ロリ太郎

ALT・オイラにソース・Aksya

ロリ太郎

 昔むかーしあるところに、良いロリコンと悪いロリコンがいました。


 良いロリコンは毎日山へ芝刈りに。悪いロリコンは毎日川へ洗濯に行きました。


 ある日、悪いロリコンが川で洗濯をしていると、どんぶらこ~どんぶらこ~と、アダムとイブがかじったとされる禁断の果実が流れてきました。その正体は皆さんご存知の通り、バナナです。


 バナナ。それは男性器にも例えられる、南国フルーツ。太陽に照され輝くその姿から、太古の人々はバナナに『再生』や『誕生』といった花言葉……いやバナ言葉を付けました。それを聞いたアダムとイブが、最初の禁断の果実ドラフトでバナナを指名したとされています。


 そんなバナナがサーフボードのように、日本の過酷な河川を下ってきたのだからさぁ大変。今は2546年。動植物は滅亡し、生き残った生物は犬、雉、猿、悪い鬼。そして2人のロリコンだけ。地上はほとんど火星のようにまっさらな景色であり、かつて人類が栄えた時代に建造された建物だけが唯一、物静かに鎮座しているのです。つまり、バナナなんて古の時代に絶滅したもののはずなのです。


「これはなんということだろう。川からバナナが流れてきた。持って帰ってロリコンと一緒に食べるとしよう。」


 悪いロリコンはバナナを拾って帰りました。遺失物横領罪。


「おおい、ロリコンや。なんか川で洗濯してたらバナナ流れてきたぞ。一緒に食べよう。」


「バナナだと? そんなものがまだあっただなんて。素晴らしい。早く包丁で2つに割って食べよう。」


 良いロリコンは包丁を持ってきてバナナをズドン。するとなんということでしょう。バナナの中から女の子の赤ちゃんが生まれてきたではないですか。


「おんぎゃあ、おんぎゃあ。」


 ロリコンの2人も流石にこれは守備範囲外。しかし放っておくわけにもいかないので、2人は赤ちゃんを育てることにしました。幸い、人類が遺した知識の中には育児に関するものもありました。しかし名前のつけ方だけは書いてありません。


「名前はどうする。バナナから生まれたからバナナマンⅡ世か?」


「なんだ、そのセンスのない名前は。もっとよく考えろ。この赤ちゃんは女の子。つまり将来的には必ずロリになるな。」


「うむ。必ずそうなるだろう」


「だったら先のことを考え、ロリ太郎という名前にしよう!」


 こうしてロリ太郎は誕生したのでした。


 そして時は過ぎ去り、赤ちゃんは立派な幼女、もといロリになりました。2人のロリコンは歓喜し、ロリ太郎が寝静まった夜中に会議を始めました。


「良いロリコンよ。そろそろ食べ時ではないか? 今が絶好のタイミング。これ以上待てば、ロリとしての鮮度が落ちる。」


「冷静になれ、悪いロリコンよ。ロリ太郎はまだ常識を持ち合わせていない。ここは無理矢理やるよりも、もっと刷り込み洗脳を行ってじっくりとだな……。」


 ロリコンに良いも悪いもありません。実際の幼女に手を出した時点でブタ箱確定ピックアップガチャです。


 そしてある時、ロリ太郎はその会話を聞いてしまいました。


 ロリ太郎には政治が分からぬ。選挙権がないからだ。また選挙権があったとしても白票を入れてしまうくらいには政治が分からぬ。しかしロリ太郎は人一倍邪悪に敏感であった。必ずかの邪智暴虐な鬼を討ち滅ぼされねばならぬと思った。


