第6話 ドラマ俳優

如月くんとの会話タイムを終え、私は自室に戻った。


自室は私1人が使うには結構広い。

15畳くらいかな。

部屋にはテレビが1台にキングサイズのベッド、ソファなどなど家具一式におしゃれな観葉植物。


すごく快適。


でも、絶滅危惧種の女である私を守るためなのか、監視カメラがいたるところにある。


なんだか、できるだけストレスフリーにさせて丹精込めて育てるタイプの家畜みたい。


そんなことを考えつつ、おもむろにテレビをつけた。


すると、ドラマがやっていた。


異世界にもドラマあるんだ・・・。


まあ、テレビがあるならドラマもあるか。


なんだか、異世界っていっても、前世にいた世界と変わらないなあ。


ドラマを適当に見ていると、すごくタイプのイケメン俳優が出てきた。


ちょっとロン毛で男らしいけど清潔感もちゃんとあって、儚げな感じ。


やばい、タイプだ。


見てるだけで濡れてきちゃう・・・。


こんなイケメンが、あのセレクションルームにいたらなあ。

たぶん永遠に眺めてる。


ってか、私の権力使って、この俳優、連れてこれないかな?


いや、絶滅危惧種パワー使ってもさすがに無理かー。


うーん、うーん。


会いたいなあ。


ダメもとでエドガーに聞いてみよっかな。


私は、部屋にある内線でエドガーを呼んだ。


---


コンコンっ!


おっ、きたきた。


「エドガーでございます。

 なんでしょうか、スミレ殿。」


「黒崎仁っているじゃない。

 その俳優、連れてこれないかな?

 プロジェクトに参加してほしいんだけど。

 ダメ?」


我ながらすごくずうずうしい頼みだとは思う。


「ほうほう。

 スミレ殿自らのご指名ですか。

 うーむ・・・、ダメもとですが、上に頼んでみましょうぞ。」


え?まじ!?やった!

ダメもとだけど、なんか意見とおったんですけど!?


「スミレ殿はこういった殿方がタイプですか。

 ふむふむ、メモメモ・・・。」


なんかタイプを分析されてる。

恥ずかしい・・・。


「では、上に直談判してみますぞお!

 失礼!」


なんかエドガーが嬉しそう。

私が性に積極的になりだしたとか思ってんのかな。


エドガーが出ていった。


---


しばらくすると、エドガーが戻ってきた。


コンコンっ!


「スミレ殿、エドガーです。

 先ほどの件、上に相談したのですが・・・。

 先方の返答待ちとなりました。」


つまり、黒崎仁の事務所の返答待ちということ?

うーん、じゃあまだわからないかー。

でも、黒崎仁にはこの話が伝わったってことね。

一歩前進♪


「そう!ありがとう!

 返答楽しみね。」


「ええ、良い知らせが来ることを期待しましょうぞ。

 して、セレクションルームの皆さんとはどうですかな?」


エドガーが質問してきた。

やはり、関係構築の進捗は気になるのだろう。


「まだ2人しか話せてない・・・。

 話すだけなんだけれど、ちょっと疲れるのよね。」


女友達とはあんなにベラベラしゃべれるのに、男の子相手になるとてんでダメ。

緊張で言葉が出てこない。

なんでなんだろう。


猫をかぶりにかぶりすぎて、身動きが取れなくなってるのかも・・・。

何かしゃべるたびにボロが出そうで怖いのよね、きっと。


「そうでしたか。

 あまり無理をしてもいけませんからな。

 でも、少なくとも1日1人の殿方と関係を深めていただけると、プロジェクトも進みます。

 そこだけはご承知くだされ。」


1日1人ね、まあそれが現実的かな。


「はーい。」


今日は如月くんと話したし、ノルマは達成か。


あとは何しよう。

黒崎仁について調べてみようかな。


パソコンもあるし。

インターネットって概念、あるのかな?


「エドガー、

 インターネットって使えるの?」


「ええ、使えますとも。

 何か調べものですかな?」


「ええ、黒崎仁についてちょっとね。」


「なるほど、それは良いことですな。

 そうそう。ネットの検索履歴は上に筒抜けですので、ご承知ください。」


はあ。

私にプライバシーの人権はないのだろうか・・・。


「っは!!

 もしかして、お風呂ものぞかれてる??」


私はとっさに不安に駆られた。


「音声だけは上に聞かれておりますな。

 映像は人権の問題上、カットしております。」


ふう、それならまだセーフか・・・。


アソコにシャワー当てて独りで気持ち良くなってるのバレてなくてよかったあ・・・。


もしバレてたらもう生きていけない。


「では、これにて失礼。」


エドガーは帰っていった。


「さて、黒崎仁について調べてみますかー。」


えー、と。


『黒崎仁 プロフィール』


検索っと。


『名前 黒崎 仁(くろさき じん)

 年齢 21

 身長 185cm

 職業 俳優

 特技 バスケットボール

 経歴 第37回ジュンノスーパーボーイコンテストファイナリスト、仮面ライダー等々

 その他 偏差値70、英語ペラペラ、両親が焼肉店経営』


わー、そうそうたるプロフィール。

非の打ちどころ無し。

両親が焼肉屋かあ。

焼肉もりもり食べて185cmまでになったんだろうなあ、かわいい。

もうプロフィールだけでかわいいとか思っちゃう。


はやく会えるといいなあ。


わくわく。


でも、私のオファー振られたらショック・・・。


そんな感じで、独り期待と不安にふけるのであった。



<<作者あとがき>>


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