なんか現実に、ダンジョンができたので、バグを見つけて無双します。
@femy
第1話 坂村瑛人という名の男
夏休み明けの学校
それは学生にとって地獄でしかない。
課題の提出、休み明けテスト、などなど明らかに半日で10日分のエネルギーを消耗させてくるのではないかと思うくらいハードであり、久しぶりに友達と会えること
以外、何も希望もモチベもない1日である。
そんな地獄を耐え、無事に終えることができた
高校2年生である俺ー
「はぁ、今日もとてつもない練習量だったな。」
「そうだね。本当に4kmランとか、顧問やってるよね。」
俺の意見に賛同し、隣で歩いているの女はー
髪型はポニーテールで、体型は少し小柄。彼女曰く、成績は学年で上の中ぐらいらしい。また男友達から聞いた話によると同学年の女子の中では彼女は1、2位を争うぐらいモテているらしい。
そんな彼女は俺の幼馴染である。
俺と赤谷は同級生で家が隣同士だったことから、小学生の頃はよく彼女の家で遊んでいた。中学生の頃は3年間同じクラスだったが、思春期真っ只中だったため彼女の間に気まずさを感じていたため、小学生の頃よりも関わりは減った。しかし高校になって、偶然同じ学校で同じ部活だったこともあり、このように毎日一緒に帰るようになったのだ。
「今日の数学IIのテストの大問6の⑶ってどうやって解いたー?」
「あーその問題、今回のテストで1番難しかったところね。そこはね…こうして……こうすると解くことができるよ。うまく説明できた?」
「うん。なるほど、なるほど……」
帰宅時間にはいつもこのように俺が話題提起をし、彼女がこの話題に対し反応するような流れで会話している。
この何気ないことは今の自分にとって1日の中の楽しみなことの1つである。
正直今思うのは、ただ一人で歩くという退屈な時間に、話し相手がいるとだいぶ違うことを、中学生の頃はなぜ気づかなかったのかということである。
こういうのが将来大人になった時に「昔、ああしとけばなー」と後悔することなんだろうと初めて実感した。
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そんなこんなで二人で会話しながら歩いているといつのまにか家に着いていた。
「じゃ、家に着いたし、また明日」
「うん、また明日」
自宅の前で彼女に別れを告げる。
これから普通の高校生は夕飯とお風呂に入り、少し学習し、寝るのが普通の流れだ。
しかし俺には
そのため俺の1日が終わるのはまだ先になりそうだ。
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「こんばんはー。
カメラで自分の顔を映し出し、画面越しにいるリスナーたちに挨拶をする。
コメント欄
〈こんばんはー〉
〈こんばんわー〉
〈ちわー〉
〈einキターー〉
「今日も天人でバグを探すつもりです。ぜひ最後まで見ていってね。」
〈よろー〉
〈今日も世紀の大発見があるのかな?〉
〈絶対、天人の運営も見ているだろw〉
実は俺ー
バグ探しがメインのゲーム実況をしている。フォロワーは5万人。マイナーな人には知られているレベルである。まぁ皆さんはお気づきだとお思うがバグ探しをメインにするゲーム実況者なんて絶滅危惧種とも言える存在である。
今だと、古いゲームのRTA走者がバグの検証をする配信が行われたりしているが、
最近のゲームをとりあげてバグを探す人なんて俺しかいない。
何故なら最近のゲームはプレイテストをしっかり行い、バグがないか念入りに確認しているためバグなんか絶対見つかるはずがないからである。
実際、今日配信でとりあげている【天人】も1年前にリリースされたMMORPGであり、1ヶ月前、全世界で5000万ダウンロードを達成した、今とてもあついゲームである。
俺が何故、バグ探しに取り憑かれたのかというと、半年前、俺がゲームバランスを
崩壊させるようなバグを見つけたからだ。
当時、MMORPG界で覇権をとっていた【ワールドファンタジー】にハマっていた俺は毎日5時間以上プレイしている状態が続いていた。
ある日、超高難度のダンジョンが追加されたが、ボス部屋に入れず、困っていた俺はボス部屋の前の扉を通過せず、ボス部屋に入る方法を探し、5時間の健闘の末、見つけることができた。実際、その方法は全然運営の設定とは反した行動だったため、ボス部屋ではなぜかボスが寝ており、何も攻撃を受ける心配もなくボスを倒して報酬をもらった。しかしなぜかダンジョンのクリア判定にされず、定期的に復活するボスを倒しては報酬を受け取れるという、やばいバグを発見してしまったのだ。
しかしながらこのボスの素材は高難度ダンジョンだったことからとても貴重なものだったのだが、このバグを【ワールドファンタジー】の猛者たちが集う掲示板にバズりのためにあげたら、結果試す人が出てきてしまい、市場がこの高難度ダンジョンのボスの素材で埋め尽くされ、見事にゲームバランスが崩壊し、初心者が最強武器を装備するというものすごいことになってしまった。
当然、このゲームはこの一件でインフレ化が進んでしまい、クソゲーと言われるようになり、この一件の犯人である俺は永久BANを食らってしまった。
正直、この一件は俺にとって新たなゲームの楽しみ方を教えてもらった出来事であり、永久BANをくらったこと以外はいい思い出である。
この一件の後、ネットで有名になったことを活かし、バグ探しをするゲーム実況者として活動を始め、有名MMORPGで小ネタやバグを見つけてきた。
今までゲーム実況者として見つけてきたバグの中で【ワールドファンタジー】以来の感動はないが、いつかあのときの感動を得たい。
俺はMMORPGがなくなるまで頑張りたい。
この時の俺はそう意気込んでいた。
なんか現実に、ダンジョンができたので、バグを見つけて無双します。 @femy
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