第12話 黒崎尋問

黒崎仁の裸を見た翌日。


私は彼にツバサなる思い人の存在を問いただすため、彼をセレクションルームに呼び出した。


ウィーン


「やあ、今度はなんだい?

 ってか、俺の呼び出し多くない?

 他のみんなは出番少なくて嫉妬しちゃうよ。」


黒崎仁はいつもの調子だ。


「うるさい!」


私は一蹴する。


「そんなことより、あんた!

 好きな人いるでしょ!」


私は単刀直入に問いただした。


「ああ、いるね。」


思いのほか、あっけなく白状した。


「そ、そ、そんな状態で、よくも私とキスしたわね!」


「まあ、キスは挨拶みたいなものだからね。

 価値観の違いさ。」


「そ、そ、それと、そもそも、好きな人がいるのに、なんでこのプロジェクトに参加したのよ!」


「なんだ、そんなこと?」


黒崎仁は続ける。


「好きな人が複数いたっていいだろう。

 ツバサのことも好きだし、君のことも好き。

 そんな状況、別に不思議じゃないさ。」


なんてヤリチン的発想!


なんだか、ホストそっくり!


「じゃ、じゃあ、もし、ツバサさんが復活したら、そっちに乗り換えるの?」


「いいや、スミレとツバサ、両方選べばいいんじゃないか?」


すると、部屋に備えついている拡声器から、エドガーの声がした。


「黒崎殿、両者のお子を孕ませるのは禁止されておりますな。

 なにせ、女性は貴重。

 1人の男の遺伝子を広げては、のちのち近親相姦を早めてしまいますゆえ。」


ナイスアシスト!エドガー!


しかし、セレクションルームの会話って、上層部に丸聞こえだったのね・・・。


「ほーら、エドガーもそう言ってる。

 ちゃんとどっちかを選ばないとダメよ。」


「まあ、それなら間違いなくツバサを選ぶな。」


あまりにも迷いなく言い切ってみせた彼に、

私は悔しさを感じるとともに、すがすがしささえも感じてしまった。


「私を二の次にするなんて、いい度胸ね。

 そんな調子じゃ、私、ほかの人選んじゃうよ?

 そしたらあんた、ずっと独身なんだからね?」


私は黒崎仁を脅してみた。


「っふん、言ってくれるねえ。

 まあ、そう言っていればいい。

 それならそれで俺はツバサの復活を待つのみさ。」


っくーーー。


私の絶滅危惧種パワー、よりのもよってなんでこいつには効かないのよ!


ツバサって女がとてもうらやましい。


黒崎仁にここまで言わしめるなんて、どんだけイイ女なのよ。


私、そんな人がライバルなの?


ちょっと自信無くしちゃった。


「まあでも、あんまりツバサツバサって言ったって仕方ないさ。

 だって、生き返るかもわからないし。

 いま俺は、目の前のお前しか見てないよ?

 だから安心しな。」


黒崎仁のこの言葉に私は救われてしまった。


こいつ、私がしてほしい、言ってほしいことを的確にしてくる。


超能力者かなにかなの!?


「べ、別にツバサさんがあんたに取られないか不安ってわけじゃない!

 た、ただ、二股しようとしてるあんたが許せなかっただけなんだからね!」


「まあどっちでもいいさ。

 でも、さっきの言葉は本心。

 俺は目の前の女しか見ない。」


黒崎仁はそう言うと、私の目をじっと見つめてきた。


彼のこの言葉の本気度が伝わる。


そうして私も彼の目をじっと見つめると、あることが脳裏をよぎる。


そういえば私、昨日こいつの裸見たんだった・・・。


ふと、目の前の彼と裸の彼のイメージを重ねてしまう。


かああ///


体が火照ってきた。


「どうした?

 かお、赤いぞ?

 照れてんの?」


照れているのがバレてしまった・・・。


「て、照れてないし!

 あんたの裸、想像とかしてないし!」


っあ、つい口に出てしまった・・・。


「え? はだか?

 さては、俺のシャワー、のぞいてたな?」


「た、たまたま露出魔がシャワーはいってたのが視界に入っただけだし!」


私は必死にごまかすも、体のほてりと汗が止まらない。


「っふ。かわいいやつ。

 別に見たっていいんだぜ。

 ここのシャワールームには見せる覚悟があって入ってんだから。」


はあ。


私の自爆により、シャワーをのぞいたことがバレてしまった。


「と、とにかく!

 今日の話は終わり!

 もう帰る!」


私は本当はもっと話していたかったけれど、気まずくなって思わず帰ってしまった・・・。


---


私は自室に戻ると、エドガーがやってきた。


コンコンっ!


「スミレ殿、テレビ出演の詳細が決まりましたぞ!」


エドガーはそう言うと、私にテレビ番組の資料を渡した。


「収録は来週から。

 ロケ地は南国のパラリナ島にございます。

 無論、私も同行しますぞ。

 豪華な撮影になりそうですな。

 出演者はスミレ殿と現在セレクションルームにおられる男性5人にございます。」


昨日出演オファーを承諾したばかりなのに、なんて話が早いの!


ってか、『男性5人』か・・・。


神崎くん。

如月くん。

桐生くん。

黒崎仁。


あと1人は・・・。


っあ、会話するの忘れてた!


撮影までに話しておかないとな。


「エドガー!

 私がまだ話してない男の人って誰だっけ?」


「物理学者の岡部殿ですな。

 プロフィールは以下の通りです。

 名前 岡部 雅臣(おかべ まさおみ)

 年齢 27

 身長 176cm

 職業 帝国大学 物理学教授

 特技 お菓子作り

 経歴 帝国大学卒業、ノールベ物理学賞受賞

 その他 スタートアップ企業経営、医師免許所持」


「こちらの方も相当の経歴の持ち主ですな。

 次回はぜひお話しされるとよいでしょう。」


「ええ、そうするつもりよ。」


次回は物理学者かー。


私、勉強苦手だから、ちょっと教授には苦手意識あるかも・・・。



<<作者あとがき>>


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