第4話

 痴漢はいけない事だけど、痴漢をする人にも理由がある。


 理由なんか関係ない、犯罪者は所詮犯罪者だと言う人もいるけれど、それでは痴漢は減らない。


 むしゃくしゃして痴漢をしてしまったのならむしゃくしゃを解消する手段を与えてあげればいいのだし、痴漢が性癖だと言うのなら他人に迷惑をかけずに性癖を満たす方法を与えてあげればいい。


 大抵の人間はその程度の事で更生出来るし、更生できる人間は更生の機会を与えてあげるのが優しさだと思う。


 生きる事は大変だ。


 辛い事がとても多い。


 前世で僕は嫌と言う程それを知った。


 だから世界には優しさが必要だし、僕は僕なりの優しさで可能な限りこの世界を癒したい。


 僕にとっての世界とは僕を取り巻く人間と言っていい。


 可能な限りというのは余裕とか能力とか好き嫌いの話で、僕の場合は可愛さと男の魅力♂を使った手段になる。


 もちろん中にはどうしようもない奴だっているだろうけど、そういう奴の為に警察があるのだから僕の知った事じゃない。


 少なくともあの冴えない痴漢のお姉さんこと沢田花さわだ はなは全然更生できる人間だと思って僕は手を焼くことにした。


 セフレにしたのは更生と趣味と経過観察の為って感じだ。


 そんな事をしたって僕一人に救える人間の数なんかたかが知れているなんて事は思わない。


 だってこれは簡単な算数の話で、一人が一人の人間を救う事が出来たなら計算上世界中の全人類が救われる。


 勿論実際はそんなに簡単な話じゃない事くらい僕は分かっているけれど、それでもやらないよりはやった方がよっぽどいいしその程度の事で僕自身がちょっとしたヒーローに気分になれるのならやらない理由はない。


 そんなノリで僕は正義とは言わないけれど愛あるビッチをやっている。


 その結果僕は本日も盛大に遅刻して学校についたのは四時間目が終わり今まさに昼休みに突入しようという時だった。


 僕は気にしない。


 元より真面目に学校に通って良い大学に入って手堅い企業に就職しよう的な今世の女性陣が必死になって追いかける目標を見据えていない。


 元よりこの世界の男にはそういう生き方は無理ではないにせよちょっとハードルが高いし入れた所で今流行りの男性枠とか女性社員の為の手近な結婚相手要員とか率直に言ってエッチの相手みたいな役割が大半でそれはそれで嫌ではないけど面白みに欠けるからもっと別の方向を狙っている。


 ぶっちゃけ卒業だって出来なくてもいいんだけど一応親の目とか学校辞めてじゃあどうするとか普通に第二の青春を楽しみたい気持ちもあるからそれなりに通っている。


 あとはまぁ友達とかセフレが心配するし。


 それで玄関で靴を履き替えて今日はラブレター入ってない日かーなんて思っていると体育を終えた汗だくの女子達がぞろぞろと目の前を横断し、みんな一斉に僕の姿をそれとなくチラチラ見るから面白い。


 そろそろ聞き飽きたかもしれないけど僕は超絶美少年なので当然のように学校一の美少年でこの学校のアイドル的存在に祭り上げられている。


 その上ミニスカのノーブラだから思春期真っ盛りの女子達にエロい目で見られるのも当然だ。


 でも僕は前世で冴えない男だったからお高くとまる気にはなれなくて16歳になった今でも女子にチヤホヤされるといい気分になってそれじゃあ一つサービスでもしてあげようかとわざとそちらにお尻を向けて靴を履き際どいスカートの中身をチラ見させる。


 途端に女子達はキキーッ! と足を止めて僕のTバックを履いたお尻をガン見し大渋滞を起こした挙句一塊のお猿さんになってバタバタとズッコケける。


 それが面白くて僕がバカだなぁみたいな顔で笑っていると女子達もみんなバカでサーセンみたいな照れ笑いを浮かべてこういうのがあるから学校は結構楽しい。


 僕はいい気分だし彼女等もいい気分で今夜あるいは昼休みにでも僕のお尻や袋状になったタマパンからぶら下がる僕の大きなタマタマをオカズにドチャシコするんだろうと思うとラブアンドピースでWin―Winって感じがする。


 でもそれを許せない奴が一人いて後から遅れてやってくると遅刻してきた僕と将棋倒しになった女子の群れを見て全てを察し眉をしかめて向かってくる。

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