第3話 契約

『学園都市エレメント』の中心にそびえ立つ巨大なタワー。その最上階で、ワイングラスを手にエレメントを見下ろしている者がいた


※ちなみに、ワイングラスの中身はブルーハワイの炭酸であり、ワインどころかお酒ですらないです


小さい背丈に、ふわふわな苺色の髪の少女…


彼女はマーリン。この都市、エレメントの現管理人とい名の社長にして最高権力者である人だ


そんな彼女の社長室の扉が開き、1人の男が入ってきた。マーリンは「やっときたか…」と呟き、ソファーへと腰かける


「君も座りたまえ。見下ろされるのは好きじゃないの、知っているだろ?」


男は何も言わずにソファーへと座る


マーリンはワイングラスをテーブルに置き、腕と足を組む


「君の話し、すべて了承して構わない。だが、君の持つ最後の特権…それが、彼女でいいんだね」


マーリンは威圧を込めて、片目だけ開き、男のことを睨み付ける。だが、男はそれに動じることなく目を閉じて、そして目を開けた


「彼女は…白。それも、内に怪物を宿している白の原石だ。間違いなく、最高のアイドルになれる。この俺が保証しよう」


自信満々に、男はそう言いきった。マーリンは目を閉じて、少し考えてから立ち上がった


「君もそう断言するのならば、好きにするといい。私が許可する。精々、私の都市を彩ってくれ」


そう言って、マーリンは1枚の紙を生み出した


その紙にはこう書かれていた…


"白飢白奏 英雄認定契約"


男はその紙の、担当プロデューサー認証欄に親指を当てる。その次に、白奏直筆のサインを丸めて本人認証欄へと刺し入れ、サインは紙の中へと落ちていった


「契約完了だ」


そう言って、マーリンが手を振るうと、契約書は跡形もなく消えていった。そして、再度ソファーに腰を下ろす


「にしても、君がそこまで言うアイドルか…きっと、素晴らしいアイドルなのだろう」


「ああ、素晴らしいアイドルには絶対になれる、そう断言しよう。目指すべきはその先だ…」


「ほぅ…それは、また、面白いグループが生まれそうだ。私はいつも通り、この『アヴァロン』で見守っていることにしよう」


「いつも通り、そうしていろ。それじゃあ、俺はそろそろ帰る。担当アイドルと可愛い妹が死にかけているかもしれないからな」


それを聞いて、マーリンは無邪気に笑う。おそらく、その無邪気さは狙って生み出しているものなのだろう


そんな彼女を横目に部屋を出ようとする。扉に手を掛けたとき、背後からマーリンが声をかけてきた


「今も昔も、君の周りのアイドルたちは、いろいろと『強い』子たちばっかりだ」


それを聞いて、男は昔のことを思いだし少しだけ微笑みがこぼれた


「類は…友を呼ぶものだからな」


男の名前は赤花 選火あかばな  えらび

『歴代最強』の称号を持つアイドルグループ『三原色』のプロデューサーを高校生にして担当した天才


そして、『三原色』が解散してからは、白飢白奏を担当するようになったフリーのプロデューサーである











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