第21話 大事件

私はいつものようにセレクションルームでみんなと会話していた。


しかし、ツバサもたまに使っている様子。


私がツバサの出入りを禁止すればよいのだけれど、それじゃあ勝負に負けた気がする。


だから、私は彼女を泳がせていた。


そうして日々を過ごしていると、段々と岡部さん以外の、みんなの私に対する態度がそっけなくなっているのだ。


気のせいではない。確実に。


それで、もしやと思い、私は岡部さんに聞いてみた。


「なんか、最近私への扱いが雑っていうか、そっけないんだけど、なんでかわかる?」


岡部さんは非常に気まずそうな顔をする。


「あっはっはっはー・・・。

 なんというかね。

 みんな、ツバサさんにお熱なんだよね・・・。」


やっぱりあの淫乱女か。


男を誘惑し、たぶらかしているのだろう。


岡部さんは続ける。


「まあ、あまりおすすめはしないんだけど、ツバサさんはみんなをよく部屋の外に連れ出している。

 そのあとをつけてみるといいよ。

 みんながスミレさんにすっけないワケが分かると思う・・・。」


岡部さんはそう白状してくれた。


そうして、私は岡部さんに言われた通り、ツバサのあとを尾行してみた。



ツバサの隣には桐生くんだ。


べたべたくっつきあがって、あの淫乱すけこまし女!


私はそっと尾行を続けると、ある部屋に入った。


なになに、大浴場?


そう、ツバサと桐生くんは大浴場に入って行ったのだ。


私も恐る恐る入ると、彼らは服を脱いでいる。


え! もしかして混浴!?


あの淫乱女、なんていう手を使うの!?


体で男を誘惑するとか、卑怯極まりない!


彼らは更衣室で服を脱ぎ終わると、ガラガラっと引き戸を開け、浴場に入って行った。


すかさず私は後を追うように更衣室へ。


すると、女の声がする。


「あーん、あーん///

 そこよ、桐生くん、そう! あーん///

 パンっ!パンっ!」


え? この音って・・・。


セックスしてる!!!


うそ、人の男を寝取ってるんですけどこの女!


プロジェクト違反でしょ、大事件よ!


しかし、浴場には監視するようなものが無い。


それをいいことに、こいつらはここで毎度毎度セックスをしているんだ。


そういうことか・・・。


どおりでみんな私に興味がなくなるわけだ。


あんな金髪巨乳とエッチできるなら、そりゃそっちになびくか、男なら・・・。


私は岡部さん以外の4人に幻滅した。


あの人たちは、かわいい女なら誰でもよかったんだ・・・。


私はその事実に気付いてしまった・・・。


私は、あいつらが戻ってくる前に退散した。


そして、部屋で泣いた。


蓮がすかさずハンカチを貸してくれる。


「どうしたんだ!?

 なにがあったの、スミレ!」


「あのね、ツバサがね、私のセレクションルームの男子たちを全部奪ったの!」


私は顔面ぐしゃぐしゃにしながら、蓮に訴えた。


「そうか、そんなひどいことを・・・。

 でも、スミレには僕がいる!

 僕がいるよ!

 安心して!

 君に必要な愛は、僕がすべて満たす!」


なんて嬉しい言葉をかけてくれるの、蓮。


そう私には蓮がいるし、岡部さんもいる。


大丈夫よ。


ここでくじけたら、あの女の思うつぼ。


へこたれるな、スミレ!


私は自分にカツを入れた。


すると、その夜。


またあの女が部屋にやってきた。


「どお? 最近の調子は。」


「どうって、別に普通よ。」


「そう?

 みんな男の子たちは私に夢中よ?

 あなた、捨てられたんじゃない?」


「いいえ、私には蓮と岡部さんがいるから。」


「ああ、あの金魚のフンとインテリ頭でっかち?

 私の妖艶な魅力がわからない男なんて知らないわ。

 あいつら、去勢されてるんじゃなくって?」


「ふん。

 あんたの色香に騙されるのは、脳みそにちんこがはえてるバカ男だけよ。」


「なっ!

 なんて生意気でお下品な女!

 きっと、前世でも相当な下品で下劣な女だったのね!」


え? いま前世って言った?


こいつも転生者? 気のせいよね?


動揺が顔に出てしまう。


ツバサが続ける。


「音ノ葉スミレ、享年25。

 そうでしょう?」


私の前世の名前、なんでこいつが知ってんの!!!???

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