 そんなこんなでロリ太郎は夜逃げ……もとい旅に出ました。鬼退治の旅です。しかしロリ太郎はか弱い少女。ひとりでは鬼に勝てません。


「ふぇぇ、どうしよう……。」


「そこのお嬢さん、お困りかい?」


 道行くロリ太郎に声をかけたのは犬でした。犬はロリ太郎から鬼退治の旅をしていると聞かされると、激しく尻尾を振って共感しました。


「素晴らしい。まだ若いのに世の中を変えようと自ら積極的に行動を起こすとは。最近の若者は軟弱だと侮っていたが、私も考えを改めよう。」


 そう言って犬はブランド物のジャケットの内ポケットから首輪を取り出しました。


「今日から君が私のご主人様だ。」


 ロリコンとはまた違った気持ち悪さのある犬ですが、ロリ太郎はこれまでロリコン以外の人と接したことがなかったため、これが普通なのだと思いました。


「じゃあ鬼退治の旅に着いてきてくれる?」


「もろちんだとも。」


 ロリ太郎は犬を仲間に加えました。しかしか弱い少女と犬っころだけで鬼に勝てるはずがありません。ロリ太郎は、もっと仲間を集めなくてはならないと思いました。


「ちょうど、向こうの山に斉天大聖を名乗る猿がいると聞いたことがあります。彼を仲間にしてはどうでしょうか。」


 実に名案。しかしロリ太郎は考えます。やはり人に何かを頼むのであれば相応の対価を支払った方がいいのではないか、と。


「よし、じゃあお猿さんに仲間になってもらえるよう、お土産を用意しよう。」


「であれば団子などいかがです?」


 犬は財布を出しながら言いました。もちろん財布もブランド物。ワニの皮でできています。


「うん、それがいいね。」


 ロリ太郎は荒廃したスーパーマーケットに寄って材料を集めました。そしてクッキングスタート。ロリ太郎は団子の作り方など知りませんでしたが、聡明な犬のアドバイスによってなんとか形あるものになりました。ロリ太郎はこれをロリ団子と名付けました。


「おおい、お猿さんはいますか?」


 ロリ太郎はロリ団子を持って猿を訪ねました。すると山の木から質素な格好をした猿が降りてきました。


「少女よ。何用だ?」


「私はロリ太郎。鬼退治の旅をしているの。もし良かったら私の旅の仲間に加わってくれないかな?」


 ロリ太郎はそう言ってロリ団子を差し出します。


「うむ、団子か。懐かしい。我もやんちゃしていた頃はたくさん食べたものだ。」


 猿はそう言って腹を擦ります。よく見ると猿は飢えによって痩せこけていました。


「ありがたくいただこう。君は仏陀に乳粥を捧げた女人のような人だ。ぜひ仲間に加えておくれ。」


 猿がロリ太郎の仲間になりました。しかしか弱い少女、成金犬、それから清貧猿ごときで鬼に勝てるでしょうか。否、断じて否。断じて行えば鬼神もこれを避くと言いますが、さすがにこれは無理です。


「もうすぐ鬼の住む島が見えるだろう。だがその付近の荒野に、怪鳥がいるという噂を聞いたことがある。」


「よし、じゃあその怪鳥さんも仲間にしよう。」


 ロリ太郎とその一行は先へ進み、荒野へとたどり着きました。そこには高さ3メートルはあろうかという雉が巣を作っていました。筋肉が迸り、羽は鋼鉄のように光り、クチバシはぬらぬらとした赤い液体で濡れていました。


「キージキジキジキジー! 偉大なるキジ様の領地へ侵入してきた不届き者は、どこのどいつでキジかねぇ!?」


「こんにちわ。私はロリ太郎。鬼退治の旅をしているの。もし良かったらあなたも仲間になってくれない?」


「キッジッジ。なかなか面白そうな提案キジ。キジは血に飢えているでキジ。鬼の血はどんな味がするのか、気になるでキジねぇ。」


「じゃあ仲間になってくれる?」


「なってやるでキジよ。感謝するでキジねぇ〜!」


 こうして犬、猿、雉が仲間になりました。パワーバランスは1:1:35億くらいですが、まぁこの際、問題ないでしょう。一行は雉の背中に乗って海を渡り、鬼の住む島へとやってきました。


「さぁ、悪い鬼さん達はどこかな?」


 ロリ太郎が島の中を散策していると、歌声が聞こえてきました。


「もーろびとーこぞーりーてー。」


 そちらの方に向かってみると、歌っていたのは鬼でした。これはキリスト教の讃歌。鬼は神に祈り、救いを願っていたのです。


 動植物は死に絶え、それでも争いのなくならないこんな世界を、彼らは案じていたのです。


「祈ってるだけで願いが叶うなら苦労はしないでキジねェーッ!」


 雉はそんな鬼達をついばんでしまいました。こうして、世界からまた生き物が絶滅してしまいました。生物はいつの世も争いをやめず、それによって不幸を招くのです。


 次に絶滅してしまうのは、君達人類の方かもしれない! 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ロリ太郎 ALT・オイラにソース・Aksya @ALToiranisauceAksya

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