裕のボロリだ。


 精理もあるし、この世界の男のチンチンは前世の女性のアレみたいにちょっと緩くて先走りなんかで汚れやすい。


 その辺の事情もあって伸縮性に優れて個別に取り換えやすいペニソが採用されているのだろう。


 生意気にもさきっちょうにクロッチが当てられてるから憎らしい。ちなみに先端はペリッとめくれるようになってて、おしっこの時は脱がなくてもいい。


 二つセットでペニパンで、ランジェリーショップでも基本的にはセット販売してるけど、お洒落な奴は単品買いして組み合わせたりしている。僕の事だ。


 勘のいい奴なら気づいてるかもしれないけど、ペニパンというかペニソにはカップ数ならぬサック数が存在する。それくらい個人差によるチンチンのサイズに開きがある。


 こちらは通常時と勃起時の二重表記になっていて、例えば普段は小さいけど勃起すると大きくなる奴はA‐Gサック。普段はデカいけど伸びしろがあまりない奴はG‐Aみたいな感じだ。


 ちなみに僕は日本人の平均からするとかなり大きいG‐Hサック。


 驚き度的には前世の女性の胸のサイズ感と同じくらいだと思ってくれれば間違いない。


 つまり僕はイメージ的にてっしーの前でGカップの胸をボロンと出したのと同じような感覚だ。


 そりゃ言葉を失ってガン見するのも当然だろう。


 可能な限りたっぷりと時間を使って驚いた振りをすると、てっしーは我に返った風を装って僕の手を掴みスカートを下ろさせる。


「な、なにやってんのよ! この変態!」

「しっかり見といてよく言うよ」

「あ、あんたが見せて来たんでしょ!?」

「やけに絡んでくるからさ。見たいのかと思って」

「だ、誰が! あんたみたいなビッチのパンツなんか見たくないわよ!」

「あ、そういう事言っちゃうんだ」


 僕は全然本気にしてないし傷ついてもいないけど傷ついたような顔をする。


 てっしーは優しいので本気にして慌てだす。


「ご、ごめんなさい……。今のはその、売り言葉に買い言葉と言うか……」


 もごもごもご。


 それでもまぁ、流石に見たかったですとは言えないらしい。


 可愛いからいいんだけどさ。


「知ってるよ。てっしーって真面目そうに見えるけどしっかりムッツリだもんね」


 怒ってないよの意味をこめてもう一度ペロンとやる。


「だぁ!? だからやめなさいって!」


 今度は素早くスカートをまくる手を降ろさせる。


 近くに他の生徒がいたからで、てっしーは意外でもなんでもないけど結構独占欲が強い。


 で、言い忘れてたけどてっしーは普通にセフレだ。


 あの日から、なし崩し的にエッチしている。


 てっしーはいけない事、よくない事、やましい事だと思っているけど、かといって僕とのエッチも捨てがたく、暗黙の関係で妥協している。


 つまりはただのセフレで、てっしーもその事は弁えているんだけど、それはそれとして僕が他の女といちゃついたりエッチするのはイヤみたいで、僕に絡んでくる理由の半分は正義感でも優しさでもなくただの嫉妬だ。


 まぁ、もう半分はちゃんと優しさと正義感で出来ているから文句はない。


 百パーセント嫉妬でも僕は全然構わない。


 前者なら良い奴だし、後者だって可愛げのある話だ。


 僕の方から誘う事は稀だから、エッチしたくなるとてっしーは恥ずかしがりながらもじもじとエッチしたいアピールをしてくる。


 僕は意地悪なビッチだからてっしーが自分の口からエッチしたいと言い出すまですっとぼけて焦らす。


 実に楽しい関係だ。


 だからてっしーも引き際は弁えている。


 あまりしつこく小言を言って僕に嫌われたくはないらしいから。


 ある意味てっしーの小言は愛情表現のようなものなのだ。


「とにかく、気をつけなさいよ! あたしの知らない所でなにかあっても助けてあげられないんだからね!」


 言いたい事はそれだったのだろう。


 てっしーは頼んでもいないのに僕のボディガードを自負している。


 その為なら、平気で風紀委員の権力も利用する。


 助かる事もあるから僕は遠慮なくそれを利用する。


 てっしーはそれで暗黙の関係を続ける事によって生じるやましさを相殺している。


 そのせいで、てっしーは利用価値があるからセフレでいられるんだと誤解している部分があるようだけど。


 そんな事は全くない。


 例えてっしーがなんの役にも立たないただの平凡なモブ女子だとしても、てっしーがてっしーなら普通にセフレにしただろう。


 その程度には好ましく、魅力的な女の子だ。


 あえてそれを伝えはしない。


 伝えた所で響かないと思うし。


 そういうのは自分で気付き、確信を得るしかないのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る