生きるのが不器用だった男。 苦労の多い彼の拠り所は本だった。様々な教訓が彼を助け、ここまで進めてきたのだ。 そんな彼のもとに、文字を食らう生き物・紙魚(しみ)がやってきた。 彼の辿る不思議な道程を、是非見届けてほしい。 ・ 男と紙魚の関係性が絶妙な一作。 ペーソス(身にせまる悲しさ)がありつつも、彼の前向きさのおかげか、読後感は決して悪くない。 その前向きさは本を読んだことによるユーモアに由来するものと考えれば、 彼の歩んだ道も、決して無為ではなかったのだろうと、一読者は勝手に考えている。