Track.4:<夢>寂し気な後輩ちゃんと焚火の前で。
//後輩と先輩(リスナー)は森の中、焚火の前で座っている。
//SE:焚火の音
水遊び、楽しかったですね。
お魚さんもたーっくさん捕れましたし。
この焚火で上手く焼けますかねー。
夢だから失敗することはないと思うんですが。
どうされました?
そのお洋服、気に入りませんでした?
だって、水着のままだったら、その、目のやり場に困るじゃないですか……。
せっかく焚火にあたってるんです。
のんびりできる服がいいでしょう?
ふむふむ、のんびりは出来る。
では、何が不服なんですか?
色と柄のセンス?
むぅ!
そんなこと言っちゃいますか?
先輩も私とお揃いのウサギさんパーカーにしちゃいますよ!
ふふん、よろしい。
でも、シックな色の方が先輩似合いますもんね。
えーい!
これで満足ですか?
むぅ。
さてさて、お魚さんはおいしく焼けてますかねー?
どれどれ?
まだちょっと早いかなぁ。
もういいかなぁ。
うん、よさそうです!
先輩、どうぞ。
せーんぱーい?
え。
まださっきの話、気にしてくれてたんですか?
嬉しいですけど、先輩がそんな顔をする問題じゃありません。
夢は夢、
人は夢を忘れ、現実を生きるものです。
それでいいんです。
ほら先輩、あーん。
ふふ、照れてますね?
攻め攻め後輩ちゃんはお嫌いですかー?
なーんて。
こういうことです!
現実じゃできないこともできちゃう。
それは忘れちゃうから。
忘れていいこともあるんです。
先輩、優しいこと言わないでくださいよ。
勘違いしちゃうじゃないですか。
ふふ、何を、でしょうね。
あ、お魚さんこげちゃう!
先輩、こちら焼き立てです!
そっちの冷めちゃった方、私がいただきますので。
いいんですか?
お言葉に甘えちゃいますよ?
ありがとうございます。
先輩は、本当に……。
ううん。
じゃあ、食べましょうか。
いただきます。
***
//後輩と先輩、焚火の前で魚を食べ終わる。
//SE:焚火の音
ふぅ、ごちそうさまでした。
おいしかったですねー。
お魚さんの種類は分からずじまいでしたけど。
大丈夫、お腹は壊しません。
夢なんで!
そうだそうだ。
先輩、すぐ近くに癒しスポットがあるんですよ。
行ってみましょう。
ってことで、ごろーん!
//後輩、突然地面に寝転がる。
ほらほら、先輩もごろーん!
寝転がってみてください。
綺麗でしょ、星空。
どんなプラネタリウムよりもすごい光景です。
なんせ夏の大三角形とオリオン座、それから、天の川まで見えちゃうんですからね。
え? カオス?
そ、そっか。
なんでも盛ればいいというモノではないんですね……。
反省です。
でもでも、流れ星がいっぱい見れるのはよくないですか?
でしょ。
願い事し放題ですよ。
ほら、さっそく!
先輩。
先輩の願い事ってなんですか?
秘密、ですか。
むー。
秘密なら仕方ないですね。
じゃあ、私も秘密です。
えー、先輩が言ってくれたら私も言いますー。
あ、それずるいですよ。
でも、私が言ったら先輩も言ってくれるってことですよね。
じゃあ、言うしかないですね……。
私の願いは。
誰か一人でもこの世界を信じてくれる人がいれば……。
そう願ってきました。
でも今は、誰かじゃなくて先輩がいいなぁ。
だって、こんなにも一緒になって楽しんでくれる人は初めてですから。
私、とっても嬉しくって。
だって、私は先輩が――。
先輩が、いえ、先輩を先輩として尊敬してますから。
やめてくださいよ。
だって、現実の私はアレですよ?
嘘つきだって言われるのが怖くって、誰も信じれなくて……。
優しい先輩とですら、まともにお話が出来なくて……。
だから先輩。
やめてください。
期待させないでください。
この夢がさめた後のことなんて。
大丈夫。
ここでのことは私も忘れます。
なかったことにできます。
現実に返ったらいつものツンツン後輩ちゃんですよー。
ふふ。
で、先輩のお願い事は何だったんですか?
ねえねえ、聞かせてくださいよー。
え、私と?
な、何言ってるんですか。
私と仲良くなっても何の意味もありませんよ。
それに、あんなに酷いことばかり言ってるのに……。
先輩。
手を差し伸べないでください。
私はその手を取れません。
やっぱり怖いんです。
……ごめんなさい。
意気地なしでごめんなさい……っ。
……あ。
雨ですね。
//SE:小雨
近くにウッドハウスがあります。
向かいましょうか。
早くしないと濡れちゃいますよ。
ほら、先輩。
行きましょう。
≪To be continued.≫
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