『お代官さまと、ゆうれいさん』 下のいち


 『なんだこれは?』


 さすがのお代官さまも、一瞬怯んだのである。


 しかしながら、良く見れば、それは、はっきりと自らの行くべき道を示しているようでもあったのだ。


 『むむむむ。この明かりに沿って来いということかいな。よかろう。のってやろうではないか。ささささささささあ。』


 お代官さまは、秘伝流進歩きの、『早足の術』を繰りだしたのである。


 足音はまるで、聞こえない。


 左にまがり、右にまがり、また左にまがり、右に回り、さらに直進した。


 すると、遥かな未来のアニメにも見るような、無限とも思えるような襖が並ぶ妖しき空間を突っ切ってゆくと、ついに、その、大広間が現れたのである。



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