『お代官さまと、ゆうれいさん』 中のに

  

 『毒には毒を、火には火を』とは、良く言ったものである。


 後世には、人魂は、メタンガスやプラズマなどの各種物理的現象である、と言われるようになったが、この時代は、まだ、ろうそくが主体である。


 しかし、進歩的なお代官さまは、処刑場に漂う異臭に注目していた。


 『良く分からないが、関係あるのではないか? どっちにしても、人魂は、人魂にあらず。何かが燃えているのに違いない。火には火を。ほんとは、水かな😅』


 ま、そのあたりは、いまだ、いい加減なのである。


 しかし、もし、人魂が作り物ならば、火を被せれば燃え尽きるであろう。


 お代官さまは、思料したのであった。


 『やた! 点火!』


 しかし、なんと、その1列になった人魂の列は、まるで、反応しなかったのである。


 まったく、無関心に、さらに数をまして飛び回るのだあ。


 『やややや。む、怪しい。』


 隠れていた使用人たちは、もう、たまったものではなかった。


 『いまの、見たか?』


 『うんだ。なんだべか、わからん。わからんが、退散しよう。祟られたら、話にならん。』


 『うんだ。たいさんすべ。』


 しかし、時既に遅かった。


 みな、多数の人魂に取り巻かれてしまったのである。



    🔥ハロー、ヒアソビキンシ








 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る